2009/06/29
操縦桿をいつ戻せばいいのか・・・
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 日本経済フライトナビゲーション〜経済が分からない人を全て救います ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 〜2009年6月29日〜 日本経済は1億2000万人が乗る「巨大な旅客機」だ。 コクピットには総理大臣という「機長」と、 日銀総裁とういう「副操縦士」が乗り、 経済政策という「操縦桿」を握っている。 日本経済の飛行状況は? 経済指標というフライトデータは? 機内ではどんなトラブルが起こり、どうやって解決すればいいのか・・・。 このメールマガジンは、 「フライトナビゲーション」の形で、日本経済を分かりやすく解説、 GDPって何?と、いまさら聞けない人のためのメールマガジンだ。 メルマガ専用のホームページ http://www.keizai-navi.com/ を参照しながら、このメールマガジンを読んで下さい。 *****休刊のお知らせ***** 本号をもちまして、このメールマガジンは休刊とさせて頂くことと なりました。これまでのご愛読、誠にありがとうございました。 近い時期に新しい体裁での発行を計画しておりますので、その際に は是非、お読みいただければと思います。 ****************************** 1 飛行概況:いつ、操縦桿を戻せばよいのか・・ ****************************** コックピットから、「底打ち宣言」が出された日本経済という旅客機。 リーマン・ショックを契機とした猛烈な下降気流による墜落の危機を回 避するために、政府という機長は第4エンジン(政府支出)の出力を、 過去最大の景気対策という形で引き上げた。 一方、日銀という副操縦士は、マネーという燃料を大量に供給するこ とで、機体の持ち直しを図った。同様の回避行動をアメリカを始めとし た世界各国も行ったことも手伝って、急降下は止まり、僅かながらも上 昇の兆しを見せ始めているのだ。 しかし、今回の墜落を避けるための様々な緊急行動が、新たな問題を 引き起こす可能性が強まっている。一段と拡大した財政赤字も問題だ が、それ以上に危険なのが大量に供給されたマネーが引き起こす猛烈な インフレなのだ。 現在、日本経済という旅客機には膨大な量のマネー、つまり燃料が供 給され続けている。リーマン・ショックを契機とした金融危機によって、 マネーが急速に消失したことに対応するものなのだが、すでに過剰な状 態となり、旅客機全体が燃料タンクのような状態にある。もし、これに 火がつけば、インフレという猛烈な機内温度の上昇が発生、日本経済と いう旅客機は燃え上がってしまう恐れがあるのだ。 もちろん、第4エンジン(政府支出)の出力をアップするために膨ら んだ財政赤字も大きな重荷となっている。もし、景気回復の道筋が見え たら、財政支出を途中で止めるといった措置も必要となっているのだ。 墜落を回避するために、懸命に操縦桿を引いてきたコックピット。そ の操縦は決して誤りではなかった。しかし、問題はこれから先だ。操縦 桿を戻すタイミングを誤ると、今度はインフレや景気過熱という新たな 危機に追い込まれることになる。いつ、操縦桿を戻すのが・・。早すぎ ても遅すぎてもいけない微妙で困難な判断を、コックピットは迫られて いるのである。 ***************************** 2.最新の飛行データ:第1エンジン(消費)の出力減続く ***************************** @第1エンジン(消費)のデータ ・デパート売上高(5月) 前年同月比−12.3% →4ヶ月連続の2ケタ減少 ・スーパー売上高(5月) 前年同月比−2.0% →6ヶ月連続の前年実績割れ 第1エンジン(消費)の出力減が続いている。新型インフルエンザの流 行も手伝って、消費者の外出が減少、売上減少に拍車がかかった。 回復の兆しが見えない消費だが、景気底打ちの期待感から、消費者心理 に改善の兆しもある。これ以上の悪化は避けられそうな情勢だ。 @第3エンジン(輸出入) ・貿易統計(5月) 輸出 前年同月比−40.9% 輸入 前年同月比−42.4% 貿易黒字 前年同月比−12.1% 第3エンジン(輸出入)の出力ダウンが続いている。輸出は欧米向けが 引き続き不振だが、減少幅は縮小傾向にある。最悪期は脱したと考えられ そうだ。 @機内温度のデータ ・消費者物価指数(5月) 前年同月比−1.1% →3ヶ月連続の下落 機内温度の低下が続いている。5月の消費者物価指数は−1.1%で、 比較可能な1971年以降では最大の落ち込み幅だ。 しかし、これは原油価格が暴騰していた昨年との比較であることも考慮す る必要がある。すでに原油価格は上昇に転じていて、物価の下落がこれ以上 続くとは考えにくい。 機内温度は再び上昇し、インフレの危険性をはらんでいると考えるべきだ ろう。 ***************************** 3 気流の状況〜株式相場&円相場 ***************************** @株式相場〜株価回復も1万円台には届かず 株式市場は鈍いながらも底堅い展開で、週末には1万円台を再び視野に入 れる水準となった。日本の景気底打ち期待と、欧米やアジアの株式市場の上 昇が投資家の心理を改善させている。 今週も上昇基調を維持、1万円台に乗せ、さらに足場を固める展開となり そうだ。 @ドル・円相場〜95円近辺での一進一退 ドル・円相場は95円近辺での展開が続いている。日米共に景気底打ちの 期待があり、「ドル高」と「円高」の要因がぶつかっていることから、大き く動きにくい状況にある。 日米どちらが先に景気の底打ち、さらには回復の証を見せられるかが、ド ル・円相場の鍵を握っている。これが鮮明になるまでは現在の水準での一進 一退が続きそうだ。 @長期金利〜1.3台へ下落 長期金利は下落を続けている。先週は一時1.375%と4月2日以来の 水準にまで下落した。景気回復期待と国債の大量発行を嫌って、国債への投 資を控えていた投資家が、ここへ来て資金を戻していることが主な要因とな っている。 しかし、構造的な長期金利の上昇要因に変わりはない。程なくして1.5 %台に戻し、中長期的にはさらなる上を予想する。 @原油価格〜70ドルを挟んだ取引 前週に70ドル台を割り込んだ原油価格だが、下げ幅は限定的で70ドル を挟んだ一進一退となっている。 アメリカを始めとした世界経済の回復期待が根強いだけに、今週は再び上 昇基調を強めることになるだろう。 ****************************** 発行者 玉手義朗 東京銀行(現東京三菱UFJ銀行)や外資系銀行で 外国為替ディーラーとして経験を積む。 その後、TBSへ転職、経済部などを経て、 「JNNニューズバード」の経済担当デスクとして、 CS放送にも出演。 著書:「円相場の内幕」(集英社) :「経済入門」(共著:ダイヤモンド社)。 ******************************



