2009/04/27
見え隠れする楽観論
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 日本経済フライトナビゲーション〜経済が分からない人を全て救います ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 〜2009年4月27日〜 日本経済は1億2000万人が乗る「巨大な旅客機」だ。 コクピットには総理大臣という「機長」と、 日銀総裁とういう「副操縦士」が乗り、 経済政策という「操縦桿」を握っている。 日本経済の飛行状況は? 経済指標というフライトデータは? 機内ではどんなトラブルが起こり、どうやって解決すればいいのか・・・。 このメールマガジンは、 「フライトナビゲーション」の形で、日本経済を分かりやすく解説、 GDPって何?と、いまさら聞けない人のためのメールマガジンだ。 メルマガ専用のホームページ http://www.keizai-navi.com/ を参照しながら、このメールマガジンを読んで下さい。 〈お知らせ〉次週5月4日号は休刊とさせていただきます。 ****************************** 1 飛行概況:見え隠れする楽観論 ****************************** 「機体が持ち直すかもしれない・・・」 悲観論一色だった景気だが、一部に底を打ったとの見方が出始めている。 企業の在庫調整が急速に進み、生産活動に回復の兆しが見え始めたというの だ。また、政府の景気対策の結果、中国における需要が回復し始め、輸出に 明るさが見え始めたこともこうした見方を支えている。また、アメリカでも 住宅関連のデータに明るさが見え始め、株価も回復基調になっていることか ら、当面の底を打ったとの見方が、一部のエコノミストの間から出され始め ている。 週末に開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でも、こう した認識が示された。「景気後退速度の鈍化やいくらかの安定化の兆候を示 すデータも出てきた」とした上で、「世界経済は今年後半には回復に向かう 」との見通しを示した。 しかし、基本的な状況に変化はない。コックピットの副操縦士である日銀 の白川総裁も楽観論を戒める。白川総裁は23日、NYで行った講演で、 「日本経済は1990年代の低成長においても、何度か一時的な回復局面を 経験したが、このことは経済がついにけん引力を取り戻したと人々に早合点 させる働きをしたように思う」と指摘。その上で「これは『偽りの夜明け』 とも言うべきものだったが、人間の常として、物事がいくぶん改善すると楽 観的な見方になりがちだ」と述べ、一時的な回復を本当の回復と見誤ること に警鐘を鳴らした。 一方で白川総裁は、「終わりのない経済危機というものはない」と強調、 悲観論一色に傾くともに対しても警鐘を鳴らしている。 100年に一度といわれる経済危機。もし、これが現段階で底を打つとし たら、世界中のエコノミストや政府関係者、著名な投資家たちが全て間違っ ていたことになる。 経済データに幾分明るさが見え始めたことは事実であり、短期的な景気回 復が起こる可能性は十分ある。しかし、経済全体がバランスを取り戻し、危 機を乗り切ることができるのは、まだかなり先のことになると考えざるを得 ない状況だ。「偽りの夜明け」にだまされてはならない。 ***************************** 2 最新の飛行データ:機内温度が急速に低下 ***************************** @第1エンジン(消費)のデータ ・スーパー売り上げ(3月) 前年同月比−4.0% →4ヶ月連続の減少 消費は相変わらずの低迷ぶりだ。スーパーの売り上げは、これまで比較的 好調だった食料品の売り上げもダウン、厳しい状況が続いている。 消費者心理は冷え切ったまま。定額給付金の支給も、消費を一気に拡大さ せる効果は期待できない。メインエンジンの出力不足はまだまだ続くことに なりそうだ。 @第3エンジン(輸出入)のデータ ・貿易統計(3月) 輸出 前年同月比 −45.6% 輸入 前年同月比 −36.7% 貿易黒字 前年同月比 −99.0% 第3エンジン(輸出入)は、引き続き出力ダウンが続いている。しかし輸 出の減少幅が幾分縮小し始めている。これが一部に出始めた楽観論の根拠と なっているようだ。 しかし、現段階では明確な底打ちの兆しは見えない。もうしばらく、デー タを見守る必要があるだろう。 ***************************** 3 気流の状況〜株式相場&円相場 ***************************** @株式相場〜9000円台は厚い壁 回復基調が続いている株式市場だが、9000円の壁は厚いようだ。この 水準に近づいてくると、当面の利益を確定しようと言う売り注文が出て、跳 ね返されてしまう。 一方、NY株式市場も金融機関の決算が回復したことから、一段と楽観論 が強まっている。しかし、こちらもビッグ3の再建の行方が確定しないこと から、上昇基調を維持できないでいる。 懸念材料はあるものの、株式市場の基本的な流れは上昇気流だ。いずれか のタイミングで、大きく上抜けする可能性があり、少しは期待できる状況と いえるだろう。 @ドル・円相場〜ドルが反落 100円をはさんでの一進一退が続いていたドル・円相場だが、ドル安に 振れ始めた。ビッグ3への破産法適用が現実味を帯びるなど、外国為替市場 では、アメリカ経済に対する不安感が先行している。 しかし、NY株式市場が上昇力を強まる可能性があることから、ドル・円 相場もこれ以上のドル安は考えにくい。95円台が当面のドル底値になるだ ろう。 @長期金利〜1.4%台での一進一退 長期金利は1.4%台での展開が続いている。国債の増発を控えて、長期金 利に対する上昇圧力が強いが、一方で、景気の状況は依然として厳しく、金 利の上昇を押さえている。 しかし、長期的には長期金利の上昇余地は大きい。取引の中心は次第に1. 5%へとシフトアップする可能性が高いと言えるだろう。 @原油価格〜40ドル台後半に軸足を移す 50ドル台での一進一退が続いていた原油価格だが、先週は40ドル台に下 落した。アメリカの景気底打ち期待が出始めたことから買いが出ていたが、 なかなか定着しない。しかし、下値も限界的であり、再び50ドル台へ戻さ れる可能性が強い。 ****************************** 発行者 玉手義朗 東京銀行(現東京三菱UFJ銀行)や外資系銀行で 外国為替ディーラーとして経験を積む。 その後、TBSへ転職、経済部などを経て、 「JNNニューズバード」の経済担当デスクとして、 CS放送にも出演。 著書:「円相場の内幕」(集英社) :「経済入門」(共著:ダイヤモンド社)。 ******************************


