サンスクリット原典で読み解く「ヨーガ・スートラ」!  RSSを登録する

ヨーガ史上初、根本聖典「ヨーガ・スートラ」を原典から、1号1節ずつ解説する本格派マガジン。ヨガとヨーガはどちらが正しい?などお役立ちコラムも満載です。原典からしっかりとヨーガを、またサンスクリット(梵語)を学びたい方にぜひどうぞ!

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2008/04/07

サンスクリット原典で読み解く「ヨーガ・スートラ」!第66号

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  yastyaktvaa ruupamaadyaM prabhavati jagato'nekadhaa'nugrahaaya 
     prakSiiNaklezaraazirviSamaviSadharo'nekavaktraH subhogii   |    
   sarvajJaanaprasuutirbhujagaparikaraH priitaye yasya nityaM
     devo'hiizaH sa vo'vyaatsitavimalatanuryogado yogayuktaH   ||
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     サンスクリット原典で読み解く「ヨーガ・スートラ」!


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 2008.04.07. ◆ 第66号

  目次 
     ◎ ヨーガ・スートラ 2:11 解説
                  ◆ 本文
                  ◆ 単語の切れ目・読み・意味
                  ◆ 句全体の意味・解説    
          
     ◎ 編集後記・次号の内容
          
                                   
=◎ ヨーガ・スートラ 2:11 解説 ================

    こんにちは。
    「サンスクリット原典で読み解く「ヨーガ・スートラ」!」
     の発行者、誠です。
      
  今号は2:11、前の2:10と対比される内容が語られます。
      
   早速本文を見て行きましょう。 
----------------------------------------------------------------------
  
   ◆ 本文
    
   dhyaanaheyaastadvRttayaH  (2:11)
     
    ◆ 便宜的な読み
    
  ディヤーナヘーヤースタッドヴリッタヤハ
       
  (このメルマガで用いるサンスクリットのローマ字表記について
  http://sanskrit.rakurakuhp.net/i_173979,si_21176.htm)   
 (この句の音声をお聴きになりたい方は
  http://samskrita.seesaa.net/article/92440530.html)  
  (原文の文字をご覧になりたい方は
  http://sanskrit.rakurakuhp.net/i_164529,si_77001.htm)

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  ◆ 単語の切れ目

    dhyaana - heyaas - tad - vRttayaH
            
   ◆ 連声
    
    heyaas + tad (aaH + t → aas + t の規則)
     heyaaH + tad → heyaas + tad → heyaastad
      
    tad + vRttayaH (t + v → d + v の規則)
     tat + vRttayaH → tad + vRttayaH →
       tadvRttayaH  
                                     
----------------------------------------------------------------------
  ◆ 単語の意味 

  dhyaana (中性名詞)
   読み  ディヤーナ
   意味  ディヤーナ、静慮、瞑想、禅、禅那(音写) など
                        
 heyaas (√haa 未来受動分詞 heya 主格・は格 複数)
   読み  ヘーヤース
    意味  去られるべき、見捨てられるべき、断念されるべき、
        避けられるべき など 
                     
  tad  (指示代名詞 tad 中性形 主格・は格 単数)
    読み  タッド
    意味  それ など
    
  vRttayaH  (女性名詞 vRtti 主格・は格 複数形)
    読み  ヴリッタヤハ
    意味  転がること、存在、様式、実践、状態、動作、行動、活動 など
        (√vRt 起こる、存在する、動く など) 

----------------------------------------------------------------------
  ◆ 句全体の便宜的な意味・解説

   ◇ 意味  それが活発になった場合、
            ディヤーナによって、絶つことができる。
                        
   ◇ 解説  前号で書きましたように、この句は前号の2:10と対になる
  内容になっていて、「heya 絶つことができる」という同じ単語を
    用いていることで、それがはっきりとわかるようになっています。
    念のため原文を、見やすいように切れ目を入れた上、並べてみましょう
    
    te - pratiprasava - heyaaH - suukSmaaH  (2:10)
    dhyaana - heyaas - tad - vRttayaH  (2:11)
      
  前の2:10では、「kleza クレーシャ、苦悩」が
 「suukSma スークシュマ、微細な、小さな」段階での対処法が述べられて
  いました。
  
   ここでその「suukSma スークシュマ」に対比されられているのが、
  同じ文末の「vRttayaH ヴリッタヤハ」です。これは「vRtti ヴリッティ」
  の主格・は格、複数形です。
    
   「vRtti ヴリッティ」という単語、このマガジンの読者さまにはもう
  おなじみですよね?
  
   そうです、1章の冒頭で掲げられた、ヨーガの定義から登場し、
  5種類挙げられた、1章の冒頭部の重要なキーワードのひとつであり、
  またその後も何度か登場した単語でした。
    
    改めて冒頭、1:2に登場してもらいます。
    
    yogazcittavRttinirodhaH (1:2)

    ヨーガとは、cittaの働きを滅することである。
    
(1:2解説バックナンバー
  http://archive.mag2.com/0000235863/20070604090000001.html?start=60)
    
    この句は通常「心の働きを止滅する」と訳されること、また私はあえて
  「心」と訳さず「citta チッタ」としていること、さらに1章の最後の
  解説では、「citta」「vRtti」「nirodha」にもそれぞれいくらでも
  深く読み込むべき要素があるので、「心の働きの止滅」と固定して考える
  べきでないこと、など書いてきました。
    
(1章の最後、1:51解説バックナンバー
    http://archive.mag2.com/0000235863/20071213092126000.html)
    
  ここで、改めてそれを、ここに登場した「vRtti」を軸に検証して
 みたいと思います。前号の「suukSma スークシュマ」と対比させられている
  ことから、この「vRtti ヴリッティ」に持たされているニュアンスが
  よくわかるからです。
    
    まず、この「suukSma スークシュマ」と「vRtti ヴリッティ」の対比を
  図式にしてみます。
    
    suukSma ←→ vRtti
    
    ですね。
    
  「suukSma スークシュマ」は前号で、また今までにも幾度か見ましたように、
 「小さな、微細な」という意味を持っています。それと、従来
  「vRtti ヴリッティ」に充てられている「働き」とを上の図式に
  当てはめますと、
    
    suukSma ←→ vRtti
    小さな ←→ 働き
    
    となります。「小さな」に対比させられるはずの言葉が「働き」では、
  意味として対になっていませんよね?
    
    このように、「vRtti」を「働き」と固定してしまうのでは、
  ヨーガスートラの意図しているところを、充分汲み取れていないことが
  よくわかります。
    
    それでは、「vRtti ヴリッティ」はどういうニュアンスの言葉なのか、
  今一度図式に登場してもらいますと、
    
    suukSma ←→ vRtti
    小さな ←→ ・・・
    
    あえて一語の訳語を入れませんが、こうして見ますと、この「・・・」に
  当てはまる言葉のニュアンスが、なんとなくイメージできるのではと
  思います。
  
   上の訳では「活発」と便宜的に書きましたが、全体としては、
  「小さな段階を離れて、増大してしまった、活発化してしまった・・・」
  という感じの意味合いになると思います。
  
    これまでにも縷々書いてきましたように、訳語を無理に当てはめるよりは、
  原文の別の場所と対比、類推させながら、全体を有機的に読み込むことで、
  こうした無理なく筋の通る、かつ奥深い読み方ができるのです。
  
   ここで、この「vRtti ヴリッティ」のニュアンスがつかめたところで、
  改めて1章の冒頭から、「心の働きの止滅」という固定観念をはずして
  読み返していただくと、今までヨーガスートラを「心の働きの止滅」を
  説いた教典、と固定されていた方は、その理解の枠組みを、綺麗に
  壊していただけるのではないかと思います。
      
   このように、ある一部の有機的な理解ができたところで、再び冒頭から、
  または一定の前の部分から読み返してみることで、一度読んだだけでは
  解らなかったところが、意味が通るようになり、そしてまた先に
  読み進めて・・・の繰り返しで理解を深めていけるわけです。
    
    さて、長くなってしまいましたが、さらに全体を前の2:10と対比
  させますと、
    
    「kleza クレーシャ」は・・・
    
 ・些細な場合、元の状態に返すことで、絶つことができる。(2:10)
 ・活発になった場合、ディヤーナによって、絶つことができる。(2:11)
    
    となります。
    
    補足しますと、小さな時は、「元の状態に返す」または
  「生まれたところに返す」「反対の方向に戻す」ことによって、
  
    また増大した時には「ディヤーナ」で絶つことができる、となります。
    
    このように、句はふたつに跨いでいますが、非常に綺麗な対比に
  なっているのがわかります。
    
    前号で書きましたように「元の状態に返す」についてはさらなる先の、
  また全体を読み進んでの理解を期したいと思います。
    
    そして、「dhyaana ディヤーナ」は、この単語が漢訳されて音を採って
  「禅」(または「禅那」)とされ、日本にも伝わっていることはすでに
  触れました。

  この「dhyaana ディヤーナ」は、今後、ヨーガスートラの実践体系の根幹
 を語る重要な一要素となりますので、その時に詳しく見てみることに
  しましょう。
    
    こうして、いつも解説の先延ばしの、楽チン解説(笑)なのですが、
  ここで「dhyaana ディヤーナ」が登場すること、またその
  「dhyaana ディヤーナ」が「pratiprasava プラティプラサヴァ、
  元の状態に返す、反対の方向に戻す・・・」と対比させられていることを、
  しっかりと押さえておきたいところです。
  
   楽チン解説のお詫びに(?)少し種明かしを先にさせていただきますと、
  この対比が後の部分、実践体系の根幹を語る部分への伏線にもなって
  いるのです。ここにもヨーガスートラの構成の妙を見て取ることができます。
      
--◎ 姉妹マガジン ◎-----------------------------------------------

   「サンスクリット原典で、読んで、学んで、深めるヨーガ!」
    ハタ・ヨーガ・プラディーピカー1:9 解説中!  
     http://www.mag2.com/m/0000260936.html    

=◎ 編集後記・次号の内容 =====================

  今号は句の解説が比較的長く、また小難しくなりましたため、
 予定していたコラム
「「kriyaayoga クリヤーヨーガ、行為のヨーガ」の鼎立について」の続きを
 割愛させていただくことにしました。
    
    これは前号同様、まだ長いマガジンに慣れていらっしゃらないであろう、
  新しい方への配慮です(笑)。
    
    以前でしたら、この長さにさらに長いコラムを付け加え、それを週に
  2度も配信していたのですから、それに比べると私も大人しくなった
  ものです(笑)。
    
    コラムの続きは、次号にさせていただく予定ですが、次号もこれまた、
  難しくて解説が長くなりそうな予感が・・・(笑)。
    
    ◇ 次号の内容
    
   次号は2:12、今までの流れを受け継いで、さらに発展させた、
  新しい内容が説かれます。
    
    コラムは長さに余裕がありましたら、「行為のヨーガの鼎立について」の
  続きです。
              
  次号もどうぞ、お楽しみに。        
                                                        (第66号 完)
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   サンスクリット原典で読み解く「ヨーガ・スートラ」!
           発行者  誠   s-tadao@rio.odn.ne.jp
                
 ◎ 発行者ホームページ 「実用サンスクリット学習講座!」 
          http://sanskrit.rakurakuhp.net/  
  ◎ ホームページ連携音声ブログ「実用サンスクリット学習講座!音声編」
         http://samskrita.seesaa.net/      
  ◎ 発行システム『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/    
         
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