語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 − 027号 −
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英語・仏語・伊語 トリプル三冠王による
語学の虎の巻 [書評] 英語・外国語学習法 − 027号 −
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このメルマガの編集方針につきましては、創刊準備号をご覧ください。
こちらです。
http://shibutora.g.hatena.ne.jp/melma/20070620
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■今週の本 「日本語力と英語力」
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買う??: ★★★☆☆
面白いです。いろいろな学習法のエッセンスがあちらこちらに取り込まれて
います。
実行可能度: ★★★☆☆
まずは四股を踏むところから
読んで頂きたい方:
序より「本書が単なる対談本であるに留まらず、教育関係者や子育てに悩む
読者に何らかの示唆を与えるものであることを願う」
お父さん、お母さん、読んでください。
「日本語力と英語力」 齋藤孝(さいとうたかし) + 斎藤兆史(さいとう
よしふみ)
中公新書ラクレ 2004.04.10 (私の誕生日は04.10です)
アマゾンはこちらから
http://www.amazon.co.jp/dp/4121501284/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
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■エッセンス
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序文より
・国語教育を充実させる
・英会話ごっこにも似た低劣な早期英語教育を止めさせよ
・型の訓練を中心とした骨太の教育を実現させよ
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■内容
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前号でご紹介した山田雄一郎「英語力とは何か」の流れで行くならば次の
ようになるでしょうか。
現在の中高での英語教育は「こども英語」を学ぶことにシフトしてしまって
いる。
「大人英語」の基礎作りの授業をすべきであり、その為には日本語能力の
強化が必要であり、また、英語についても型の訓練を反復して行う必要が
ある。
序において、中学一年用の検定済英語教科書の「ハンバーガーショップで」の
一節が紹介されています。
Demi: Two hamburgers and tow colas, please.
店員: Large or small?
Demi: Large, please.
店員: For here or to go?
Demi: For here.
店員: Here you are. That’s five hundred and forty yen, please.
(お金を受け取って)Thank you.
この「For here or to go?」は主にアメリカのハンバーガー屋の店員が持ち
帰りかどうか確認するために用いるもので、その状況以外で用いられる
ことはなく、例文としてきわめて発展性に乏しい。(中略)こんな表現は、
海外旅行者用の会話本にでも載せておけばいいのである。(8ページ)
このような実用指向を、柔道にたとえて次のように書いています。
「国際的な選手の育成という理念のもとに、『非現実的』な受け身や型の
訓練を止め、いきなり相手を投げる練習から始めるようなものである。
そんな柔道で国際試合に臨んでもまるで勝負にならぬばかりか、多くの
選手は大怪我をして帰ってくるだろう。そして、そのような練習は、
将来の山下泰裕、田村亮子、井上康生となるべき選手の才能までつぶして
しまうことになる」(15ページ)
著者は、素読、暗唱、文法、読解の四つを含む「型」を習得しようと説き
ます。
「型」を身体に覚え込ませ、反復練習で「技」まで高めようとしています。
素読とは意味や内容をあまり考えず、同じ文章を何度も音読することで、
繰り返すうちに英語のリズムがからだに入り込み、さらに暗唱することで、
構文がしっかりと自分のものになっていく。(86ページ)
斉藤コンビの主張は常に、スポーツも芸術も基本の型をしっかりと積み上げた
上に応用ができるようになるのに、どうして外国語はそうしないのかと
いうものです。
コートに連れて行かれて、コーチに「自由に打って」と言われるテニス
スクールなんて、誰も行きやしませんよ。球は打てるようにならないし、
ぜんぜん上達しないもの(75ページ)
また、
最初はやっぱり名文、いい英語を素読、暗唱する。いい英語がわかっていると、
何が変なのかもわかるようになります(92ページ)
としています。
TOEICのテストなどで、どれも文法的に正しい場合、最後は小さく声に出して
みて語呂が良いかどうかで判断することがあります。普段から正しい英語に
触れておく必要があると私も思います。
著者の一人、斉藤孝の「声に出して読みたい日本語」はベストセラーとなり、
子どもの頃から音読、暗唱することはいいんだということについて、誰も
非難しないのに、英語の授業でそれをやろうとすると、またコミュニケー
ションから逆戻りするのかと抵抗を受けるだろうとも書いています。
日本語なら良いのに、英語だと反対する。
時々、私は『英語』という単語を『日本語』に置き換えて考えることが
あります。
例えば、「英語を使った職業に就きたい」は、「日本語を使った職業に就き
たい」となって、何も言っていないのと同じことであり、「趣味は英会話
です」は「趣味は日本語会話です」となって、ただのおしゃべりだという
ことになり、また、「教師は全員英語ネイティブ講師です」と言われても、
「日本語ネイティブでも日本語は教えられないよね」となります。
英語を相対化するのに有効なテクニックですのでお試しください。
斉藤孝の『からだを揺さぶる英語入門』では、歩きながら英文の素読を
することを提案しています。
『日本語の身体』から『英語の身体』へのモードチェンジ。英語の身体と
しての動きが、身体を揺さぶることです。立って身体を揺さぶりながら、
英文を声に出して読む。揺さぶらないと、日本人は抑揚が出ないんですよ。
(91ページ)
これを読んで、中津燎子の「なんで英語やるの」を思い出しました。
中津燎子の英語塾では、でんぐり返しをしての発声とか、床を叩きながらの
発声練習をしていました。
また、日本語力を高めるトレーニングとして、斉藤メソッドが紹介されて
います。(第五章)
四股を踏むところから始まり、音読、メモ取り、段取り力の育成など、
日本語力の強化のアプローチは、以前ご紹介した三森ゆりか「外国語を
身につけるための日本語レッスン」を思い出させます。
それから、英文解釈能力、日本語に訳す能力を重要視しています。
先週の山田雄一郎「英語力とは何か」で、五番目の能力として紹介されていた
翻訳能力ですが、
日本人にとって英文解釈は、思考訓練、言語訓練としても優れています。
(中略) 英文は構造的に、論理的に捉えなければ、絶対に訳せません。その
ため、日本語をやっていただけでは鍛えられない強さが身につくのです。
(99ページ)
これが山田雄一郎の言うところの、共通基底能力の育成につながるのでしょう。
それ以外に気になった部分。
そんな教育よりも、当面は実用的でないにしても、個々人が必要に応じて
学習を積み上げていけるように基礎力を与えることのほうが、よほど重要では
ないでしょうか。逆に言えば、学校で出来るのはそこまでなのです。
(58ページ)
美術の授業を受けて、みんなが上手に絵が描けるようにならなくても文句が
出ないのに、どうして英語だけ文句が出るのでしょうかね。
「徹底した反復トレーニングを続けると、あるところで突き抜けるように
上達する」(第三章)
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■感想
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学校での「ゆとり教育」が失敗だったとして、後年方針転換されたとしても、
その時期に教育を受けた人を救済することはできません。
コミュニケーション重視の名の下で行われる「こども英語」へのシフト、
早期英語教育の導入が、「ゆとり教育」の二の舞にならないことを祈ります。
この点について斉藤兆史は、
「そうして育った子どもたちと、先ほど言ったような、きちんとした英語を
身に付けた子どもたちとの差が歴然と出て、『これはだめだ』とわかってくれば、
あと十年くらいで日本の英語教育は変わるかも知れない、学習指導要領の
見直しも始まるかもしれないと、個人的には期待しています」(182ページ)
と書いていますが、この時期に英語教育を受ける人にとってはそんな悠長な
ことは言っていられません。
当初「コミュニケーション重視」へのシフトについて知ったときは、私は
軽く考えていました。
それによって、(大人)英語のできる人は今よりさらに少なくなり、結果として
英語のできる人の価値はさらに高まり、英語教育産業もさらに発展するで
あろうと。
本書を読んで感じたのは大きな危機感でした。
義務教育の現場で「コミュニケーション重視」の授業が行われる場合、
生徒の側にはそれを拒絶するオプションは無く、「こども英語」がすり
込まれます。
「大人英語」への基礎を築く機会は、授業内容と離れた自習、塾での正しい
学習に頼ることになりますが、そのような学習は、学校での授業内容に沿って
いないわけですから受験にも役立たないわけで、時間を割こうという意欲を
持ち続けるには強い意志と親の理解が必要でしょう。
昔読んだときにはあまり印象の残らなかった本でしたが、今回読み直して
みて、とても面白かったです。
お薦めです。
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■おまけ
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斉藤コンビによる作品です。
良く見ると、二人とも名字の「斉」の字が旧体字で、かつ別々の字でした。
英語の素読には、齋藤孝「からだを揺さぶる英語入門」
アマゾンはこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4048838083/ref=nosim/?tag=gogakunotoran-22
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発行者略歴
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澁澤寅彦 (しぶさわとらひこ) (ペンネームです)
1962年生まれ。福井県出身。証券会社の経理マン
2002年から2005年の四年間に、英仏伊の3カ国語それぞれで三冠
(ガイド試験、検定1級、EUのC2レベル試験)を達成した。
四半期決算のちょうど山場です。
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メルマガ名: 語学の虎の巻[書評]英語・外国語学習法
発行者 : 澁澤寅彦 ( shibu.tora@gmail.com)
発 行 : まぐまぐID= 0000238273
配信停止 : http://blog.mag2.com/m/log/0000238273/
─著者ブログ 他─────────────────────────
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