2009/10/01
■心理学会では何をやっているか【絵画によるメールカウンセリング】
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心理カウンセラー 高間しのぶ の【絵画によるメールカウンセリング】
No.120 [2009年10月1日]
毎週発行
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http://www.solea.main.jp/
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秋らしい天気が続きますね。
もうちょっと学会の話を詳しく教えてほしいというメールをいただきました。
そう言われると、学会なんて行かない人にとっては、どんなことやっているの
見当もつかないですよね。特に臨床心理の学会なんて、何やってんだか、怖い
ところもありますか(笑)
今日は、学会の話を少しします。
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■心理学会では何をやっているか
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私が参加した学会は、日本心理臨床学会といい、臨床心理士が多く参加する
学会です。大きくわけて2つの柱があります。
一つ目は、ワークショップ。これはいわゆる研修です。心理の技術を研鑽する
ために、興味のある講座に出て勉強をするわけです。
二つ目は研究発表と各種講演。心理を生業としている人たちが日々の仕事の中
で体験したことを元にして、自分なりに構築してきたやり方や理論を発表しま
す。発表しながら、質問を受けたり、そこは改善するところではと示唆を受け
たりします。感心されるばかりでは元が取れないので(笑)、自分にとって痛
いところを突いてくる先生には感謝しながら、けれど外面(そとづら)はシロ
ドモドロに返答し、冷や汗をかいているわけです。冷や汗がないと、人間じゃ
なくなりますからね。心理をやっていると、そういうマゾ的な快感がたまらな
くなります(笑)。
各種講演は、有名どころの先生方が、日ごろの臨床やご自身の過去の体験から
得てきたものを語る場です。2~3時間くらいあります。講演は一般演題を除い
ては、学会員のみ参加できるシステムです。今年の一般講演は、マイクロカウ
ンセリングで有名はアイヴィ先生がアメリカからいらして通訳付きで講演をさ
れたようです。結構な人気だったらしく、開場前にすでに整理券がなくなった
と聞いています。
私はあまり有名な先生の講演には興味ないので、国際フォーラム内にあるサテ
ンに入ってウトウトしていました。
この大会、今年からワークショップと研究発表の期日が分離され、ワークショ
ップは春期の2日間かけて、研究発表は秋期の3日間かけて行なわれました。こ
れだけの日にちをかけてやるわけなので、メニューも多彩で、大きな学会であ
ることがわかるかと思います。
私は、春期のワークショップは、亀井先生の箱庭と粘土のワークショップに出
て、秋期の研究発表では、こないだのメルマガにも書いたように、マインドフ
ルネスを利用した治療についての発表をしました。
同じ部屋で3人の先生の発表があり、私以外では、分離不安障害をもつ幼児へ
のアプローチとして応用行動分析と箱庭を使った研究と、学生相談室で解決志
向のアプローチを使った研究が発表されました。進行役は、東北大の長谷川啓
三先生でした。
長谷川先生のことをちょっと書かせていただくと、家族療法では有名な先生で
す。もともと精神分析をやっていたようですが、アメリカへ渡って、認知療法
のベックや論理療法のエリスに学んだあと、MRIという家族療法の総本山とも
言える場所で、ヘイリーやマダネスと一緒に活動をします。そのつながりで日
本に戻られてからMRIの日本支部を作られました。
長谷川先生はM.エリクソンにも影響を受けているのですが、エリクソンの天才
的なひらめきで家族療法の基盤を作るのではなく、ダブルバインドを唱えたベ
イトソンの流れをもっと発展させていくべきだと主張されていました。(この
ようにはっきりとはおっしゃってはいなかったですが、私の耳にはベイトソン
の声が届いていました。)専門的な話になってしまいますが、家族療法は家族
システム論やダブルバインド理論の発展と一緒に発展してきたようなものです。
ダブルバインドとは、情報を発する側の言葉と態度が違っているので、受け取
る方が混乱してしまう、という状態と説明されます。例えば、お母さんが不登
校の子どもに向かって、「何やってもいいよ」と言いながら、「今は勉強する
ときなんです。だからあなたは学校に行くべきなのです。」という態度や気持
ちをかもし出すような状態です。子どもはどちらを信じて自分の行動を選択し
たらいいのか迷ってしまいます。不登校の家族はだいたいこのようなダブルバ
インド(二重拘束)状態に居ます。
これがダブルバインドですが、実はこの数年後、ベイトソンはこのダブルバイ
ンドの意味を若干修正します。修正したもののほうがより臨床的なんですが、
このことが臨床家には伝わっていないですね。修正した意味がわからない人が
多いからなのかは、よくわかりませんが、私は亡くなられた崎尾英子先生から、
この修正版のことを教えてもらいました。修正版のダブルバインドは、「双方
がお互いをしばるメッセージを出していて、それによってお互いがストレスを
感じている状態のこと」をダブルバインドと言っています。お互いをしばって
いてもそれがストレスでない場合はダブルバインドとは言いません。(恋人の
ような関係でしょうか。)
このような理論をもっと中核にすえて家族療法は展開すべき、というのが長谷
川先生のスタイルです。長谷川先生は短期療法を日本に紹介した人でもあり、
お住まいは仙台ですが、出身は関西です。関西弁をしゃべる変な東北人です。
東北大の相談室で家族療法を実践しておられるので、そちらの方面で家族面接
を希望される方は、一度相談されてみてはいかがでしょうか。
東北大学 臨床心理相談室
http://www.sed.tohoku.ac.jp/lab/clini/framepage2.htm
カウンセラーとの相性というのはありますが、長谷川先生は味のある雰囲気を
かもし出している方なので、もしセラピーのスタイルが自分に合わないと思っ
ても、一度会っておいて損することはないかと思います。
話はだいぶ脱線しましたが、その長谷川先生の進行役で研究発表が進みました。
応用行動分析と箱庭を使った研究については、2つの一見すると真逆(まぎゃ
く)な手法が同時に用いられた事例です。応用行動分析とは、自閉などの発達
障害の子どもによく用いられる手法で、どういうことをするとどういう反応を
するかを詳細に調べて、好ましい行動を増やしていく手法です。それに対して
箱庭療法は、おもちゃのミニチュアを決められた箱の中に置いて自分の世界、
表現したい世界を作っていくものです。それによって自分の内界が活性化し症
状の除去などが可能になっていきます。つまり外の世界と内の世界を同時に扱
おうという先進的な研究です。
普通、応用行動分析をやっている人は箱庭はやりません。また箱庭をやってい
る人は応用行動分析などの行動療法はやりません。この異質のものを同時にも
ってきているところにこの発表者の意気込みと才能を感じます。私には、その
2つを扱うことはできませんが、世の中にはこういう人も居るんだなぁと感心
しました。
また、学生相談室で解決志向のアプローチを使った研究については、タイムマ
シンクエスチョンによる数回のセッションで症状が改善した事例が取り上げら
れました。このような短期での成功事例は、とても難しいです。と言うのも、
これはセラピストの腕というよりも、クライエントさんが浮上してくる時期だ
ったということのほうが大きいからなのですが、それでも、このようにタイミ
ング良く使えることで短期改善が可能であるということです。そういうタイミ
ングにそれがうまく使えたというセラピストの技術もあると思います。つまり
タイムマシンクエスチョンはとても簡単な技術ですが、それをいつ使うかの見
極めがちゃんとできるというところがセラピストとしての力が試されるときな
のでしょう。
私の発表のマインドフルネスを利用した治療では、増井武士のこころの整理法
を家庭で毎日やってもらうことを前提に、どのようにカウンセリングを進めて
いくのがいいのか、ということを話しました。私のカウンセリングスタイルは、
身体性にアプローチしていくやり方なので、身体を感じることでどのようにこ
ころに影響がでるのかというところに焦点をしぼりました。身体を感じるとは、
身体の中のフェルトセンスというものを感じることです。フェルトセンスとは
フォーカシングのジェンドリンが命名した言葉ですが、私はフォーカシングを
やっているわけではありません。身体の中のもやもやした感じやキリキリと締
め付けられたり、穏やかな感じ、それらのさまざまな感じにアクセスすること
で、その感じの背後に隠された記憶やイメージを活性化させる方法です。
それらはたいてい、「いないことにされた自分」につながっています。承認さ
れたことがなかった自分、いままで主張したことのなかった自分、アイデンテ
ィティを一度も持つことのなかった自分、そのような自分を現在の自分の中に
統合していくことが、マインドフルネス療法の最終目標です。マインドフルネ
スは非暴力を背景に進んでいきますので、その点ではハコミセラピーに近いも
のと言えるでしょうか。
次回発表する機会があったら、もう少し焦点を絞って研究を仕上げたいと思います。
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家の近くにある大学の校内で、栗を拾いました。
栗にはこの時期に実を落とすものと、もう少し遅い時期に落とすものがあるん
ですね。よく見ると、虫が喰っている実もあります。
実が落ちる頃は熊が冬眠の準備に入る時期になったということです。
彼岸をすぎてこれからつるべ落としのように日に日に昼間の時間が短くなって
いきます。
自然の流れはいやがおうでも冬へ向けて流れていっているわけですが、
その「ひそやかな」時期の前に、秋の夜更かしもいいもんです。
暖かい飲み物や少し強いお酒を片手に、ジャズを聴くにはいい時期です。
村上春樹が文壇デビューした頃に言っていました。
人がどのように輝き、どのように朽ち果てていくのか、
ジャズの世界に沈み込んでいると、少しはそれが分かる気がする。
彼は小説家としてデビューする前はジャズ喫茶のオーナーでした。
私は、彼の言葉を反芻(はんすう)します。
人がどのように輝き、どのように朽ち果てていくか、
人の話の中に沈み込んでいると、少しはそれが分かる気がする。
(いえ、分かったような気になっているだけかもしれません。人の話というのはそれほど深遠なものです。)
クライエントさんとのセッションは、私にとっては、ジャズそのものです。
絵画を使った相談もお待ちしております。
高間しのぶ(心理カウンセラー)
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メールカウンセリングの方法などについては、
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