2009/08/22
子どもの心と命のために…食育の大切さ……北海道旅行から考えたこと(1)
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 「知ることは共に生まれること」(ポール・クローデル) connaitre = con + naitre 食育の大切さ……北海道旅行から考えたこと(1) □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ▼スクール活動の一環としての旅行 今回、私たちは7月7日~7月9日の3日間、2泊3日の「北海道東部 初夏の旅」を行なった。参加者は私たち教師2名と子ども達。フリース クール・ぱいでぃあとしては2度目の世界自然遺産知床散策&クルーズを 中心とする旅行で、今回はその他に摩周湖、阿寒湖、根釧原野、花畑牧場、 富良野・美瑛、旭岳巡り等の旅行であった。旅行は子どもたちの希望をそ れなりに叶えたものであり、毎月のぱいでぃあの社会見学体験学習の成果 を実践するものでもあった。だから、それ自体はぱいでぃあの学習活動の 一環との位置付けであった。 ▼旅では「食」が問題になる しかし、旅をするには旅をするための準備が必要であり、ただ身体を移 動させればいいというわけにはいかない。普段の生活が──たとえそれが 学校を離れた不登校の子ども達であっても──日常生活の延長にあるとす れば、旅というものはその大小を問わずやはり非日常的な営みである。普 段の自分をそのまま持ち込むというわけにはいかない。と同時に、普段で はまるで問題にもならなかったことが改めて問題にもなる。その一つが 「食」の問題であった。 (蛇足だが、子どもたちのほとんどは今回飛行機に乗るのが初めてなら、 親元から一時的に離れて旅をするということ自体が初めてという子ばかり だった。必然的に子ども達は学校・家庭・友だち・近所という空間の中で 生活し思考していたことになる) ▼旅行と食の問題 食わず嫌いなどの偏食や食のアレルギーなど、食に偏りがあると旅の 先々でいかに大変な思いをしなければならないか、今回の旅行で骨身に沁 みて感じた人たちがいただろうと思う。普段は自分の好きなものを食して いればまず問題になることはないが、みんなで旅行するとなると、そのこ とが大きな課題として考えなければならなくなる。旅の先々でホテル等が 自慢の料理として出してくるものがほとんど食べられないのだから。 ▼食のアレルギーと食の偏り アレルギーの場合にはどうにも仕方がないとしても、恣意的な偏食や食 わず嫌いの場合には、今までの家庭での生育の過程で何とかする手立ては なかったのかという気にもなる。それに、本人がまだ親の庇護下にいる時 には、それが本人個人の問題と処していいものかどうか。やはり親の関わ り方の問題も考えなくてはいけないだろう。ただし、ここで言いたいのは 責任の所在がどこにあるかということではなく、子どもの食の偏りは単に その場で摂取する食事の問題にとどまらず、その子の今後の食生活全般、 ひいては今後の現実生活そのものにも関わってくる問題であるということ である。個人の嗜好のレベルの問題として処すればそれでOKというわけ にはいかないのだ。 ▼食と生き方の問題 他のほとんどの人たちが「おいしい!おいしい!」「幸せ~!」と感じ、 健康に生きて食せることの喜びを見出している時に、食の偏りのある人は その喜びを共に享受出来ないばかりか逆に自分には不要な排除すべきもの という対応になってしまいかねない。これはその人を責めると言うことで はなく、そのようにしか関わることが出来ないということの侘しさ辛さを 思うのである。くどいようだが、食の問題が単に食の問題にとどまらず、 本人の今後の生き方そのものを狭めることにもなってしまうことを老婆心 ながら危惧するのである。 ▼食の理解と新たな課題 この頃、盛んに「食育」の大切さが叫ばれている。そういう中から逆に 食の偏りやアレルギーの問題もクローズアップされるようになってきた。 その結果、魚介類がダメ、卵がダメ、牛乳がダメ、蕎麦がダメ…などとい うことが段々理解されるようになってきた。そういう理解の乏しかった昔 は、給食をちゃんと食べられないのは生徒の我がままのように看做され、 居残りまでさせられて食べることを強要されたりもしたものだ。「もった いない」精神の欠落した子というわけだ。今、そういう無理解な教職員の 対応はあるまい。そのことで救われている人も多いのではないか。しかし、 だからといって、この問題が何か解決したわけではない。むしろ複雑化し たといってもいい。今回の旅行を通じても、このことが強く感じられた。 事前に申し出た子の場合にはまだ良かった。不十分とはいえ、ホテル側と 交渉することができた。しかし、それを申告していなかった子の場合には、 皆と同じものが出てきたわけで、今更どうにも対応できないことになった。 ▼食はその国の文化問題である さらに、この食の問題はその国の文化や民族の営為とも大きく関わって くる。今回のように国内の旅行ならまだいいが、海外の国に旅行に出かけ てそういう問題に出くわすと、単に個人の嗜好では済まなくなることも出 てくる。その食を嫌い忌避することが、その国や民族の文化や社会的伝統 を拒絶する行為とみなされてしまうこともある。ある社会では、それを 「食べた」ということがその社会や文化のあり方に同意したということを 意味することもある。食の問題はそこまで発展してしまう。 ▼食育と不登校の問題 単なる小旅行で生じた問題をそこまで引っ張るのは問題があるかもしれ ない。しかし、この問題は未解決の問題として今後も考えて行かねばなら ない。それにしても、教育の問題を考える上で「不登校と食育」という キーワードはとても大きな視点であることを改めて考えることとなった旅 行であった。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ NPO法人教育ネットワーク・ニコラ 事務局 〒336-0017 埼玉県さいたま南区南浦和3-5-8 TEL・FAX 048-813-6177 サイト http://www.os.rim.or.jp/~nicolas/ メール nicolas@os.rim.or.jp


