2009/06/01
機体の上昇期待が高まる
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 日本経済フライトナビゲーション〜経済が分からない人を全て救います ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 〜2009年6月1日〜 日本経済は1億2000万人が乗る「巨大な旅客機」だ。 コクピットには総理大臣という「機長」と、 日銀総裁とういう「副操縦士」が乗り、 経済政策という「操縦桿」を握っている。 日本経済の飛行状況は? 経済指標というフライトデータは? 機内ではどんなトラブルが起こり、どうやって解決すればいいのか・・・。 このメールマガジンは、 「フライトナビゲーション」の形で、日本経済を分かりやすく解説、 GDPって何?と、いまさら聞けない人のためのメールマガジンだ。 メルマガ専用のホームページ http://www.keizai-navi.com/ を参照しながら、このメールマガジンを読んで下さい。 ****************************** 1 飛行概況:機体の上昇期待が高まる ****************************** 急降下を続けてきた日本経済という旅客機だが、コックピットからの報告 は、上昇の兆しが見え始めたことを伝えるものとなっている。 機長である政府の飛行状況報告である「月例経済報告」。5月の報告は、 「厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている」 となった。「急速な悪化」という従来の見方をやや改善方向に見直した内容 となっていて、与謝野馨財務・金融・経済財政相も「最悪の時期は脱した」 との認識を示した。上向き方向で見直すのは3年3カ月ぶりで、輸出、生産、 経済対策の効果という3つの「薄明かり」を根拠としている。 一方、副操縦士である日銀も同様の見方を示している。日銀の景気状況に ついての報告である「金融月報」だが、5月は景気の総括判断を「悪化が続 いているが、輸出や生産は下げ止まりつつある」とし、4月の「大幅に悪化 している」から上方修正した。総括判断の上方修正は2006年7月以来、 2年10カ月ぶりで、先行きも「当面、悪化を続ける可能性が高い」から 「当面、悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高 い」と上方修正した。 機体の上昇期待が高まっているが、もちろん、景気回復はそう簡単ではな い。しかし、過去最大の景気対策が打ち出されることから、当面は景気回復 が可能だろう。しかし、これが持続して本格的な回復基調になるかは不透明 だ。当面の危機を脱した日本経済という旅客機だが、引き続き不安定な飛行 を余儀なくされることは間違いないだろう。 ***************************** 1. 最新の飛行データ:生産活動の回復が顕著 ***************************** @機体全体のデータ ・鉱工業生産指数(4月) 前月比+5.2% →1953年3月以来、56年ぶりの大幅上昇 生産活動が急速に回復している。4月の鉱工業生産指数は、前月比+5.2 %と約56年ぶりの急回復となった。輸出が底入れしたことや、在庫調整が進 んだことなどが理由となっている。水準そのものは依然として低水準だが、 5、6月もプラス予想と、製造業の生産活動は上向き始めている。超したこと から、コックピットの経産省は、鉱工業生産の基調判断について「持ち直しの 動きがみられる」として、前月の「停滞」から上方修正した。 急降下していた日本経済という旅客機だが、間違いなく機体が上昇する兆し を見せ始めている。 @第1エンジン(消費)のデータ ・消費支出(4月) 前年同月比−1.3% →14ヶ月連続の減少 消費の減少が続いている。14ヶ月連続の減少は過去最長。4月は定額給付 金の支給があったにもかかわらず、消費者の財布のひもは緩まなかった。 @第3エンジン(輸出入)のデータ 貿易収支 輸出 前年同月比−39.1% 輸入 前年同月比−35.8% 貿易収支 黒字690億円 第3エンジン(輸出入)は、少額ながらも黒字を確保、逆噴射を免れた。輸 出は依然として大幅な減少が続いてはいるが、減少のペースが鈍り始めている。 特に、アメリカ向けの輸出が底打ちの気配を見せ始めていて、これが生産活動 の回復にもつながっている。 逆噴射となっていた第3エンジン(輸出入)だが、最悪期は脱しつつある。 @機内温度のデータ ・消費者物価指数(4月) 前月比−0.1% →2ヶ月連続の低下 日本経済という旅客機の機内温度の相当する消費者物価指数だが、2ヶ月連 続で低下した。 デフレの兆候が強まったことを示すデータだが、先行きは必ずしも総出とは 言えない状況だ。生産活動の回復に加えて、原油が上昇基調に転じたことなど、 むしろ機内温度の上昇をもたらす状況が目立っている。 ここ数ヶ月は物価の下落が続くものの、その後は一転して上昇する可能性も ある。デフレ懸念が正反対のインフレ懸念になる恐れもあり、要注意だ。 @空席待ちのデータ ・完全失業率(4月) 5.0% 前月比+0.2% ・有効求人倍率(4月) 0.46倍 前月比 −0.06 完全失業率は旅客機に乗りたくても乗れない乗客の比率、有効求人倍率は、 空席待ち1人に対して何席の空席があるかを示している。 4月は完全失業率、有効求人倍率共に悪化、有効求人倍率は過去最悪の水準 だ。 しかし、生産活動が回復の兆しを見せていることから、雇用情勢もこれ以上 の悪化は当面避けられそうだ。来月以降のデータに注目したい。 ***************************** 3 気流の状況〜株式相場&円相場 ***************************** @株式相場〜上昇気流が本格化、9500円台乗せ 株式市場の上昇気流が本格化している。日経平均株価は08年11月5日以 来の9500円台乗せとなった。 生産活動の回復期待に加えて、原油に代表される商品市況の回復も株価の上 昇を支えている。 懸念されていたGMの再建問題も何とか乗り越えられそうな情勢で、週明け の株式市場はさらなる上昇が期待される。1万円台乗せも急速に現実味を帯び てきた。 @ドル・円相場〜ドル反発も方向感定まらず 前週に93円台を付ける展開となったドル・円相場だが、ドルが反発し95 円台に戻されてきた。北朝鮮問題を嫌気した円安の要素が強まったことが一因 だ。 しかし、景気回復期待は日米に共通するなど、基本的には方向感の定まらな い展開となっている。当面は93〜98円台でのレンジの中での推移となりそ うだ。 @長期金利〜一時1.5%台と、半年ぶりの高水準 長期金利は景気回復期待と国債の大量発行を材料に、一時1.5%台を付け た。およそ半年ぶりの高水準だ。 長期金利がこれ以上上昇すると、企業の資金コストを引き上げるなど景気に 対してマイナスとなる。 株式市場では上昇気流が強まっているが、長期金利は次第に下降気流が強ま る情勢となっているのだ。 @原油価格〜60ドル半ばへ台へ上昇 原油価格は66ドル台に上昇した。引き続き資金の流入が活発な上に、アメ リカの景気回復期待がさらに拡大していることが、原油価格を押し上げている。 原油価格の上昇は、株式市場の上昇気流を支える要因ともなっているが、こ れ以上の上昇は景気回復にダメージとなる。70ドル台に突入する情勢となれ ば、景気回復に水を差す恐れもあるだけに要注意だ。 ****************************** 発行者 玉手義朗 東京銀行(現東京三菱UFJ銀行)や外資系銀行で 外国為替ディーラーとして経験を積む。 その後、TBSへ転職、経済部などを経て、 「JNNニューズバード」の経済担当デスクとして、 CS放送にも出演。 著書:「円相場の内幕」(集英社) :「経済入門」(共著:ダイヤモンド社)。 ******************************


