2009/05/30
日本化する?アメリカの最新人的資源管理(前半)
テーマ:日本化する?アメリカの最新人的資源管理(前半) 今日のジャンル HRM(人的資源管理) 教科書:ナウエコノミー―新・グローバル経済とは何か 野呂 一郎 価格:¥ 3,465(定価:¥ 3,465) http://www.amazon.co.jp/dp/4762015873/ref=nosim/?tag=noroworldco07-22 参考ページ: P181 グローバル企業最新ケース・スタディ(HRM編) ■若さ至上主義が変化し始めた かつてアメリカの象徴は若者、でした。アメリカは若さという価値観に 最大の信仰をおいて成長してきた国です。経済においても、常に若者が アメリカをリードしていました。ケネディだって、オバマだって40代の リーダーです。40代でのCEO(再考経営責任者)は普通です。 しかし、この大不況のあおりを受けて、若者が主役の座からひき下ろされよう としています。かつて実力さえあれば若者は安泰でした。そして若いという だけで社会も回りも彼ら彼女らをもてはやしました。若さは無条件に崇拝され、 若いというだけであらゆることに有利でした。ことに能力があれば、 彼ら彼女らは出世の階段をどんどん上っていきました。 なぜか? 年上だから無条件に敬うという儒教的な価値観がないからです。 年功、年功序列という考え方がまったくないからです。実力があれば、 個人としても、組織のなかでも年齢は関係なしにノシ上がれる。 若者が一旗揚げることができる社会、それがアメリカでした。 ■成果主義は日本では無理 しかし、日本の経済はそうはいきません。 なぜならば、成果主義とか能力主義とか言われたって、ほとんどの組織は、いまだに 「職能資格制度」という名の年功序列システムを採用しているからです。 職能資格とは、その名の通り、職能つまり仕事の能力に応じて処遇する 一種の能力主義です。しかし、その言葉とは裏腹に実体は、年功主義です。 というのは、能力主義を標榜しているんだけれど、その運用が年功的であり、 結果として年功序列になっているのです。例えば、ある能力を満たせば BからAというランクに出世できるとしましょう。しかし、満たさなくても Bのランクに3年とどまっていれば、自動的にAランクに出世するのです。 年相応に出世させないと、という年功意識が組織に働くためです。 結果的に年齢の横並びになります。もちろん例外はあります。 日本は社会が相手の年齢を意識することで成り立っているので、 30歳の部長が40歳の部下を持つことは、組織としてギクシャクするので、 出世するのに適当に時間がかかったほうが組織として好都合、 こういうこともあります。 成果主義のほころびがいわれるようになってきました。 やはり、年功序列が日本社会には一番しっくりくるのです。 ■年功主義に傾くアメリカ そこへいくと、アメリカは基本的に職務給、つまり仕事の難しさで給料が 決まりますから、年齢なんて関係ない。そして完全能力主義ですから、 年功は組織の階段を上がるにあたって一切考慮されない。そのはずでした。 しかし昨今、その実力主義が変わってきたというのです。実力主義から むしろ結果として年功主義に移行しているのではないか、とも思えるのです。 若者よりも、年寄りを優遇する、これが現在のアメリカの人的資源管理の ひとつの現実です。組織の、社会のスターだった若者がその座から、 追いやられようとしています。この大不況に、企業がこぞって若者を 真っ先に解雇しようとしているのです。 ■実力に関係なく切られる若者たち データをみてください。若者の失業率が目立って高くなっています。 アメリカ労働局(US Labor Department)によれば、25歳から34歳の若者の 今年4月の失業率は9.6%です。前年同月は4.9%であり、明らかにこの大不況の あおりを受けています。しかしこれに対して55歳以上の失業率は6.2%で (同3.3%)に過ぎません。どうしてか? 企業は年配者よりも、若者の首をより多く切っているからです。 ■まだ年齢差別をやっている唯一の先進国ニッポン 理由はいくつかありますが、まず年齢差別の問題があげられます。 日本と違ってアメリカでは職務に関して年齢による差別は違法です。 これは1967年に制定されたAge Discrimination in Employment Act of 1967が根拠になっています。当時は40歳から65歳の従業員を守るためでしたが、 1978年に70歳までと改定され、さらに1986年に年齢条項が撤廃されました。 こうした立法以来、アメリカの組織は、年齢差別を非常に意識するようになり、 違反を恐れるようになっていったのです。特に55歳以上の解雇には、 大変にナーバスになっています。結果として、アメリカ企業は解雇するなら 年配労働者でなく、若者を、となってきたのです。 長くなりました。この続きは近く配信させていただきます。 以上


