2009/07/12
黒木安馬の「気変わりメニュー」メルマガ
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まさか千鶴、お前、おまえはこん人ば、知っとっとねえ」 「――――」 「ちょっと待ちんしゃい――! こらあ、いったい、どぎゃんこつね、千鶴?」 と、今度は老婆が初めて低いしがれ声で口を開いた。 その狼のような鋭い眼光は、石のように固くなってしまった娘を凝視して、 蛇のように冷徹に光っている。 「はい――」 「はいじゃあ分からんぞ、千鶴。いったい何のこつか言うてみい」 「はい、あのお、この間のことばってんかあ、車の故障したことのあったですどお、横谷峠で。 あん時に、えらいお世話になった人ですたい。こん人が宮磨啓介さんですばい」 「――」 老婆は、いまいましいものをにらみ付けるように啓介に目を向けた。 やがて押し黙ったまま仏壇の方へ視線を逸らした。 「そぎゃんでしたかあ、そりゃあご無礼ば申したですな、千鶴がお世話になったとですかあ、 まあそらあ、すみまっせんでしたなあ――。 ばってんか、こらあ、えらい偶然ですたいなあ、まあ、よう、こん家の分かったもんですなあ?」 母親はお礼を言っているのかどうなのか、あからさまにいぶかしげな、 持って回った言い方をしながら、千鶴を横目でにらんでいた。 「いや、だけん、さっき言うたごとですね、怪我ばしてから山で迷っているうちに、いつん間にか――」 「えっ、啓介さんは怪我ば、しとんなさっとですか。どぎゃんしたとですか、何んかあったとですかあ?」 千鶴は母親の視線を遮って啓介に近づいてきた。 「いやね、ヤマメ釣りに来ていて、足ば滑らせてたいね、そいで谷川に転落して流されたとよ。 滝に落ちる時に――そう、ツルにやっとでぶら下がって、 こらあもう死ぬかも知れんと思っておる時に、岩の上から、こう何て言うか、 仙人のごたる格好ばした爺さんの現れて――」 啓介は弁解するように、とにかく、ここではっきりと説明しておかないと、 何か千鶴に迷惑が及びそうな気がして、逐一細かく話し始めた。 それでもまだ現在が夢なのか現実なのか、いつしか意識が夢うつつで曖昧としてくる。 啓介は、今日の恐ろしい体験を少しづつ思い出しながら、 記憶を辿るようにして眼を天上に向けている時、ふと目をやった薄暗い鴨居に、 セピア色にくすんだ昔の大きな肖像写真が数枚並べて掛けてあるのに気付いた。 その一番右寄りの真新しい写真が視界に入った時、啓介は目が釘付けになった。 「あ、あん人は――?」 啓介は震える人さし指で、素っ頓狂な声を上げた。 「えっ、どれなあ? ああ、あん人は家の爺ちゃんですたい、 もう一年ちょっとぐらい前に死んだとですばってんか。 あん写真の、どぎゃんかしたとですかあ?」 「まさかあ、あの、あん人は――。 こん人ですばい、こん人に助けて貰うたとですよ、 さっき話したその仙人のごたる爺ちゃんは、こん人だったとですよ!」 「啓介さんは、いったい何んば言うとんなさっとですかあ。 頭ば強う打ってしもうて、おかしくなったとじゃなかですか。 爺ちゃんはこの世におらん人ですよお。ほんなこつ大丈夫とお?」 「いや、こん人に間違いのなか。 長かボサボサの白髪に髭――いくら何でん、こぎゃん似とる同じ人間のおるもんじゃなか。 本当ばい、こん目で確かに見たとよお」 「啓介さん――大丈夫となあ?」 千鶴は、本当に大丈夫だろうかと心配そうに奇麗な瞳の真顔で見つめている。 すると、千鶴の母親と老婆は、ほとんど同時に立ち上がった。 母親は土間の方へスーッと消え、 老婆は音もなく奥の黒光りした板戸の陰に隠れてしまった。 まるで風か、陰が動くように、足音も敷居の音も聞こえなかった。 「啓介さん、もうちょっとでん寝とったほうが良かとじゃなかですか。どぎゃんかしたとばい、きっと」 それを記憶の最後に、千鶴も何時の間にか明かりを消して、 板戸ふすまの向こうに消えてしまった。 囲炉裏の残り火だけが闇の中で赤々とくすぶっている。 今日と言う日は何だか夢みたいな出来事だったなあ、 いや、これは本当に夢なのかも知れない。 そう考えているうちに睡魔が襲い、啓介は潮が引いて行くように深い眠りに落ちた。 「堪忍してえ、堪忍してくだあい――」 押し殺した悲鳴みたいなすすり泣きが、どこからともなく聞こえてくる。 それは地獄の底から届いてくるかのように、長くいつまでも夢の中で続いていた。 セッカンにあえぐ苦痛の叫びが、幻のように強弱を繰り返していた。 確かにそれは夢の中だった。 啓介には目が覚めた記憶がないのだから――。 (⇒ 次号に続く) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> ※ 転送は自由です。どうぞお知り合いにもご紹介ください。 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ 【3%の会】定例会のお知らせ 詳細 ⇒ http://www.3percent-club.com/3percentclub_skdl.html ◎ 東京地区 7月18日(土) 赤坂区民センター 午後1~5時 青山通り 赤坂警察署隣 ◎ 金沢地区 7月26日(日) 金沢市民ホール 午後1時~5時 尾山神社前・New Grandホテル横 ◎ 全国BBQ大会 8月1日(土) 千葉・東金 黒木安馬自宅で 正午から明け方まで 浜松町⇒東京駅八重洲中央口⇒東金まで 直行バスが1時間ごとにでております。 ◎ 8月21日(金)~23日(日) 佐渡ヶ島 特別合宿 新潟港からフェリーで佐渡へ、プライベートビーチや漁船で魚釣り ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ 【3%の会】ご案内 (*^_^*)v ♪~ 誰でも参加できます! “自分磨き” 異業種 相互啓発勉強会 【3%の会】 「成功するには、成功者に会え!」と、 自分と握手のできる人生を目指す方々の相互啓発勉強会。 【3%の会】は定例的に全国各地で展開しており、 会員番号は5300番台までになっております。 持参するもの⇒ 陽転思考+笑顔 自己PRパンフ、名刺、筆記用具など持参で お知り合いをお誘いの上是非ご参加下さい。 登録済み【3%の会】会員証ID所有者&家族¥3000 ビジターは¥5000(当日入会可) 懇親 直流会あり (*全国ルール:ビジター出席者は、二度目からは入会して 正式会員証IDを取得が会則です) ■◆■ Institute of Success Technology Japan ■◆■ 黒木安馬 自分と握手のできる人生創造支援事業グループ 【株式会社 日本成功学会】 東京 青山一丁目 ⇒【3%の会】事務局 申し込み 0475-50-6700 fax:0475-54-3479 MAIL: yasuma@myad.jp ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━ <<<*>>>> Insitute of Success Technology japan <<<<*>>>> 黒木安馬 講演 研修 出前迅速 ⇒ www.3percent-club.com (作家/元JAL国際線客室乗員部乗務員 乗務歴30年/飛行2万時間) ◆人財育成研修事業部 《接客CS/ESサービス教育コンサルタント》 ◆講師/人財派遣事業部◆出版事業部◆映像音楽制作事業部 ◆芸能育成支援事業部 劇団 南青山ShowBz.com◆イベント企画事業部 ◆特別企画旅行事業部◆企画販売貿易事業部 《株式会社 日本成功学会》 ☆本社〒107-0062東京都港区南青山2-2-15 (青山1丁目ホンダ本社隣) TEL:03-5474-4434 FAX:03-5474-4404 携帯:090-9817-6822 ☆支社〒107-0052東京都港区赤坂6-10-33(勝海舟邸宅跡) ☆千葉〒283-0805千葉県東金市松之郷2970 TEL:0475-50-6700 著書:【成幸者 人生の正面教師たち】(講談社))、「出過ぎる杭は打ちにくい」 「あなたの人格以上は売れない」(プレジデント社)、「面白くなくちゃ人生じゃない」 「リセット人生再起動マニュアル」、平家伝説「小説球磨川」(ワニブックス 上下巻 ) 書籍 ⇒ http://www.3percent-club.com/sales.html ━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━━─━ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 人生は、自己責任。 毎日が新しい自分の誕生日、 自分と握手のできる新鮮な日々をお過ごしください (*^_^*)v 今回号は、どぎゃんでしたか? 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