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2009/04/04

コカコーラの中国ジュースメーカー買収失敗の背景1.世界果汁バトルの勃発

テーマ:コカコーラの中国ジュースメーカー買収失敗の背景1.世界果汁バトルの勃発

教科書:ナウエコノミー―新・グローバル経済とは何か 野呂 一郎

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今週のジャンル
・中国
・食品の経営学
・保護主義
・ナショナリズム(異文化コミュニケーション)
・スタンダーダイゼーションとカスタマイゼーション

参考ページ:
P103〜113 グローバル企業最新ケース・スタディ 国際編 中国

プロレスの経済学HP http://www.justmystage.com/home/prowrestling/

■ドリンク市場はグローバルとローカルの交差点

 海外に行って楽しいのは、その国の珍しい飲み物を味わってみることだったり

します。この間行った台湾で飲んだスイカジュースはとてもおいしいものでした。

スーパーには日本にないジュースが沢山あり、コカコーラやペプシなどよりも

山積みになっていました。やはり食の世界はスタンダーダイゼーション

(世界共通マーケティング)ができにくい領域だと実感します。

今回、コカコーラが中国最大の果汁メーカー、中国匯源果汁集団

(China Huiyuan Juice Group Limited)の買収を企てたのは、その意味で

理にかなっています。コカコーラが独自に中国人のテイストを研究して、

中国人の味覚に合うドリンクをつくることは至難の技です。

コカコーラだけではなく、コカコーラの最大のライバルペプシコも、

世界中でローカルなドリンクメーカーの買収を次々と仕掛けています。

飲料業界は、製造規模と流通網が大きければ大きいほど、規模の利益を

得ることができますから、この意味でもドリンク業界の世界的なM&A熱は

当然といえましょう。


■コカコーラ買収失敗の4つの視点

 今回中国側(中国商務部)は3月18日、コカ・コーラによる中国匯源果汁集団

買収を承認しないと発表しました。その理由は独禁法に触れる、というものです。

買収は、コカコーラのブランド力、市場支配力で市場での競争を阻害する、

というものです。政府としては、国内産業を守るための当然の策とも言える

でしょう。事実、コカコーラが外国の市場から締め出しを食ったのは、

これが初めてではありません。EU諸国からもキャドバリー・シュウップス

ブランド(Cadbury Schweppes)の飲料メーカーを買収しようとした時も

拒否されましたし、オレンジーナブランド(Orangina)を奪い取ろうとした

時も、フランス政府が独禁法に触れるとしてこれを拒否しています。

いろいろな海外の報道を見てみると、この問題は4つの要因が絡んでいる、

現代の世界経済に様々な面白い示唆がある問題だと感じます。

1.世界大不況におけるドリンクメーカーの大戦争
2.現代における保護主義の問題
3.中国企業の国際競争力の問題
4.国民感情というグローバル時代に一見そぐわない古くて新しい問題

それでは一つ一つ見ていきましょう。

○世界大不況におけるドリンクメーカーの大戦争

■新興国市場のシェアの奪い合いの激化

 ドリンク市場は、不況に強い市場といわれています。なぜならば、

食品もそうですが、日用品であり、価格が安い、そして嗜好品であるので

不況でもファンは離れにくいからです。飲み物はカンやビン、ペットボトル

に入れれば流通がしやすく、マーケティング(広告は特に)、物流、

生産設備の増強により、不況に負けない規模の利益を確保できる可能性が

あります。事実、コカコーラやペプシコは中国での生産拡大を見込み、

大規模な投資を実現、計画しています。The Wall Street Journal3月19日号

によれば、今後3年でコカコーラは中国市場に20億ドルを投じる計画があります。

この投資は主にマーケティング、流通、そして新工場建設に使う予定です。

コカコーラは、今回拒否された中国匯源果汁集団の買収はあきらめておらず、

こうした飲料マーケティングのインフラ整備を見せ付けて、中国政府に

買収の再考を促すつもりなのです。ペプシコも最近スナック&ドリンク

ビジネスの強化に10億ドルを投じると発表、これは主に中国でのジュース

ビジネスの拡大を狙ってのことです。コカコーラはすでに中国では

炭酸飲料市場で52.5%のシェアを持っており、ペプシコはこれに続く

32.8%を誇っています。


■炭酸の時代から100%ジュースの時代へ

 しかし、両者とも狙いはジュースつまり果汁部門です。

100%果汁市場は高価格帯になりおいしいわけでが、100%果汁の

シェアでは、コカコーラが買収をたくらんだ中国匯源果汁集団が33%を

占めています。ちなみにジュース市場では、ドールが9.4%、

Great Lake Tianjin Fresh Food & Juice(おそらく中国メーカー)が5.8%、

Tingyi(これも中国メーカー)が2.4%、その他が49.8%となっており、


コカコーラとペプシコは、100%果汁市場では「その他大勢」という

ポジションに甘んじているわけです。

ちょっと長くなってきました。この続きは明日以降に。
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