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表現したものを通して、自分の視点や自分とは何者かに気づく『自分科』という科目を提唱する著者が、「書く」ことによって、人生が変わることを訴えます。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/11/08
  • 部数 132部
  • メルマガID 0000237027
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2008/08/15

第61回 木の花ファミリー体験記

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   ばなな先生の
     おとなと
     こどものための
      おきらく 作文教室
                      NO.61
                     2008.8.15

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 こんにちは。
「作文教室ばなな」の講師
「ばなな」ともうします。
 
 


 先日、静岡県富士宮市にある
 木の花ファミリー
 という農業共同体を尋ねることができました。
 
 まったくの他人が、
 自給自足の共同生活を送っている場所です。


 たった一泊二日の日程でしたが、
 有意義な時間を過ごすことができました。


 ここにその体験記を紹介したいと思います。
 最後までよろしくお願いいたします。



■□■  目次 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■    

  
 1.木の花ファミリー体験記

 2.編集後記


                    
■□■□■□■□■□■□■□■□■■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 
      
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   ◆	1◆   木の花ファミリー体験記


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 ちょうど一週間ほど前のことです。
 家族と友人で木の花ファミリーに行くことができました。


 行くことになった理由は、
 先進的な共同体として注目されていること、
 教育の取り組みに関心があったこと、

 そして、わたしのメンターである方に
「行くとあなたの使命がわかる」
 と言われたことが動機でした。



 簡単に木の花のアウトラインを紹介します。

 木の花ファミリーは、1993年二十名により創立、
 15年目になります。
 2007年に木の花農園から現在の名前に改名。

 現在、十六世帯、五十名が、
 血縁を越えた大家族で農業共同体を営んでいます。
 たいていの品物も共同で使っています。


 富士山の主神でもある
 木花咲耶姫神(このはなさくやひめのみこと)
 から名前をとっているそうです。


 有機農法、自然農法を行い、米、野菜、穀物を育てています。
 他にも養鶏、養蜂、ヤギの飼育を行っています。
 また味噌やしょうゆも自家製でほとんどの食材を自給しています。
 
 菜食ですが、そのバリエーションはじつに豊富です。


 地域からてんぷら油を譲ってもらい
 ガソリンの代わりにして走る車を開発するなど
 エネルギー面でも自給しようとしてます。

 今後発電や水利も自分たちで行う、という計画があるそうです。

 生ごみを有効活用しています。
 EMをベースにした「木の花菌」をありとあらゆることに
 有効活用しています。
 最近では市にそのノウハウを紹介してともに活動しているそうです。


 そうしたユニークなファミリー。リーダーがいません。
 毎日ミィーティングをしてその方向性を決めています。


 共同生活を支える基本思想は、
「すべては一つ」「自他同然」ということが柱になっています。
 

 やはり人間である以上、
 みんなと暮らしていけば、エゴも生まれ、
 さまざまな摩擦や感情も沸き起こります。
 
 そのつど立ち止まり、エゴのある自分を認めつつ、
 自分たちの心をふりかえる生活をつづけているそうです。


 当然、そこには子どもたちが住んでいます。
 特に最近は、シングルマザーがこちらに
 移住するケースが多くなったようです。


 木の花の子どもたちは、「全員の子」と認識しています。

 本気で叱り、全員で育てます。
 小さい子の母乳も六ヶ月までは
 その子の母親が与えますが、
 それ以降は、みんなでケアして授乳するようです。


 自分の子どもも人の子どもも違いはありません。
 年間の収入が一人七十万円くらいあるそうです。
 そのうちの三十万円を全員が提供し、
 一部を子どもたちの学費にあてています。


 この春、大学へ進んだ子がいます。
 現在のところ木の花へ戻ってくる予定はないといって言います。
 進路も子どもたち自身に選択させているのです。


 木の花の食事には魚と肉がありません。
 ところが、学校の給食には毎日のように出されます。
 子どもたちは公立の小中学校に通っています。

 彼らは
「わたしたちはベジタリアンだから、
 子どもに肉や魚は食べさせません」
 などと主張しません。
 すべての判断を子どもに任せています。


 子どもは、木の花での現実と学校の現実につぶさに見て、
 自分なりに判断して行動しているようです。


 ですから、最初に感じた子どもたちの印象は、
 場の空気をじつに的確に読んでいる、という驚きでした。

 来客に対してきちんとあいさつをする点
 来客に対して無視することも奇異のまなざしをむけることもなく、
 コミュニケーションをとろうとする点、
 周囲をよく見て食器運びや皿洗いをしているところは、
 まさに『考える集団』でした。


 木の花の大人たちを見ているせいもあるでしょう。
 様々な悲哀をつぶさに見ているせいもあるでしょう。
 常にどうふるまえばいいのか、を子どもたちなりに
 考えてきたのでしょう。

 大人たちのリアルを包み隠さず誠実に見せてきたことも
 あるかもしれません。


 見るということがいかに大切であるか、見るということ
 を通してしか成長できないことを教わりました。


 木の花は組織をつくること、宗教になってしまうことを
 禁じています。
 子どもは社会で育てる、を洗脳するようなことはしたくない、
 といっていた意味がよく分かりました。



 わたしたちが畑で作業していた二日目のこの時間、
 下の子は妻と一緒に本宅にいて食事係を手伝いました。
 その間、ずいぶんとたしなめられたようです。


 わたしの妻は、自分が叱られたみたいな気持ちになった、
 と語っていました。
 無理もありません。
 わたしも少し前なら同じ気持ちを感じたことでしょう。


 かつて教師をしていたとき、保護者から自分の子だけは、
 といった要望を受けたことがあります。
 育児の失敗も成功も自分の落ち度であり、自分の取り組み次第だ、
 という認識があるので必死なのです。


 社会が育児の失敗を母親に負わせてしまう風潮があります。
 わたしたちは、いい意味でも悪い意味でも心のどこかで
『自分の子どもは自分の作品である』という意識に支配されています。


 もしかするとそれって『エゴ』だったのかもしれません。



 彼らを見ていると、命に関わるとき、調和を乱すとき、
 本気で向き合っているような気がします。
 その日、自らの成長を信じられなくなった学業不振の子
 を本気で叱っていました。
 自分の命や回りの命を軽んじたとき、彼らは猛威を振るう
 自然のようになるのだと思いました。


 草取りを手伝った娘も畝に穴を掘っていたので叱られました。
 わたしは、それが嬉しく感じられました。


 気づくと、上の娘の姿がありません。


 となりのきゅうり畑から声がします。
 収穫チームの手伝いをしていました。
 もぎたてのきゅうりを一緒にとり、
 その一つをいただいていました。
 

 彼らは厳しくもありますが、優しく、温かくもあるのです。
 まさに自然そのものでした。



 ☆☆★★☆☆ ☆☆★★☆☆ ☆☆★★☆☆ ☆☆★★☆☆ ☆☆★★ 

 
  編集後記

 
 たった一泊二日の旅なので、
 この場所の本質はわからないかもしれません。

 しかし、
 わが子の頭をなで
「また叱られにおいで」
 と笑って送り出したくれた彼らの愛に
 わたしはたくさんの学びを得ました。



 里山のような自然豊かな場所で
 私塾を開くつもりです。



 わたしは彼らに、
 そんな自分の夢を語っていました。


 

  
  発行人 <「ばなな作文教室」講師「ばなな」=小塙 雅多加 >


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