2009/03/16
映画批評0103「超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!」
┏ 映画批評と物語構成論0103 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!』(09) ┏┏┏┏┏ 『ケロロ軍曹』がどのような作品であるかは 公式サイトやウィキペディアを参照していただくとして…… オーバーテクノロジーをもった未来人 あるいは オーバーテクノロジーをもった宇宙人が主人公の少年の家に同居する という設定は『ドラえもん』であり、『うる星やつら』と同じです。 『ドラえもん』の野比のび太は小学生で 『うる星やつら』の諸星あたるは高校生。 その中間をとって『ケロロ軍曹』の日向冬樹は中学生。 よくよく練られています。 『ドラえもん』の頃から様々なマンガに受け継がれてきた 藤子不二雄的なパターンの、その中間に、すぽっとハマった作品、 それが『ケロロ軍曹』だといえるわけです。 永遠に進級(進学)しない、延々と繰り返されるドタバタの日常。 そこも『ドラえもん』や『うる星やつら』と同じです。 けれども単純な模倣ではない。 ドラえもんも、『うる星やつら』のラムも、 主人公の少年の部屋に同居(=同棲)していますが、 ケロロ軍曹は地下に自室を構えており、 少年の部屋に出入りすることは滅多にない。 そこが非常に「核家族的」であり「今日的」です。 プライバシーが確保され、尊重されているのです。 そのくせ冬樹には姉の夏美がいて、姉弟の2人きょうだい。 『ドラえもん』や『うる星やつら』とちがって、もう1人いる。 そこが非常に革新的であり、話にバリエーションをもたらしています。 そんな『ケロロ軍曹』の劇場版。 ●原作マンガが、テレビアニメ化され、スケールアップして映画化される ●劇場版オリジナルのキャラクターが登場して テレビシリーズとは異なるストーリーが展開する それは『ケロロ』も『ドラえもん』も劇場版はすべていっしょです。 アニメ映画版の『ドラゴンボール』も同じだといってよいでしょう。 ではなぜ「テレビアニメの劇場版」が 【スケールアップした、テレビ版とは異なるオリジナルストーリー】 にならざるをえないのかといえば、 それはテレビアニメの劇場版が ●わざわざ足を運んでくれたテレビ版のファンを楽しませなくてはいけない のは当然として、それとは別に ●テレビ版を見たことのない一見の観客にも配慮しなくてはいけないし、 ●劇場に行けない、テレビ版のみのファンのことも考慮しなくてはいけない だからテレビ版からは独立した、単体のストーリーを展開せざるを なくなるわけです。 さらには、劇場版が1年なり2年なり経ってテレビ放映されたときに 続行中のテレビシリーズと展開上の誤差があってもいけないわけで、 そのような制約下にあって、いちばん無難で妥当な映画化が 「スケールアップしてオリジナルストーリーを展開する」 それはしかたのないことです。 『ケロロ軍曹』の映画化は今回が4度目で、 そのすべてがこの古き良き劇場版のパターンを踏襲しています。 メインキャラクターを(再)紹介しつつ、 観客みんなが楽しめるオリジナルストーリーに突入する。 しかしながら、 オリジナルストーリーを展開させることの弱みというものもあって、 結論から言うならば、上記の逆。 【劇場版の結果が、テレビ版に影響しない】。 それが劇場版の弱みであり、そこに劇場版のジレンマがあると思われます。 お馴染みの主人公が、劇場版でゲストキャラクターと恋に落ちても そのキャラクターと添い遂げてシリーズが終わることなど絶対に無いし、 たとえどんなゲストキャラクターが登場しようとも 強敵には見えない。 だからこそ劇場版のオリジナルキャラクターは「ゲストキャラクター」と 呼ばれるわけで、そう、所詮はゲストにしかすぎず、 たとえばアニメ映画版の『ドラゴンボール』のようなバトル系なら尚のこと 「宇宙最強がどんだけいるんだよ!?」というだけの話で やればやるほどシラけてしまいます。 (公式ではない、外伝のストーリーだと思っているファンが多いはず) その矛盾やジレンマを避けるためには 本来の、テレビシリーズと同じメンバーだけで物語を展開させるべきであり、 しかしそれでは「映画を観た」という感じがしない。 「テレビを大きくしただけじゃないか!」と言われてしまう。 だからやっぱり話のスケールを大きくして、 ゲストキャラクターを登場させて、 オリジナルストーリーを展開するしかない。 そこに「劇場版」の難しさがあります。 その点、『ケロロ軍曹』の劇場版は良く出来ています。 『3』の敵はダークケロロで、これはケロロ軍曹のクローン。 (ケロロ自身が敵となるのだから、たしかに強敵) そして4作目となる本作では、ゲストキャラクターも登場するものの 彼らが敵となるのではなくて、あくまで引き立て役。 ストーリーの主軸はケロロたちがドラゴンに変身することに置かれ、 身長55センチのケロロたちが巨大なドラゴンに変身するのですから、 それはたしかにスケールがデカいし、大画面向き。 そして 「ケロロたちがドラゴンに変身!?」 「どうなっちゃうの!?」 「戻れるの!?」 というところで観客の興味を引きつけます。 キャリアの浅い、新規の、ゲストキャラクターと闘うのではなく、 【レギュラーメンバーの異変→いろいろあって→結束の再確認】 本来の、オリジナルメンバーたちだけで物語が展開しています。 理想的なかたちの、良い「劇場版」だと言えるでしょう。 (※ケロロがドラゴンに変身して暴走するのは 『ドラゴンボール』の悟空が月を見て大猿に変身するのが元ネタか?) ┏┏┏┏┏ ┏┏┏┏┏ ┏┏┏┏┏ ┏┏┏┏┏ オッシイ、オッシイ、オシクナイ? 次週は『ヤッターマン』を検証するでコロン! Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved. ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏



