2009/02/23
映画批評0100「チェンジリング」(ネタバレあり)
┏ 映画批評と物語構成論0100 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ 『チェンジリング』 Changeling (08) ┏┏┏┏┏ 『チェンジリング』という題名と、予告編の映像を見れば 「失踪した息子が、取り換えられて、別の子が息子として帰ってくる」 「どうやら警察がテキトーな解決をしたらしい」 ということまでは分かりますから、 「主人公の女性は警察権力と闘うことになるんだな」 と、そう予測できます。 しかしこの映画にはもう1つのネタが隠されていて、 「猟奇殺人」 これは題名と予告編からは予想もつきません。 「警察と闘うことになるんだな」と思ってみていると 後半になって闘うべき相手がもう1人増えるので ぐっと疲れます……というと、実はそうでもない。 それはなぜかというと、 アンジェリーナー・ジョリー演じる主人公(母親)のスタンスが 最初から最後までブレないからです。 主人公の行動は 「警察権力と闘う」+「猟奇殺人犯と闘う」という展開にはならず、 台詞として何度も出てくる── 「わたしはわたしの息子を取り戻したい」“I want my son back.” 主人公の気持ちがこの一点からブレないので、 観ているほうもブレずに、集中して、映画の展開を見守ることができます。 「警察のテキトーさを告発したい!」とも思ってはいないし、 「殺人犯に裁きの鉄槌を!」とも思ってはいない。 いや、思ってはいるのかもしれないし、実際には行動もしているのだけども アンジェリーナー・ジョリーの口からはそんな言葉は出てきません。 とにかく 「わたしはわたしの息子を取り戻したい」 息子の失踪というミステリー、 あるいは誘拐事件というサスペンスとしてこの映画を観ていると、 「あれ? 事件はもう解決したのでは?」 と、事件解決後のシークエンスが長いと感じるかもしれません。 「えっ? 法廷モノだったの!?」 と、長い裁判シーンに付き合わされます。 すると今度は判決後のシークエンスがこれまた長い。 リアルな絞首刑に付き合わされる。 しかしそれもこれも 「わたしはわたしの息子を取り戻したい」 なるほど、彼女はまだ息子を取り戻してはないのだから 彼女の物語はまだつづいていたわけです。 そして最後にテロップで、主人公は 「生涯 息子を探しつづけた」 と出てくる。 誘拐事件や猟奇殺人の映画化ではなく、 1人の母親の物語の映画化。 そう考えると、いちばん最初に出てくるテロップが 「事実に基づく」“Based on a true story” ではなく、シンプルに、逆に映画としては違和感をいだくほどに、 「真実の物語」“A true story” とだけ表示されたことの意味が胸に染み込んできます。 事件のディテールには(きっと)(当然)創作や脚色があるでしょう。 だから普通は「事実に基づく」と表記します。 けれども主人公の女性が「息子を生涯探しつづけた」、 これは疑いようのない「真実」です。 だから冒頭のテロップが「真実の物語」“A true story”。 納得させられる、よく出来た映画です。 ┏┏┏┏┏ ┏┏┏┏┏ ┏┏┏┏┏ ┏┏┏┏┏ これでイイのか、ウィル・スミス!? 次回はウィル・スミス主演『7つの贈り物』を分析します! Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved. ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


