鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】  RSSを登録する

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2009/10/19

映画批評0134「ワイルド・スピード MAX」

┏ 映画批評と物語構成論0134 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ネタバレ含む┏┏┏


    『ワイルド・スピード MAX』
      Fast & Furious (09)


┏┏┏┏

若かりし日の(といっても8年前の)
ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルが出演した
『ワイルドスピード』の1作目(01)は
彼ら2人の新鮮な魅力もさることながら
改造車によるストリートレースの「アクション性」と
潜入捜査の「する側」と「される側」の「ドラマ性」をうまく盛り込んだ
非常に欲張りな、しかし実に良く出来た映画でした。

ところが、ヒットを受けて製作された続編『ワイルドスピードX2』(03)は
難癖をつけてヴィン・ディーゼルがまず降板。
ポール・ウォーカーのみ律義に続投し、
つづく3作目『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』(06)では
ポール・ウォーカーすら離脱。

俳優(=劇中のキャラクター)が入れ替わる。
それはしかたのないことかもしれません。
重要視すべきは、映画の内容で、
2作目『X2』は
 (杭を打ち込んで車載PCに直接ウイルスを「打ち込む」ギミックが)
日本のアニメ「カウボーイビバップ」(98-99)の完全なるパクリ。

ドリフトの本場ニッポンに舞台を移した3作目『TOKYO DRIFT』は
めくるめく東京珍百景。
給食に懐石料理が出てきて「日本の公立学校のカフェテリアはスゴい」
というあらぬ誤解を生みました。

どんどんオカシナことになっている……。

劇場公開作品としてはこれで終わりにして、
今後はビデオ直行作品としてシリーズが細々と存続していくのでは?
と、そんなウワサもありました。
 (『ワイルドスピード』シリーズを製作しているユニバーサルは
  『チアーズ!』(00)や『アメリカン・パイ』(99)などのヒット作の
  続編をビデオ作品としてリリースしつづけている)
   (『チアーズ!2』(04)
    『チアーズ3』(06)
    “Bring It On: In It to Win It”(07)!
     “Bring It On: Fight to the Finish”(09)!)
  
しかし『TOKYO DRIFT』のラストシーンにヴィン・ディーゼルがゲスト出演して
 「ひょっとしたら原点回帰するのでは?」と、
これは3作目の公開前からネット上でウワサされていたことであり、
まあ、これでスタジオ側はファンを試したのでしょう。
 (ヴィン・ディーゼルに復帰して欲しいかどうかを実地調査)

果たしてそのとおり。ファンの熱い要望に応えて
第4弾となる本作では、ヴィン・ディーゼルが復帰しました。
ヴィン・ディーゼルだけではありません。
ポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター、ミシェル・ロドリゲス。
1作目の主要メンバーが全員復活です。
そしてストーリーも「ストリートレース」+「潜入捜査」で原点回帰。

ただし、ミシェル・ロドリゲスに関しては
「業界の問題児」と化してしまっているので
 (過激な発言は個人の自由だとして、問題視されたのは違法違反行為。
  レギュラー出演していたTVドラマ「LOST」(04-)の撮影時、
  ロドリゲスはロケ地のハワイで飲酒運転で逮捕され、
  その責任をとってロドリゲスが演じていた劇中キャラクターは
  今後の展開やこれまでの伏線をすべて無視して、唐突に撃たれて死ぬ
  という衝撃の「結末=降板」をむかえました。
  演じていた俳優の責任を劇中のキャラクターがとる!
  現実と虚構がゴッチャになる!
  いや、そういうことじゃなくて、
  現実のせいで虚構が「軌道修正」を強いられる。
  製作スタッフ側にとっては迷惑な話なわけです)
  ※http://www.people.com/people/article/0,,1187534,00.html
そんなミシェル・ロドリゲスを復帰させて大丈夫なのか?
と、実はそれが本作の重要なストーリーポイント(!)になっています。

以下、ネタバレ。

メインメンバー全員復帰とはいっても
ロドリゲス演じる「レティー」は早々に殺され(笑)、
それを発端にして本作の物語が動き出します。
 (ジェームズ・キャメロンの『アバター』(09)にも出ているロドリゲス。
  どれぐらい出ているのでしょうか? 気になります)

「全員復帰」させて「原点回帰」させるのが本作のウリではあるけども、
ミシェル・ロドリゲスを復帰させるのはヤバいんじゃないのか? と、
そんなスタジオ側の打算と脚本家ががっぷりと四つに組んだ
こればっかりは「内情」を知らなければ理解できない
起承転結の「起」の部分です。

Q:あんなにカッコいいのに、なんでこの人すぐに死んじゃうの〜〜!?
A:そういう事情です。


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  次週は『私の中のあなた』を取り上げます──
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