2008/04/10
■境界性パーソナリティ障害について(6)【絵画によるメールカウンセリング】
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心理カウンセラー 高間しのぶ の【絵画によるメールカウンセリング】
No.046 [2008年4月10日]
毎週発行
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http://www.solea.main.jp/
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急に暑くなったりで風邪を引かれている人も多いようです。
花粉のアレルギーによる体力低下もあると思います。
この時期は夜更かしするにはいい時期ですが、
しっかりと睡眠をとることも大切ですよ。
私なんか読みたい本を布団に持ち込むのですが、
いつも知らずのうちその本を枕に高いびきです(笑)。
今回は境界性パーソナリティ障害のお話の最終回、マインドフルネスセラピー
を取り上げます。
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■ 境界性パーソナリティ障害について(6)
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マインドフルネスセラピーとは聞き慣れないセラピーかもしれませんが、こ
れまでの説明を読んでいただければ、なんとなくは理解いただけたでしょう
か。
マインドフルネスとは自分のこころの動きに意識を集中することでした。人
のこころというものはともすると、自然にあっちへフラフラ、こっちへフラ
フラ動いてしまいます。例えば道を歩くとき、目的がなく歩いていても、通
りの看板や道端の花に気をとられてしまいます。身体というのは、あなたの
こころの従順な僕(しもべ)です。こころの命ずるままにあなたを運んでく
れます。たまに怪我をしたり病気になったりすると、身体が言うことをきい
てくれないのを恨みますが、だいたいにして普段はこころの言うがままに動
いてくれます。身体はこころのままに動いてくれますが、こころはどうでしょ
う。あなたの願いとはうらはらに、自動的に動いてしまいます。もっと人と
うまくやりたい、なんでこんなことをしてしまうのだろう、なんでこんなに
空っぽなんだろう、もっと満たされていたいのに。そのようなあなたの願い
とはうらはらに、こころや感情は暴走します。
そのたびにしばらくしてあなたは「こんなはずじゃなかったのに」と罪悪感
が溢れてきます。そして自分のこころを恨みます。
爆発的な感情の浮き沈みにご自身で振り回される境界性パーソナリティ障害
の方は、このこころの自動性に長い間ずっと付き合ってこられた方々です。
こころの自動操縦が大得意な方々です。マインドフルネスとはその自動操縦
状態の自分に気づくことなのです。
そのような自分に気づくことを続けると、とても小さな感情の揺れまで自分
で観察することができるようになります。「ふぅーん、私の怒っている感じ
ってこんななんだ」というレベルで自分の感情を受け止めることができるよ
うになってきます。
これは、自分をコントロール下におくとか、自分の認知の歪みを変えようと
しているわけではありません。
そしてこれは簡単なことではありません。これまで習慣化していた自動操縦
をやめることですので、それには苦痛も不安も伴います。普段の生活の中で、
この苦痛と不安に耐えるのは不可能かもしれません。そのためのマインドフ
ルネスセラピーです。
セラピストはクライエントに寄り添うわけですが、クライエントが自分の感
情の小さな揺れを感じることができるように、十分に安全な場を提供します。
十分に安全な場とは、さかなと海水、人と空気の関係に似ています。海のさ
かなは自分のエラの中に侵入してきた海水と一体になっており、海水を異物
としてあつかっていません。むしろ自分を生かしてくれるものとして海水を
受け入れ呼吸しています。人と空気も同様に、空気は肺に入りますが、それ
は異物ではなく、なくてはならないものです。さかなも人も海水や空気によっ
てその生命を保証されているわけですが、海水のことを考えたり空気のこと
を考えたりはしません。なくてはならないものですが、その存在に感謝した
りすることがないのです。
さかなや人をクライエント、海水や空気をセラピストに置き換えてみてくだ
さい。その安全性をわかっていただけると思います。そのような場を提供し
続けることがマインドフルネスセラピーの基本的態度です。
精神分析のホールディングや調和渾然体、ハコミセラピーのLoving Presence、
ウォルシュの治療の贈り物などもほぼ同様の考え方です。
このような状態になるためにはセラピストのほうが、まずマインドフルネス
に親しみ、日常で十分に使えるようになっている必要があります。これによっ
て自分のマインドフルネスの受信機の機能がアップし、クライエントさんの
小さな揺れの感じに気づくことができるようになってきます。セラピスト自
身のこころのかすかな揺れを見ることで、クライエントさんのこころの底の、
静かだけれどろうそくの炎の揺れのような小さな揺れを感じることができる
ようになってきます。
セラピストの小さな揺れとクライエントさんの小さな揺れが交流するとでも
いうのでしょうか、言葉には表わしきれない交流がこの段階で流れ出します。
この流れが大切なのです。この空気の流れがホールディングであり調和渾然
体でありLoving Presenceであり治療の贈り物なのです。
そしてこのクライエントさんに起きている小さな炎のような揺れ、それはど
こからか吹いてくる微風かもしれませんが、そのもの自体は見えなくても、
意識にあがってこなくても、その小さな揺れとともに静かに居ることで、そ
の揺れを起こしているものへ何らかの作用が生まれ、その見えない掴(つか)
めない原因の質が変容するのです。いえ、変容するという言葉はあまりにも
暴力的な言葉かもしれません。変容するというより覚醒するという言葉のが
適切でしょうか。
実際、境界性パーソナリティ障害の方がよくなっていかれる過程というのは、
変容という言葉よりも、もっと高次な精神レベルへ覚醒されていく感じがし
ますね。それは、セラピストの精神レベルよりも遥かに高いレベルへの覚醒
があります。
この小さな揺れを生み出しているもとはいったい何でしょうか。それを見た
り聞いたりすることはできないのですが、それは認知の歪みや自動思考と言
われているような表層的なものではありません。あえて言葉で説明すると、
それはクライエントさんの創造性へつながるスピリチュアルなようなものか
もしれません。
それは何であるかを名づけることは私にはできませんが、クライエントさん
のもつ気高い何物かに触れる一瞬です。セラピストはそこではひれ伏すこと
しかできません。ひれ伏したいという気配が漂ってくるのです。ここがセラ
ピーの急所となります。
そしてセラピーがそこまで進めば、あとはほっておいてもクライエントさん
は良くなられていきます。この微妙な一瞬へ降りていくことがマインドフル
ネスセラピーの基本です。また、日常でセラピストがマインドフルネスのス
キルを実践し続けることで、良い副作用としては、援助職の方にありがちな
燃え尽き症候群も回避できるようになります。
簡単ではありますが、マインドフルネスセラピーの大切な部分を紹介しまし
た。
シーガルが始めたマインドフルネス認知療法はマンドフルネス習得のスキル
が大部分を占めており認知療法的な認知変容の部分はほんの少しです。彼自
身、マインドフルネス認知療法が認知行動療法の枠から外れていくだろうと
その書籍で告白していますが、マインドフルネス認知療法の行く先の一つと
してマインドフルネスセラピーがあるとお考えになってもかまわないかと思
います。
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6回に分けての境界性パーソナリティ障害のお話はいかがでしたでしょうか。
このあとしばらくしたら、うつ病に関してのお話を連載予定です。
絵画を使った相談もお待ちしております。
高間しのぶ(心理カウンセラー)
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