2009/12/14
映画批評0142「ニュームーン/トワイライト・サーガ」
┏ 映画批評と物語構成論0142 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『ニュームーン/トワイライト・サーガ』 The Twilight Saga: New Moon (09) ┏┏┏┏ 女子高生と吸血鬼との出逢いを描いた『トワイライト』シリーズ第2弾。 世界ほぼ同時公開で、日本ではそんなにヒットしていませんが、 アメリカでは爆発的なヒットを飛ばしていて、 “New Moon”と言えばイコールこの映画。 本当にスゴいことになっています。 『ハリー・ポッター』シリーズにも出ているロバート・パティンソンが 永遠に17歳のまま歳をとらない美青年吸血鬼を演じていて、 彼の顔や蒼白メイクは『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』(02)の スチュワート・タウンゼントに似ています。 「アメリカで吸血鬼をやるとこういう顔になるのね」と、 青白くて、アゴがでている。 「要するに有田哲平みたいな顔でしょ」と、 そんなことを考えている人にはこの映画は楽しめません!!! とにかくヒットしている。 アメリカのみならず、スペインや豪州でも観客動員の記録を更新しました。 なぜならば原作小説のファンも大勢いるし、映画自体のファンもいる。 彼らはもちろん劇場に駆けつけるし、 社会現象と化しているのでファンじゃない人もとりあえず観に行く。 そして大ヒットした。 ところが世間的評価は芳しくない。 むしろ悪い※。 ※http://www.rottentomatoes.com/m/twilight_saga_new_moon/ ファンは当然満足しているはずで(でなければヒットするはずがない)、 つまりファンである人とファンでない人とのあいだに いかんともしがたい「温度差」があるわけです。 (映画としての)ストーリーに斬新さはありません。 いまさら説明するのもナンですが、 古典「ドラキュラ」がまさにそうであったように 吸血がセックスの代替行為で、 それを初恋の、純愛の、禁断の愛に変換させた。 「やりたいけどやれない」 なぜなら 「やるとキミは吸血鬼になってしまうから」 「それでもわたしは構わないわ」 「キミは永遠に生きつづけることのツラさをしらないんだ」 そんな感じの物語です。 映画としての第1弾となる『トワイライト〜初恋〜』(08)は アクションシーンで「CGアクション」をやるのは構わないのですが、 (吸血鬼だからビュンビュン翔ぶ、軽やかに素早く動く) ロマンチックなシーンでもソレをやると 「アクションとロマンス」は「水と油」の関係だから ギャグにしか思えない。 『少林サッカー』(01)のようなCGギャグアクションをマジでやってる。 『少林サッカー』はギャグだからいいのですが、 『トワイライト』はマジでしょう。 ゆえに客席が凍りつく。 そこが難点でした。 ところが第2弾となる本作では、前回の反省を踏まえたのでしょう。 前作のような「トホホシーン」はありません。 なにしろ監督が違います。 前作のキャサリン・ハードウィックに替わって 今回の監督は『アメリカン・パイ』(99)のクリス・ウェイツ。 青春エロコメディの決定版を監督したあのクリス・ウェイツです。 そんなウェイツは実は『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(07)も監督しています。 『アメリカン・パイ』とは正反対の、大マジメなファンタジー映画です。 今作では吸血鬼族とオオカミ族の対決が描かれるので、 アニマル出まくりの『ライラの冒険』のウェイツ監督ならば 巨大オオカミを上手く描けるだろうし、 『アメリカン・パイ』で若者の群像劇にも長けているし、と まさに適任じゃないか、と。 まるで文武両道。なんでもできる監督じゃないか、と。 しかしその肝心の『ライラの冒険』は、公開当時、 CGのリアリティーの無さを指摘されまくっていました※。 ※www.rottentomatoes.com/m/his_dark_materials_the_golden_compass/ 評価はボロボロ。 要するに「CGがモッサリしている」。 ウェイツ監督にとっては『ライラ』は初めての本格的なCGだったので 慣れてないだけかとも思えました。 ところが2回目となる本作でも同じことをやっている。 どうやら本人は「気づいていない」。 もしくは「これを良しとしている」。 『トワイライト』のファンは主役の2人の設定にズキュンときているし、 今回はオオカミ男との三角関係にも発展します。 物語的には満足する内容なのです。 そして主演のクリステン・スチュワートとロバート・パティンソンには 若者特有の、ういういしい魅力があります。 ところがそこから離れて「映画単体」を評価すると、 激しいアクションがあるわけでもないし、エロティシズムもない。 マイケル・シーンとダコタ・ファニングがゲスト出演しているけども 顔見せ程度で、活躍しない。 なによりCGがいまの水準に達しておらず、褒められた出来ではない。 ゆえに評価が低い。 前作にもまして低い。 「物語」を愛することと「映画」を愛することとは別だから そこにファンと非ファンとのあいだの「温度差」が生じるわけです。 前作よりは「硬派」になった。 しかし「中途半端な硬派」なのです。 そんな中途半端な硬派、中途半端なアクションをするぐらいなら 「甘ったるくても構わない」。 サーガとしての最終章となる次回作では 前作のような雰囲気に戻して ファンのこころをこそ満たすべきでしょう。 ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ 次週は──『インフォーマント!』とソダーバーグ監督論! ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


