鶴原顕央の【映画批評と物語構成論】 RSSを登録する

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2008/03/24

映画批評0052「バンテージ・ポイント」(その3)(ネタバレあり)

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■□映画批評と物語構成論0052□■


 前回に引きつづき……


    『バンテージ・ポイント』
              Vantage Point (2008)


◇ ◇

 米大統領狙撃事件の裏に隠された、テロ、裏切り、どんでん返し……。

 そのストーリー展開は、まるでTVドラマ『24』のようであり、もった
いつけたところで場面が切り替わるところまで全くいっしょ。それがTVで
あるか映画であるか、あるいは誰が出演しているかの違いだけで、「『24』
のような映画だ」と看破されても仕方がないような内容です。

 実際、

    ●『24』のような話をやりたかった、のか
    ●たまたま『24』のような話になってしまった、のか
 
 は分かりませんが、結果的に『24』に酷似しているのは紛れもない事実
であり、それはおそらく脚本の初期段階ですでにそうだったのでしょう。
 ではどうやって差別化をはかろうかと考えた場合に、

   ●『羅生門』スタイル

 を取り入れることで差別化をはかろうとした。
 しかも……

   ●『羅生門』の4人の倍の視点で描く

 つまりは8人視点。
 これなら亜流ではなくて野心作です。
 ゆえにタイトルが“Vantage Point”=「観点」。
 8人視点をウリにした野心作(にして実験作)ということになります。


◇ ◇ ◇

  (本作のポスタービジュアル)
       http://www.imdb.com/media/rm4260665600/tt0443274


 ポスターをひとめ見ただけで(そのシルエットで)誰が犯人かが分かって
しまうのがこの映画の難点ですが、分かりにくい映画よりは百倍いさぎよく、
実際問題それ自体は大したオチではありません。
 問題はこの8人視点をうまく活かしきれたのかどうか、あるいは「観点」
という主題をうまく活かせたのかどうか、ということに尽きるはずです。


◇ ◇ 本題 ◇ ◇

 8人視点というわりには、その視点のバランスは平等ではなく、事件の謎
を解き明かしていくのはデニス・クエイド演じる中年SPであり、彼がこの
映画の主人公だといっても差し支えはない展開です。
 大統領を狙撃した犯人側(=感情移入すべきではないキャラクター)と平
等の視点が設けられているよりは、正義の味方に肩入れしているほうがはる
かに健全であり、大手スタジオ制作の映画としてもそれは間違ってはいませ
ん。
 つまりこの映画は「異なる8人の視点」をウリにしつつもその内実は……

 ●事件の謎を解き明かしていく主人公側、と
 ●事件を動かしていく犯人側、の

 2つの視点が存在している、ということになります。

 では、なぜ「2つの視点」が必要だったのでしょうか?
 言い換えるならばなぜ実際には2つしか存在し得なかったのでしょうか?


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ということで引きつづき本作を検証しつつ、
  『クローバーフィールド/HAKAISHA』につづけていきます。


Copyright(c)Tsuruhara Akihiro. All rights reserved.


■□                              □■

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