2009/03/12
■私の夢(その2)【絵画によるメールカウンセリング】
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心理カウンセラー 高間しのぶ の【絵画によるメールカウンセリング】
No.094 [2009年3月12日]
毎週発行
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http://www.solea.main.jp/
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私が見た夢を題材に、
カウンセラーとして、この夢をどのように眺めるのかについて
お話したいと思います。
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■私の夢(その2)
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夢をみました。
そこでは私は会社員で、チームを組んで働いていました。
私も専門職で、特別な仕事をしていたのですが、
同僚に仕事を持っていかれてしまいます。
自分の仕事を取られてしまいます。
同僚は、その専門ではないのに、なぜ自分の仕事が取られるのだ、という理不
尽な
気持ちを強く抱いていました。
そうこうしているうちに、すべて私の仕事がなくなってしまい、
上司も他のチームメンバーも私に大変冷たくあたります。
会話も成り立ちません。
私は、何かを言うかわりに、
仕事をもっていった同僚に恨みの冷たい視線を送っています。
同様に、程度の差こそあれ、同僚やチームメンバーにも、押し黙って冷たい視
線を送っています。
しかし彼らは、そんな視線はなんともないようで、
まるで私のことはなかったかのように振舞っていました。
なかったように振舞われて、私はとても傷つき、
硬く貝のように閉じこもっていきました。
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とても、後味の悪い夢だったのですが、この夢にはいろんな示唆が感じられま
す。どこに焦点を当てるかで、夢の扱い方も違ってくるのですが、
私としては、この夢から目覚めたあとの実感として、
言葉を発することのできない、
ただただ恨みの視線を他者へ向けるだけしか
成すすべのない自分を感じていました。
これは、どうなんだろうなあと思いをめぐらしていると、
「動けなさ」
という言葉が降ってきました。
この視点で私の夢を眺めてみます。
動けなさというのは、選択できる余地が少ないことを表します。自由度が少な
い状態です。自由に動けない分、自分の世界が狭くなることですので、これは
生きづらさにつながり、こういう狭い自由を感じ続けていると何かの症状の発
症につながる可能性があります。この点では、動けなさというのは、好ましい
ものではありません。
しかし、見方を変えると、動けないために、「動かずにすむ」ということでも
あります。周りの世界が危険であるとき、例えば自分がサバンナでライオンに
狙われたシマウマだったとすると、下手に動くと命を狙われます。こういうと
きはじっと動かないことが求められます。
実際のカウンセリング現場での話をします。
カウンセラーはクライエントと話をしているとき何をしているかというと、常
にクライエントのアセスメントをしているのです。
このようにクライエントが話した。それは背後にこういう気持ちがあるからだ
ろう。それはクライエントのこういう部分から出てきているのだろう。確か、
以前にも似たようなことを言っている。これはクライエントのひとつの個性な
んだろうか。そのことについてクライエントはどのように評価しているのか。
もし、こういうことだったら、カウンセラーとしてはタイミングをみてこっち
へシフトさせていかなければならない。しかし、別のことだったら、それを治
療に使えるかもしれない。
カウンセラーは、クライエントを目の前にして話をしながら、常にこういうア
セスメントをしているのです。このアセスメントは、さまざまな理論に基づき
ながら行います。カウンセラーの得意とする分野の理論をもとに仮説を立てて
いきます。(私は、今は、トラウマ理論、発達理論、家族システム論、夢分析、
身体論などの理論をベースにしています。)
さて、ここで問題なのは、カウンセラーは自分のカウンセリングスキルをアッ
プさせるために、論文を読んだり、ワークショップに行ったりします。これは
好ましいことではあるんですが、これがカウンセラーを縛ることも往々にして
あるのです。つまり、ある論文に縛られて、その状況を見誤るということです。
縛られるというのは、さきほどの夢の「動けない」ということと同等です。
精神科医の中井久夫は、面接の前夜には何か特別な論文を読むことは控えてい
ると言います。それによって自分のセンサーが狂うから、目の前のクライエン
トを見誤るから、と言っています。論文などは、スキルアップにつながるもの
ですが、それは使いようによってはカウンセリングに逆効果に働くということ
を彼は言っています。
つまり、アセスメントには理論が欠かせませんが、それに縛られて、その理論
の視点からしかクライエントを見ることができなくて、目の前のクライエント
を見失ってしまわないようにという警告として、私の夢が出てきた、と解釈も
できます。
つまり、あんまり頭でっかちで面接に向かうと、クライエントのためにならな
いよ、ということです。
さて、もう一つの動けなさ、ライオンに狙われたシマウマの場合です。この動
けなさは歓迎すべきものです。カウンセリングの現場のことを考えた場合、例
えば、感情表出が激しすぎて日常に影響が出てしまいそうなときは、クライエ
ントのほうで、無意識に調整することをします。つまり、カウンセリングにあ
る種の停滞を作るのです。感情的な話からそれるような、たいしたことのない
話や、頭で考えながら話をします。これはクライエントが自分で自分を守って
いることなのです。
この理解がカウンセラー側になく、あくまでも強引に感情へ訴えるセラピーを
続けた場合、クライエントはそのカウンセリングへ来なくなるか、発症します。
この場合、カウンセリングという場にとっては、「動かない」ということが重
要なことになってきます。そしてクライエントが動けるようになるまで、カウ
ンセラーはじっと待つという姿勢を取るのです。待ったほうがいいかどうかと
いうのは、これまでの過去のカウンセリングの流れがどのようにここまで流れ
てきたのかを見渡すことで判断がつくと思います。
カウンセリングの現場では「動けなさ」を感じるのは、クライエントに対して
ばかりではありません。カウンセラー自身の動けなさも感じますし、その面接
室での治療空間が動かないことを要請しているときもあります。
私の夢の「動けなさ」を考えた場合、
上のような2つの現象、つまり理論に縛られて自由度が減った状態と、治療空
間が動かないことを要請した、これらのことが同時に起こっているように思い
ます。
とても示唆に富んだ夢と思いました。
大切なことは、その動けなさがどういう質のものであるのか、そして、必要な
ときには、動けなさを破る行動をとれるか、ということです。停滞の状態から
動くときは、カウンセラーが一人で勝手に破るわけではなく、クライエントと
カウンセラーが一緒に破るわけです。治療空間に守られながら、手を携えなが
ら。それでないと、動く意味がありません。
話は変わりますが、
吃音というのは、「動きたいが動けない」状態と見ることができます。
吃音者の日常生活が、そのようなダブルバインド的な状態になっているのだ、
とアセスメントできます。
吃音者にとって動けないように縛るものは様々ですが、
しかし、その根底には動きたいという気持ちがあるのです。
ここは重要です。単に不安障害をベースにして考えられないものがあります。
私は、吃音は、スピリチュアルな部分で、健康度が高い症状と思っています。
その話はまたいずれ。
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夢の解釈というのは、その人がどう思うかが重要です。
その人がそう思うなら、そうなのだと思います。
そして、その「そうなのだ」から始めることが重要です。
解釈する人の押し付けであっては夢は意味がありません。
夢は夢見手のものであり、それはこのように日常において言語化されようとも、
夢見手から離れることはありません。夢を題材にするとき常に注意していなけ
ればいけない視点と思います。
次回はDVへ戻ります。
絵画を使った相談もお待ちしております。
高間しのぶ(心理カウンセラー)
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メールカウンセリングの方法などについては、
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