2009/11/02
映画批評0136「あなたは私の婿になる」
┏ 映画批評と物語構成論0136 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『あなたは私の婿になる』 The Proposal (09) ┏┏┏┏ サンドラ・ブロック演じるカナダ国籍のキャリアウーマンが アメリカ国籍を取得するために部下に偽装結婚を強要する。 言ってしまえばそれだけの話であり、 偽装結婚にまつわるドタバタは、アダム・サンドラー主演の 『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』(07)に良く似ているし、 強気な女性が田舎の彼氏の実家に行って家族愛に触れるくだりは サラ・ジェシカ・パーカー主演の『幸せのポートレート』(05)に 本当にソックリです。 (舞台が「寒い地方」という共通点) (どちらの作品も「父親」役としてクレイグ・T・ネルソンが出ている) ただし『幸せのポートレート』の主人公には妹がいましたが 本作の主人公には親すらいません。 (「16歳からずっと1人だった」という台詞に注目!) さらには、友だちも、仲の良い同僚もいないという設定になっています。 強気で、バリバリのキャリアウーマンだけども その内面は「すごくさびしい」。 良く言えば「ガラスのハート」、悪く言えば「化けの皮」が剥がされて、 偽装結婚のつもりが、本当のラブに変わっていく──という まあ予測どおりのストーリーです。 それでもこの映画がサンドラ・ブロック作品としては (アメリカ本国で)近年最大のヒットをとばしたのは 「強気」だけども「孤独」な女性という主人公像が サンドラ・ブロックのイメージにピッタシだったからでしょう。 サンドラ・ブロックはこの映画ではプロデューサーを兼ねています。 (自分のイメージをよく分かっている!) たとえば同じ「キャリアウーマン」役でも 『幸せのポートレート』には妹がいたわけだし、 同じサラ・ジェシカ・パーカー出演作ということでいえば 『セックス・アンド・ザ・シティ』(08)には女友だちが3人もいました。 しかし本作のサンドラ・ブロックには誰もいません! (「一匹狼」状態!) (恋愛コメディなのに!) (たとえ内面が「さびしい」としても) 非常に共感しにくい、 しかし「裸」で「笑い」をとれる「女優」はサンドラ・ブロックぐらい でしょう。 本作では捨て身の「セミヌード」で場内の爆笑を誘います。 そして中盤の意味不明の祈祷ダンス。 (サラ・ジェシカ・パーカーにこのダンスは無理!) カッコいいのだけども、さびしくて、唐突なギャグもこなす。 結果的に愛すべき、共感すべきキャラクター。 サンドラ・ブロックにしかできない役柄・ストーリーです。 もちろん、細かいツッコミどころはあります。 本が大好きで出版社に就職したという「若い彼氏」が 本好きの長所を最後まで特に活かさない。 (本を読みふけっていたせいで出社時間に遅れるのではなく、 普通に寝過ごしている) たぶん、それなりに見栄えする相手役ということで 相手役がライアン・レイノルズに決まった時点で (カヌーを手作りしたり、ジョギングに励んだり) ストーリーが「ワイルド系」に修正されていって、 ライアン・レイノルズが本を読んでいるシーンが「あぁ、似合わないな」と、 それで結果的に「本好き」のくだりが減少したのでしょう。 (せっかく彼氏の家に行っているのだから、 彼氏の少年期の「部屋」を訪れるシーンがあってもいいのに、無い) (彼氏の蔵書・本棚に感心するシーンが、無い) そして・・・ この映画を観た人なら誰でも「?」だと思う終盤の「飛行場」のシーン。 (罪を認めて飛行機に乗って送還されるヒロインを 彼氏が必死に追いかけるが、間に合わず、管制塔に電話をかけるが それでもやっぱり間に合わない) 投げやり感たっぷりで アナザーエンディングを予感させまくりですが、 やっぱりそのとおり。 飛行機を引き返させて、そのまま彼氏が愛を誓う別エンディングが 存在するようです。 ※http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20091018002104AARsLmE なるほど。 本体のエンディングはその「別エンディング」のほうであり、 だからエピローグの「アドリブ問答的『どうでもいい会話』映像」は あれは急ごしらえなのだな、と。 上記の理由により 終盤が少し弱いです。 すごく良く出来た恋愛コメディなのですが そこが非常に惜しいです。 ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ 次週はレイチェル・マクアダムズ主演 『きみがぼくを見つけた日』を徹底検証!!! ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


