鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】  RSSを登録する

最新メジャー映画のストーリーラインを客観的に分析し、批評と構成論を展開していきます。ご期待ください。

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2009/07/27

映画批評0122「モンスターVSエイリアン」

┏ 映画批評と物語構成論0122 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


    『モンスターVSエイリアン』
      Monsters vs Aliens (09)


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 日本ではこの夏に
   『モンスターVSエイリアン』と
   『アイス・エイジ3』と
   『ボルト』の
 3本の3D映画(劇場でメガネをかけて観る立体映画)が順次公開され、
 世間では「本格的な3D映画元年」とさえいわれていますが、
 日本でこれらの映画を劇場で3Dで観るとなると
 字幕を3D映像にハメこむわけにもいかないので(目が疲れる)、
 自動的に日本語吹替版で観賞することになります。

 字幕で観るか? 3D吹替版で観るか?
 なかなかの悩みどころです。

 さらに悩ましいのは、この『モンスターVSエイリアン』には
 アメリカのテレビドラマ界を代表する俳優が3人、
   ヒュー・ローリー…「Dr.HOUSE」のハウス
   キーファー・サザーランド…「24」のジャック・バウアー
   レイン・ウィルソン…米国版“The Office”のドワイト、
 そして『40歳の童貞男』のジャド・アパトー組の常連
   セス・ローゲン&ポール・ラッド
 の2人が声の出演をしていて、
 キャスティングの時点で、すでにそれ自体が本作のウリ──
  「ハウスとジャック・バウアーが会話をする」
  「ハウスとドワイトが会話をする」
  「ジャド・アパトー組とあのドラマがまさかのコラボ」
 という、つまりは「作品の垣根をこえた夢の共演」──
 こればっかりは英語のオリジナル音声版でしか味わえない要素です。

 しかもヒュー・ローリーが『ドクター』コックローチを演じ、
 キーファー・サザーランドが職業軍人を演じていて、
 演じているキャラクターがドラマそのまま、
 完全にセルフパロディ状態。
 これは期待せずにはいられません。
 
 とはいえ、ヒュー・ローリーは本来の英国訛りで
 そうと言われなければ「ハウス」と同一人物だとは気づかないレベル。
 キーファー・サザーランドもテンションがやや高めで、
 どうやらみなさん「あのキャラクター」とは別人格。
 残念ながら「夢の共演」というほどではありません。
 (キャラクター自体に「権利」があるのでしょうがないにしても)
 逆にファンは戸惑うほどでしょう。
 判断に迷って、笑うに笑えない。
 この台詞はセルフパロディ=ギャグなのか否か。
 
 『アイス・エイズ』の日本語吹替版の山寺宏一の「おはー」は
 あれは笑っていいわけで、演者と観客の共犯関係(共有体験)。
 その楽しさが『モンスターVSエイリアン』にはありません。
 
 豪華なキャスティングなわりには、それを活かせていない。
 演者としては「1つのキャラに固定されたくない」
 という意識があったのかもしれませんが、
 だったらヒュー・ローリーじゃなくてもいい、
 だったらキーファー・サザーランドじゃなくていい、
 ということになるわけで、
 そのへんが『モンスターVSエイリアン』は実に中途半端です。
 ・・・という意味では日本語吹替版で観ても何の問題もありません。
 むしろセルフパロディか否かを悩まなくて済むぶんだけ
 日本語吹替版のほうが純粋にストーリーを楽しめます。

 そんななかでセス・ローゲンだけが「地のまま」。
 いつものしゃべりかた。いつもの笑いかた。
 セス・ローゲンそのもの。

 セス・ローゲンが声を当てている「ボブ」というキャラクターは
 セス・ローゲンそのままを活かしたキャラクターなので、
 これをバナナマンの日村勇紀に吹き替えさせて、
 日村勇紀のキャラクターをそのまま活かす、というのは
 オリジナル版の意味を良く理解している、素晴らしい配役です。

   ※劇中でゴールデンゲートブリッジが封鎖されて、破壊されるので、
    「まさか戦後からもう1度やり直すつもりなのか!?」と、
    「だから日村勇紀がキャスティングされたのか!?」と、
    それは深読みしすぎです。
      (参照……http://ja.wikipedia.org/wiki/日村勇紀)

結論:
 オリジナル版は声優陣が豪華なわりにはその「妙」を活かせてません。
 劇場で観るのならせっかくなので3D版の吹替のほうが良いでしょう。


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  次週は──
   ハリウッド『セルラー』(04)&香港『コネクテッド』(08)を分析!        

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