鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】  RSSを登録する

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2009/07/13

映画批評0120「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

┏ 映画批評と物語構成論0120 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


    『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
      EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE (09)


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 いまにして思うと前回の『序』(07)は旧来のテレビシリーズを
 ビジュアルアップしただけのただの総集編にしかすぎませんでした。
 しかし今回の『破』は違います。
 資金的にも、テンション的にも、ノリにノッているのでしょう。
 異常なテンション、異常な熱気。
 新しい物語。
 冒頭からラストまでトコトン面白い!
 
 『序』を観て『破』を観た観客の誰もが気になるのは
  「この話はループしているのか?」
 ということになるわけですが、
 劇中のキャラクターがループに気づいているのかどうかは判然としません。
 ただひとり渚カヲルだけが「また」「今度こそ」と意味深な台詞を吐くので
 その可能性に思わず魅かれてしまうわけですが、
 劇中での設定はどうであれ、
 ただ間違いないのは
 観客にとっても、スタッフにとっても、そしてキャストにとっても
  「これが2回目のエヴァンゲリオン」
 それは間違いないわけです。

 しかし「2回目のエヴァンゲリオン」がなぜこうも面白いのか?

 答えは単純です。

 現実世界において2度目の人生なんてあり得ないわけだけど、
 リメイクならあり得る。
 アニメ※ならあり得る。
 ヱヴァンゲリヲンならあり得る!
  (※アニメのキャラクターは歳をとらない)

 現実世界においては絶対に体験できない「2回目の人生」。
 あるいは「もう1つの可能性」。
 それをシンジたちが実践している。
 だから面白い。
  (テレビ版と旧劇場版を別個にカウントするのなら「3回目」か?)
  (=「帰ってきたエヴァンゲリオン」!)

 今回はアスカが早々に人間的に変わろうとして(=You can advance.)、
 ひとりでいるより誰かと一緒にいたいと言い(=You are NOT alone.)、
 でも出来なくて(=You can NOT advance.)(=You are alone.)、
 しかし最後の予告映像で
 新しいプラグスーツに身を包んだ元気な(?)姿を見せてくれる
 (=You can advance?)(=You are NOT alone?)。
 
 かもしれないし、かもしれない。
 相変わらずの謎かけっぷり、思わせっぷりで、答えが出ません。
 だから先が気になってしょうがなくなるわけですが、それでも、
 メインの少年少女たちが劇的(激的)に変化したのだけは間違いありません。

 前回の旧劇場版が不幸な終わりかただっただけに
 「今度こそは!!」と
 新劇場版のポジティブなシンジ、レイ、そしてアスカには
 期待せずにはいられません。

 いや、期待どころの騒ぎではないでしょう。
 こんな映画、滅多に無い!!
 2度と無いかもしれない!
 (と思ったら「2度目があった」という興奮)

 「2回目の人生がこんなに素晴らしいだなんて」という
 誰も体験したことのない興奮と歓喜(そして若干の不安)。
 この映画の面白さは、それを体験できることにあるのです。


追補:
 『ガンダム』と『エヴァンゲリオン』のどこが違うのか?
 というのは常に議論になるわけですが、
 『ガンダム』の富野由悠季監督は『宇宙戦艦ヤマト』が大ッ嫌いで
 逆に『エヴァ』の庵野秀明監督は熱烈な『ヤマト』ファン。
 そこに決定的な差異があると思われます。

 『ガンダム』も『エヴァ』も『ヤマト』も
 「戦況を逆転させるべく作られたプロトタイプの最終決戦兵器」
 という意味ではみな同じ系統のアニメに属するわけですが、
 『ガンダム』は大人を信じていない、子どもたちだけの話でしょう。
 宇宙版「十五少年漂流記」。
 運命共同体(ホワイトベース)のなかに「大人」がいない。
 いっぽうの『エヴァ』には頼りになる大人が出てくる(葛城、加持…)。
 頼りになる大人が最後まで付いていてくれる。

 運命共同体のなかに大人がいるのは『ヤマト』でしょう。
 というか『ヤマト』には大人(中年)しかいないわけですが……。

 大人を信じてない『ガンダム』と、
 運命共同体のなかに大人が含まれている『エヴァ』。
 つまり『エヴァ』は『ヤマト』と『ガンダム』の中間だといえるわけです。

 世代的には若い庵野監督のほうが「大人を信じてなくてもいい」はずなのに
 意外に逆です。


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  ニコラス、これって……
    次週はニコラス・ケイジ主演『ノウイング』を検証します!         

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