2009/11/09
映画批評0137「きみがぼくを見つけた日」
┏ 映画批評と物語構成論0137 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『きみがぼくを見つけた日』 The Time Traveler's Wife (09) ┏┏┏┏ この映画のプロデューサーはブラッド・ピットです。 『オーシャンズ13』(07)のプロモーションのときに ジョージ・クルーニーがレイチェル・マクアダムスのことを気にしていて※ 「いったい何を気にしているのだ!?」 「ひょっとして狙っているのか!?」 と思ったら、こういうことでした。 ※http://www.time.com/time/arts/article/0,8599,1626512,00.html 原作小説が発表されたのが2003年。 その映画化権をブラッド・ピットが取得して、 主演女優は誰がいいだろうか、と、 そして白羽の矢が立ったのがレイチェル・マクアダムス。 そのレイチェル・マクアダムスが演じているのが 原題のタイトルロール“The Time Traveler's Wife”こと タイムトラベラーの妻です。 タイムマシンを使わずに、文字どおり裸一貫でタイムトラベルする男。 しかも思いどおりには時間移動できず、時間も場所も完全にランダム。 母親の死をきっかけにしてトラウマ的にこの能力が発症し、 以後、タイムトラベルしまくり。 つまりは「完全に振り回されちゃってる」わけですが、そんな彼が 移動した先で1人の少女と出会います。 そしてそれが運命の出会いである、と。 6才の少女のまえに突如あらわれる中年男(裸)。 即効で逮捕されるであろう ちょっとしたド変態ですが、 そうではなくて、 これがおいおい夫婦の話になって、 家族の話になって、 最終的には父と娘の話に収束していく。 そこまで観れば、まあ納得できる設定です。 監督は、ジョディ・フォスター主演の『フライトプラン』(05)の ロベルト・シュヴェンケで、 飛行中の機内から娘がいなくなるけど、それは母親の妄想かもしれず、 娘は実在するのか? しないのか? 娘は誘拐されたのか? それともそもそもいないのか? いやいや、実は巨大な陰謀だった(!!)・・・という 無茶苦茶な、計画性ゼロの、ツッコミどころ満載の犯罪映画で、 ジョディ・フォスター自身のIQは高いくせに 主演映画のIQは限りなく低いという ジョディ・フォスターの評価をいっきに下げた作品ですが、 巨大旅客機の客室内の独特な雰囲気、母親の気分、ラストの余韻・・・ 映画の「雰囲気」だけはありました。 だから本作も「雰囲気」だけで押し切ります。 そしてそれは本作に限っていえば「うまくマッチ」しているといえます。 これがもしSF物であれば、 なんとかして母親の事故死を回避しようとするが、できない── 何度トライしても歴史を変えることはできない── そこに重点を置いて物語を展開(あるいは導入)させていくはずですが、 「歴史を変えることはできない」という台詞、そのひと言だけで、 実にアッサリと処理しています。 代わりに重点を置かれるのは「ラブロマンス」で、 ラブロマンスには「不要な説明」は不要であり、 そこには「雰囲気」さえあればいい。 『フライトプラン』も、考えだすとボロが出る。 本作も、考えだすとボロが出る。 (特殊能力を受け継いだ娘も、時間移動すると裸になるの?) (かなりヤバいのでは?) そういうツッコミどころのあるストーリーを 過剰な説明を排して、雰囲気だけで押し切る。 シュヴェンケの「作家性」と、本作のストーリーの「雰囲気」が うまくマッチングした、これは稀有な良作です。 (この原作に、シュヴェンケ監督が合うと判断した プロデューサーはエラい!) ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ レイチェル・マクアダムス主演で、もう1本! 次週は── 日本未公開&DVD(発売中)スルーの佳作! 『それぞれの空に』を取り上げます! ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


