2009/08/03
映画批評0123「セルラー」&「コネクテッド」
┏ 映画批評と物語構成論0123 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『セルラー』 Cellular (04) & 『コネクテッド』 Connected / 保持通話 (08) ┏┏┏┏ ラリー・コーエン原案に基づくハリウッド映画『セルラー』は、 同じラリー・コーエンがその2年前に脚本を担当した コリン・ファレル主演の『フォーン・ブース』── その姉妹編・異母兄弟だと言われていています。 電話ボックスに閉じこめられた男のワン・シチュエーション劇である 『フォーン・ブース』に対し、 『セルラー』のほうは携帯電話を持って走りまくる、移動しまくる、 つまり「ワン・シチュエーション劇の正反対をやろう」というのが 『セルラー』の企画意図だったわけです。 「電話」という同じ題材を扱いながらも「正反対」のことをやろう、と。 そんな『フォーン・ブース』と『セルラー』の どちらが良く出来ているかといえば、 それはもちろん『フォーン・ブース』のほうです。 『フォーン・ブース』のほうが映画としての完成度が遥かに高いです。 なぜならば 「ワン・シチュエーション」というシバリが物語をタイトにしている。 これに尽きます。 逆に言えば『セルラー』はタイトじゃない。 タイトじゃなさすぎる。ユルすぎる。 そこに『セルラー』の問題点がありました。 『フォーン・ブース』は舞台となるニューヨーク8番街の その独特な雰囲気───賑やかで、慌ただしくて、混沌とした雰囲気が 「リアル」に上手く表現されていました。 しかしロサンゼルスを舞台とする『セルラー』は (ロサンゼルスそのものには何の問題もないものの) 街あり、郊外あり、ビーチあり、で、散漫としてます。 物語は「誘拐事件」を扱って「切迫している」のに、背景が「散漫」。 『フォーン・ブース』の逆をやろう、移動しまくろう、 という意識が強すぎたのかもしれません。 人口密集地のロサンゼルスが舞台なのに、まるでハワイにいるような、 そんなバケーション・ムービー的ユルささえ漂いいます。 『セルラー』は登場人物にも「ユルさ」があります。 『フォーン・ブース』には本妻と愛人の2人の女性が登場するので、 『セルラー』のほうにも2人の女性が登場します。 キム・ベイシンガー演じる「電話をかけてくる謎の女性」と、 ジェシカ・ビール演じる「主人公の恋人」の計2人。 しかしこれは結果として「同じ数の女性」になっただけであって 『セルラー』のほうのもう1人の女性── ジェシカ・ビール演じる「主人公の恋人」は物語に深く関わってきません。 というよりも、主人公を演じるクリス・エバンスの 実生活の当時の恋人がジェシカ・ビールだったから、という理由で ジェシカ・ビールがゲスト出演しているにしかすぎず、 ひょっとしたら当初の脚本にはジェシカ・ビールの役は無かった。 そう勘ぐってしまうぐらい「必要性の薄い役」です。 舞台もユルいし、登場人物もユルい。 では、そんなユルい『セルラー』を 香港人スタッフはどうリメイクしたのでしょうか? ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ということで次週は…… リメイクした理由も含めて『コネクテッド』(08)を徹底分析! Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved. ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


