鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】  RSSを登録する

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2009/09/24

映画批評0130「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」

┏ 映画批評と物語構成論0130 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


    『ウルヴァリン:X─MEN ZERO』
      X-Men Origins: Wolverine (09)


┏┏┏┏

アメコミ映画『X─MEN』はこれまでに3本つくられており、

    1 『X─メン』(00)
    2 『X─MEN2』(03)
    3 『X─MEN:ファイナルディシジョン』(06)

 ハル・ベリー、
 ファムケ・ヤンセン、
 アンナ・パキン、
 ジェームズ・マースデン、
 イアン・マッケラン、
 パトリック・スチュアート、
 (『2』のときの無名の子役が交代になっての)エレン・ペイジ

……と、数々のスターが出演しましたが、
彼らにとって『X─MEN』は別に代表作ではありません。
しかし本作の主演俳優ヒュー・ジャックマンは違います。

ヒュー・ジャックマンにとって『X─MEN』は
ハリウッドデビュー作であり、『X─MEN』に出たことによって
世界中にその名を知らしめた。
ゆえに格別の思い入れがあるのも当然で、
実はそれはジャックマン本人のみならず、観客にとっても同様です。

  【ヒュー・ジャックマン=(彼が劇中で演じた)ウルヴァリン】

なワケです。

本家シリーズが、多すぎる出演スターのギャラの高騰により
『3』をもって(いちおうの)「完結」が宣言され、
今後はスピンオフを製作することでシリーズを存続させつつ、
 (そしてキャラクター数をリストラしつつ)
本流であるところの『4』をどうするかを模索する。
そんなプランが発表になったさい、スピンオフ作品として
真っ先に候補に挙がったのがこの『ウルヴァリン』だったのも
至極当然だったといえます。

そしてヒュー・ジャックマンは、本作でプロデューサーを兼ねています。

そんな本作は、
本家3部作が
  【ヒュー・ジャックマンをウルヴァリンに近づける】
作業だったのに対し、今度は逆に
  【ウルヴァリンをヒュー・ジャックマンに近づける】
作品だということができます。

それはヒュー・ジャックマンの髪形をみれば一目瞭然です。

(コミックで描かれている)ウルヴァリンというキャラクターは
鉄腕アトムのようなトガッた髪形が特徴です。

本家3部作ではヒュー・ジャックマンはそれに似せた髪形をしています。
 (ある意味「笑える」髪形です)

しかし本作ではどうでしょうか?
ポスターでは(まあまあ)トガッています。
しかし実際の本編では
ほとんどトガッてません。
ほとんど「いつものヒュー・ジャックマン」です。
 (いわゆる「ロン毛」)

『X─メン』でハリウッドデビューした当時は
ウルヴァリンのほうがヒュー・ジャックマンよりも知名度が上でした。
ゆえにコミックのキャラクターに似せる必要がありました。
しかし9年を経て立場は逆転した(あるいは「対等」になった)のです。

「ウルヴァリンが見たい」と思ってこの映画を観に行く人と
「ヒュー・ジャックマンを見たい」と思って観に行く人の
どちらが多いか?
髪形が「ウルヴァリン」のままでは映画に集中できないのです!!

ストーリーについては、なんの問題もありません。
「ウルヴァリン=ヒュー・ジャックマンを魅せる」映画として
過不足ないです。

ツッコミどころはあります。
まるでゲーム「バイオハザード」のようなラスボス(実験未完成体!)。
同じく、まるでゲームのような最終バトル。

『X─MEN』の面白さは、特殊能力の合わせ技(アンサンブル)──
それがそのまま役者の演技のアンサンブルへと繋がるところにありました。
「ストーム」が吹雪を発生させて相手の動きを鈍らせ、
「ジーン・グレイ」が超能力で相手の動きを完全に止め、
「ウルヴァリン」がトドメを刺す。

しかし本作は単独主演作なので、
最終バトルに参戦するキャラクター数が本家より少ない。
1対1、よくて、2対1。
結果として(ストーリー的にも映像的にも)見栄えがしない。
そんな欠点はあります。
それでも
ヒュー・ジャックマンを魅せる映画としてはなんの問題もありません。

これまでの『X─MEN』シリーズ4作をまとめてみると……

 『1』……物語世界が狭すぎる。事件は東海岸だけで起こっている!
 『2』……前作の反省を踏まえてストーリーが世界規模。デカい。傑作。
     (唯一の欠点「軍事ヘリをチェーンで停める。自転車かよ!」)
 『3』……エンドクレジット後のオチ。誰も観てない。
 本作………ウルヴァリン=ジャックマンを魅せる映画としては大成功。
     (またしてもエンドクレジット後にオチ)
     (でも大して重要ではない)

こんな感じになります。


補説:
『3』の時点で登場がウワサされていた人気キャラクター
トランプカード使いの「ガンビット」※が本作で遂に登場しました。
  ※http://en.wikipedia.org/wiki/Gambit_(comics)

そのガンビットを演じるなら
TVドラマ「LOST」のジョシュ・ホロウェイ※がピッタリだ
というのはファンのあいだで長く議論されていた話題であり、
ホロウェイ自身も『X─MEN』の製作者たちと会食したことがある
ということで、数年前からファンの期待はグングンと高まっていました。
  ※http://www.imdb.com/name/nm0391326/
  ※http://www.superherohype.com/news/topnews.php?id=5644

しかし「ドラマとキャラが被るから」という理由で
(もしくは「ウルヴァリンとキャラが被るから」という理由で)
『3』の出演を断った──というのが通説(ウワサ)になっていました。

けれども本作において遂にガンビットが登場することになり、
フタをあけてみれば結果は若手俳優のテイラー・キッチュ※でした。
  ※http://www.imdb.com/name/nm2018237/

「まあ似てるけども……」
「ジョシュ・ホロウェイ(ソイヤー)が出ればよかったのに」
「(同じドラマに出ている)チャーリーと傭兵は出てるのにぃぃ」
と、原作のファンも、ホロウェイのファンも、悔しい思いで観ていると、
「島から唯一脱出に成功した男がいる」という設定でガンビットが登場。
しかもその「島」が「実験島」!!
たしかにキャラが被っています!!!


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  基本は「焦らせ」
   ──次週は『男と女の不都合な真実』を分析します!!


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