2009/11/27
第145回 学童保育でのこと
☆―――――――――――――――――――――――――――――――――☆ ばなな先生の おとなとこどものための おきらく 作文教室 No.145 2009.11.27 ☆---------------------------------☆ こんばんは、 「自分科塾ばなな」 の講師 「ばなな」ともうします。 今回もどうぞよろしくお願いいたします。 かつて、ある児童館の職員として、 併設の学童保育に勤めていたことがありました。 そこは、学校をはじめ、 子どもを取り巻く環境が厳しかったのでしょう、 けんかやいたずら、トラブルが耐えない場所でした。 そんなところで生活している子どもですので、 大人の本質、物事の本質を見抜く目をもっています。 短い時間でしたが、 子どもたちからいろいろなことを教わりました。 目次 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■ □ □ ■ ■ □ ♪ 学童保育でのこと ♪ □ ■ ■ □ □ ■ ♪ 編集後記 ♪ ■ □ □ ■ ■ ■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■□■□■□■□■□■□ =============================== ♪ 学童保育でのこと ♪ =============================== 子どもたちの中に、自己紹介をする前に、 「オマエ、誰?」 といっていきなりケリをいれた子がいました。 なんだろう、と思って しばらく観察していると、 その子が、ほどなくして、 先輩から同じようにけられていました。 そういう図式なのか。 物悲しくなりました。 そうじをしているとける。 おやつを食べさせて、 その皿を洗っていると、ける。 あるいは、色々な子が、悪態をつく。 最初はその行動の意図がわからなかったのですが、 そのうち子どもたちの屈折した愛情表現、 だとわかりました。 けり返そうとするわたしを うれしそうに見ているのです。 学童には、リーダー的な男の子がいました。 寡黙で、でしゃばらないのですが、 みんながその存在を認めていて、 誰もその子にさからいません。 わたしは、彼と出会ってそうそうに ゲームの最中に、 彼を泣かしてしまいました。 「死ね」「ウザい」 さんざい悪態をつかれました。 それ以来、あまり声をかけられず、 春になり学童を卒業していきました。 しかし、併設している児童館には あいかわらずやってきていて、 毎日のように顔を合わせました。 ある日、わたしのところにやってきて、 黙ってグローブをさしだしました。 よく、わたしが、ほかの子と キャッチボールをしているのを見ていたらしいのです。 ずっと、それから、 わたしのところにやってきては、 「四時半からな」 と言って、予約するのです。 自分が学童にいたから、わたしがヒマになる時間が わかるようです。 そして二人で黙ってキャッチボールをしました。 何人かの子とキャッチボールが 重なってしまい、 その子との約束を断らなきゃならないときもありました。 「死ね」 そう言われました。 でもまた、翌日、 わたしは真っ先にその子のところに行きました。 そしてキャッチボール手をしました。 「死ね」としか 愛の言葉を表現できない子がいる。 自分のごちゃごちゃの気持ちを 「死ね」という言葉でしか言語化できない子がいる。 そんな子を包み込むのは、 そばにいることだけ。 わたしはそのとき、 あらためて教えてもらったような気がします。 ================================== ♪ 編集後記 ♪ =================================== わたしは、教師時代、 子どもに「死ね」という言葉を 決して使ってはいけない、 と言いました。 それは正論です。 否定はしません。 しかし、わたしはそのとき、 「死ね」としかいえない子の気持ちを、 半分も理解していませんでした。 ただ教師という立場で、 その言葉づかいをたしなめただけにすぎません。 耳に響く言葉の意味は、 誰もがわかります。 でも、相手の言葉の背後にあるメッセージを わたしたちは本当に汲み取れているのか、 人と接するたびに考えます。 最後までお読みいただき ありがとうございました。 また次回もよろしくお願いいたします。


