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2009/04/07

コカコーラの中国ジュースメーカー買収失敗の背景 完結編 ビル・ゲイツに学べ

テーマ:コカコーラの中国ジュースメーカー買収失敗の背景 完結編 ビル・ゲイツに学べ

教科書:ナウエコノミー―新・グローバル経済とは何か 野呂 一郎

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今週のジャンル
・中国
・食品の経営学
・保護主義
・ナショナリズム(異文化コミュニケーション)
・スタンダーダイゼーションとカスタマイゼーション

参考ページ:
P103〜113 グローバル企業最新ケース・スタディ 国際編 中国
P269 異文化コミュニケーションの最新理論 MBA異文化コミュニケーション理論

プロレスの経済学HP http://www.justmystage.com/home/prowrestling/

○現代における保護主義の問題
	
■保護主義をムキになって否定してあらわになった中国の本音

 人間、むきになって反論するのは、本音を悟られまいと必死に抗弁している

ことが多いものです。中国は今回のコカコーラによる買収却下を

「保護主義ではない」と必死です。保護主義といえば、オバマ大統領が

バイ・アメリカンを唱えたことが、明らかな保護主義だとして世界中から

非難の大合唱を招いたことは、ついこないだのことでした。

100年に一度という世界大不況では、保護主義という一人だけ抜け駆けして

世界全体のことを考えないやり方は、タブーにほかなりません。

だから、今回の中国政府の買収却下は保護主義の疑いアリとされたわけです。

実際、そのとおりだと思います。


■中国政府の海外投資戦略に冷水浴びせた買収却下

 大国中国がグローバルに国境を越えた自由貿易の現実に背を向けるのは

理不尽です。今回の件は、中国の行為を保護主義とみなしている各国の

報復を考えると、中国にとってはミステイクだとする声もあります。

例えば、中国企業は今、安上がりな海外投資を狙っています。特に石油、

金属、その他の天然資源は今後の中国の経済発展に欠かせない分野であり、

政府も探鉱会社の海外投資の規制を緩め始めていました。昨年の秋ごろ、

ちょうど世界大恐慌の悪影響が出始めてきたころから、中国政府は海外の

天然資源獲得のために画策していたのです。3月中旬には、中国政府は

国際社会に保護主義に反対を呼びかけたりもしています。

しかし、コカコーラの買収を拒否する矛盾はどう説明すればよいのでしょう。

○中国企業の国際競争力の問題

■国内企業を育てきれない中国のジレンマ

 中国政府が自前のブランドを残したがった背景には、中国企業に

国際競争力をつけさせたかったとの狙いもあります。中国の経済閣僚たちは、

懸命に中国企業に対して技術力、マーケティング力、ブランド力を強化

させるべく必死にやってきました。一方で利益の上がらない、労働集約的な

産業からのシフトを画策してきました。ここで中国のこれからの産業である

ジュースビジネスを、外国企業に買収されては、よいロールモデル

(模範企業)が育たないことを危惧したのでしょう。しかし、今の時代、

中国政府が国内で純粋培養しようという企業といえども、国内企業で

いることは難しいのです。中国匯源果汁集団はすでに上海の取引所に

上場しており、フランスのダノングループ(Groupe Danone SA)が23%の

株式を、6.8%はアメリカ企業が保有しています。だから国を挙げて

国内企業を保護しようという中国政府のやり方は矛盾しているともいえます。


○国民感情というグローバル時代に一見そぐわない古くて新しい問題

■ナショナリストの反発

 中国政府が買収を独占禁止法違反を持ち出して反対した背景には、

やはり国内世論があるようです。中国の有力ポータルサイトSina.comが

約50万人を対象に行った世論調査では、買収計画が明らかになった直後、

8割が買収に反対を表明しました。「中国国内産業を守れ」という

メッセージです。「さもないと、中国の衣服、食品、ホテル、交通機関など

みんな外国人に支配されてしまう」。

「中国のナショナルブランドがなくなることは、長期的にみて中国の

産業界にプラスにならない」とは、ある有力企業のマーケティング

ディレクターの声です。


■中国で成功するには忍耐が必要だ

 今回の中国企業買収失敗をみるにつけ、中国市場で大きな取引を成功

させるには、忍耐が必要なことを思い知らされます。この点で

ビル・ゲイツ率いるマイクロソフトは、グッドジョブでした。

かつてマイクロソフトは、中国市場でのウインドウズ海賊版に悩まされ、

撲滅運動を打ったのですが、それが現実的でないとしるや海賊版を

あえて放置するという逆転の発想をぶち上げました。

一方で元国務長官のキッシンジャー氏などを使って、中国政府を時間を

かけて懐柔、ついには中国政府のお墨付きをゲットし、ウインドウズ

中国進出への足がかりをつけました。このプロセスにビル・ゲイツは

なんと10年以上も費やしています。アメリカ企業というと、今回の

コカコーラのように異文化コミュニケーションが下手の定評がありますが、

マイクロソフトはしたたかでした。

拙著の中国ケース・スタディはすでに古いですが、国の文化はそう簡単には

変わりません。是非中国とのビジネスの際には、もう一度お読みに

なっていただきたいと思います。

                                以上


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