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2008/04/14

映画批評0055「クローバーフィールド/HAKAISHA」(その3)

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■□映画批評と物語構成論0055□■


 前回に引きつづき……

    『クローバーフィールド/HAKAISHA』
              Cloverfield (2008) 


◇ ◇

 この『クローバーフィールド』で観客の反感を買うであろうその最たる台
詞は、ビデオカメラを回しつづけてきた男性がそのカメラを自分に向けて言う

  「このテープを見つけ出して、この映像を見ているってことは
   きみたちはアレについて僕よりも詳しく知っているはずだ」

 という台詞でしょう(=「なにも知らないよ!」というツッコミ)。

 そして題名のCloverfieldという単語は一体なにを意味しているのか?

   (実際には「何か意味深な言葉はないのか?」と考えた結果でしか
    ないらしく、製作オフィス近くの通りの名前Cloverdaleを記憶違
    いしていたプロデューサーが、そのCloverfieldという言葉の響
    きを気に入ってそのまま企画名に採用→それがそのまま映画タイ
    トルに本採用=「いいんじゃない?」的なノリ)

 つまり謎が謎のままで終わってしまうのが本作の問題点であり、しかしな
がらなにげない「平常の場面」で細かく伏線を張ってもいるらしく※、それ
らが果たして今後回収されるのかどうか?
   ※参照……http://www.youtube.com/watch?v=tS_zXJR_GfM
        http://www.youtube.com/watch?v=ILzutBHnhzw

 本作で製作を手掛けたJ.J.エイブラムスは、トム・クルーズに招かれて監
督と脚本を務めた『M:i:III』(06)で本格的に映画界に進出した代わりに、
それ以前に手掛けていたドラマシリーズ「エイリアス〜2重スパイの女」
(01-06)と「LOST」(04-)の2作に対してはオザナリになり、「エイリアス」
のほうは主演のジェニファー・ガーナーの妊娠という紆余曲折があったにせ
よ、第5シーズン中盤にて切り上げるようにして終了。「LOST」のほうは
『M:i:III』が完成次第すぐに戻ると発言していたにも関わらず※、けっきょ
く戻らず、両作品ともに「謎が謎を呼ぶ」「謎で引っぱる」ドラマであった
だけに、エイブラムスは謎を回収しない「やりにげ」のクリエイターとして、
そこが全米の視聴者=観客に不安を抱かせる要素となってしまいました。
   ※参照……http://movies.about.com/od/missionimpossible3/a/mi3ja050506_3.htm

 つまり今回の『クローバーフィールド』も「やりにげされてしまうのでは
ないのか?」と、アメリカでの興行収入が2週目以降に持続しなかったのも、
すべてはそれが原因だと思われます。
   (Untitled J.J. Abrams Projectと冠された特報に期待を抱く)
   (「面白そう」「今度こそキチンとやってくれるのでは?」)
   (初日に観に行く)
   (実際に映画を観て「LOST」と同じだと気づく)
   (「謎が謎のままだ」と気づく)
   (「観に行かなくていいよ」というネガティブな口コミが広がる)
   (2週目以降の興行収入が激減する)

 作品自体は悪くはないのです。
 怪獣映画なのに人間ドラマに力点を置き、その人間ドラマの背景で謎の伏
線を張りまくる。
   (ここで言う「背景」とは文字どおりに「背後の風景」)
   (「怪獣映画なのに人間ドラマ」
    「人間ドラマのさらにその奥に謎がチラホラ」という入れ子構造)
 問題はその伏線を回収するかどうかであり、「やりにげのクリエイター」
という烙印をおされないためにも、エイブラムスには意地でも『クローバー
フィールド』の続編を製作してもらうしかありません。


◆ ◆ ◆


 『クローバーフィールド』は終了。
 ……長くなってしまったので『バンテージ・ポイント』の再考は次週!


Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


■□                              □■

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