2009/04/04
コカコーラの中国ジュースメーカー買収失敗の背景1.世界果汁バトルの勃発
テーマ:コカコーラの中国ジュースメーカー買収失敗の背景1.世界果汁バトルの勃発 教科書:ナウエコノミー―新・グローバル経済とは何か 野呂 一郎 価格:¥ 3,465(定価:¥ 3,465) http://www.amazon.co.jp/dp/4762015873/ref=nosim/?tag=noroworldco07-22 今週のジャンル ・中国 ・食品の経営学 ・保護主義 ・ナショナリズム(異文化コミュニケーション) ・スタンダーダイゼーションとカスタマイゼーション 参考ページ: P103〜113 グローバル企業最新ケース・スタディ 国際編 中国 プロレスの経済学HP http://www.justmystage.com/home/prowrestling/ ■ドリンク市場はグローバルとローカルの交差点 海外に行って楽しいのは、その国の珍しい飲み物を味わってみることだったり します。この間行った台湾で飲んだスイカジュースはとてもおいしいものでした。 スーパーには日本にないジュースが沢山あり、コカコーラやペプシなどよりも 山積みになっていました。やはり食の世界はスタンダーダイゼーション (世界共通マーケティング)ができにくい領域だと実感します。 今回、コカコーラが中国最大の果汁メーカー、中国匯源果汁集団 (China Huiyuan Juice Group Limited)の買収を企てたのは、その意味で 理にかなっています。コカコーラが独自に中国人のテイストを研究して、 中国人の味覚に合うドリンクをつくることは至難の技です。 コカコーラだけではなく、コカコーラの最大のライバルペプシコも、 世界中でローカルなドリンクメーカーの買収を次々と仕掛けています。 飲料業界は、製造規模と流通網が大きければ大きいほど、規模の利益を 得ることができますから、この意味でもドリンク業界の世界的なM&A熱は 当然といえましょう。 ■コカコーラ買収失敗の4つの視点 今回中国側(中国商務部)は3月18日、コカ・コーラによる中国匯源果汁集団 買収を承認しないと発表しました。その理由は独禁法に触れる、というものです。 買収は、コカコーラのブランド力、市場支配力で市場での競争を阻害する、 というものです。政府としては、国内産業を守るための当然の策とも言える でしょう。事実、コカコーラが外国の市場から締め出しを食ったのは、 これが初めてではありません。EU諸国からもキャドバリー・シュウップス ブランド(Cadbury Schweppes)の飲料メーカーを買収しようとした時も 拒否されましたし、オレンジーナブランド(Orangina)を奪い取ろうとした 時も、フランス政府が独禁法に触れるとしてこれを拒否しています。 いろいろな海外の報道を見てみると、この問題は4つの要因が絡んでいる、 現代の世界経済に様々な面白い示唆がある問題だと感じます。 1.世界大不況におけるドリンクメーカーの大戦争 2.現代における保護主義の問題 3.中国企業の国際競争力の問題 4.国民感情というグローバル時代に一見そぐわない古くて新しい問題 それでは一つ一つ見ていきましょう。 ○世界大不況におけるドリンクメーカーの大戦争 ■新興国市場のシェアの奪い合いの激化 ドリンク市場は、不況に強い市場といわれています。なぜならば、 食品もそうですが、日用品であり、価格が安い、そして嗜好品であるので 不況でもファンは離れにくいからです。飲み物はカンやビン、ペットボトル に入れれば流通がしやすく、マーケティング(広告は特に)、物流、 生産設備の増強により、不況に負けない規模の利益を確保できる可能性が あります。事実、コカコーラやペプシコは中国での生産拡大を見込み、 大規模な投資を実現、計画しています。The Wall Street Journal3月19日号 によれば、今後3年でコカコーラは中国市場に20億ドルを投じる計画があります。 この投資は主にマーケティング、流通、そして新工場建設に使う予定です。 コカコーラは、今回拒否された中国匯源果汁集団の買収はあきらめておらず、 こうした飲料マーケティングのインフラ整備を見せ付けて、中国政府に 買収の再考を促すつもりなのです。ペプシコも最近スナック&ドリンク ビジネスの強化に10億ドルを投じると発表、これは主に中国でのジュース ビジネスの拡大を狙ってのことです。コカコーラはすでに中国では 炭酸飲料市場で52.5%のシェアを持っており、ペプシコはこれに続く 32.8%を誇っています。 ■炭酸の時代から100%ジュースの時代へ しかし、両者とも狙いはジュースつまり果汁部門です。 100%果汁市場は高価格帯になりおいしいわけでが、100%果汁の シェアでは、コカコーラが買収をたくらんだ中国匯源果汁集団が33%を 占めています。ちなみにジュース市場では、ドールが9.4%、 Great Lake Tianjin Fresh Food & Juice(おそらく中国メーカー)が5.8%、 Tingyi(これも中国メーカー)が2.4%、その他が49.8%となっており、 コカコーラとペプシコは、100%果汁市場では「その他大勢」という ポジションに甘んじているわけです。 ちょっと長くなってきました。この続きは明日以降に。


