2009/10/26
映画批評0135「私の中のあなた」
┏ 映画批評と物語構成論0135 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『私の中のあなた』 My Sister's Keeper (09) ┏┏┏┏ 白血病の姉に臓器提供すべく 計画的に生まれてきた妹。 だがその妹が肝臓の提供をこばみ、逆に両親を訴える……。 非常にセンセーショナルな粗筋の映画です。 下品な言いかたをするならば「ツカミはOK」。 非常にセンセーショナルな粗筋であるがゆえに 観客の興味は 「で、姉は助かるの?」 「で、妹は臓器提供するの?」 そこに集約されることになります。 すなわち「エンディングが気になってしょうがない」。 命より尊いモノは無いはずだから「姉は当然助かるはずである」と。 でなければ……。 この映画には原作があり、 原作小説は(いちおう)フィクションですが、 実際にもこのような話はあるわけですし、 今後もこのような案件は増えるでしょう。 当人(=家族)にとっては切実な問題です。 姉を救うべく意図的に生まれてきた妹。 しかし妹にも尊重されるべき「自我」はあってしかるべきである、と。 そこが今回の論争の「ポイント」になるわけですが、 この映画の主軸は「論争」ではありません。 この映画でメインで描かれるのは「家族の絆」です。 原作と映画では結末が異なりますが、 題名は同じです。 邦題は『私の中のあなた』ですが、原題は“My Sister's Keeper”。 聖書の有名な一説“Am I my brother's keeper?”が元ネタです。 アダムとイブから生まれた兄弟カインとアベル。 嫉妬にかられたカインがアベルを殺し、 その所在についてシラをきってカインが言った言葉が 「私は弟の監視者ですか?」 聖書では、これが人間がはじめてついた「嘘」ということになっています。 大事なのは「兄弟(姉妹)殺し」ではないのです。 この物語には「嘘」が隠されているということなのです。 “Am I my brother's keeper?”のことを知っていると、 「この映画には嘘が隠されているんだな」と分かる仕組みになっています。 そしてその「嘘」が本作の重要なオチになっています。 妹は臓器提供がイヤで、法廷に持ち込んだわけではありません。 次女の真意が理解できず、母親は苦悩します。 しかし最終的には姉妹共闘のその「嘘」が、 バラバラになってしまった家族の絆をいまいちど 結束させていきます。 ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ずいぶん強制的だなぁ── 次週は『あなたは私の婿になる』を検証します! ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


