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2008/04/07

映画批評0054「クローバーフィールド/HAKAISHA」(その2)

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■□映画批評と物語構成論0054□■


 前回に引きつづき……


    『クローバーフィールド/HAKAISHA』
              Cloverfield (2008) 


◇ ◇

 仮想現実であるバーチャルリアリティー体験を単純に「疑似体験」と定義
するのではなく、「現実には出来ないことを仮想現実上で疑似体験すること」
と定義し直すならば、今回の『クローバーフィールド』ほどバーチャルリア
リティーの名にふさわしい映画はありません。

    ●巨大怪獣襲撃をいち小市民の視点のみで描く

 という意味では『大怪獣東京に現わる』(98)など似たコンセプトを持つ映
画は過去にもあったものの、

    ●巨大怪獣襲撃の現場に居合わる

 という点において非常に斬新であり、揺れ揺れで酔いやすい画面だからと
いう理由だけではなしに、本作はたしかに全く新しい「アトラクションタイ
プの映画」なのだと断言できます。
     (○アトラクション ×アクション)

 しかしながら完全なる一人称視点であるがために、旧来の怪獣映画に要求
されるもの──たとえば、

    ●なぜ現われたのか?
    ●どこが弱点なのか?
    ●どうやれば倒せるのか?

 などといった(マニアごころをくすぐる)説明要素を満たしてはおらず、
いや、いち小市民の手には負えない、突発的で理解不可能な、ただ直面する
しかない巻き込まれ型の現実を「アトラクション的に体感してもらう」とい
う本来の趣旨どおりならば怪獣の出現理由など説明する必要はないのかもし
れません(=「何が起こっているのか分からない」というリアリティー)。

 しかしたとえリップサービスなのだとしても「別視点で続編を制作する」
※と発表し、しかもそれが米軍視点で、怪獣の謎を解き明かしていくストー
リーになりそうだと匂わせている以上は、制作側も「怪獣映画には情報が必
要なのだ」と判断しているのでしょう。
       ※...http://www.bloody-disgusting.com/news/10927
       ※...http://www.variety.com/VR1117979910.html

 製作のJ.J.エイブラムスは、旧来の怪獣映画にあるような、怪獣が高層ビ
ルをなぎ倒す様子を俯瞰的に捉えた誰の視点か分からない=神の視点を嫌っ
たからこそ今回の完全なる一人称視点を思いついたにも関わらず、続編を製
作する=話をつなげていく=映画の物語をストーリーテリングしていくため
にはけっきょくvantage point=観点、つまり「見晴らしのよいポイント」が
必要なのだということを、この続編製作発表で証明してしまっているのです。


◆ ◆ ◆


 そういう『バンテージ・ポイント』はどうなんだ?
  ということで、『クローバーフィールド』を考察しつつ
   次週はいまいちど『バンテージ・ポイント』を振り返ります。


Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


■□                              □■

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