2008/10/25
スクリーンに見つけた恋愛風景 ~自分を見つめ直すとき~ 【向かいの窓】
スクリーンにはさまざまな恋愛風景が描かれています。熱く燃え上がるような恋 もあれば、相手を包み込むような深い愛もあります。このメルマガでは、実際の セリフを織りまぜながら、映画の中の恋愛風景を紹介していきます。 ★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆ Scene 72 「自分を見つめ直すとき」 【 向かいの窓 】 La finestra di fronte ★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆:★:☆ ◇◆ いち押し!メルマガ ◆◇ ==================================== ★無料プレゼント中!! 「貯まった!貯まった!お金が貯まった!!誰でもできる簡単節約マニュアル」 〜お金の専門家・ファイナンシャルプランナーが教える節約の掟108〜 2万人の会員を抱えるファイナンシャルプランナー事務所「ライフタクティク ス」が作成した節約マニュアルです!!只今期間限定で無料プレゼント中! 詳しくは → http://www.lifetac.com/setuyaku-okite.html メールマガジン「ファイナンシャルプランナーズ・ニュース!」: http://www.mag2.com/m/0000157939.html ==================================== いつも「スクリーンに見つけた恋愛風景」をご愛読いただき、 ありがとうございます。 第72号の今回は、イタリア・ローマを舞台にした作品をお届けします。2003年製 作の【向かいの窓】です。日本では劇場未公開でした。ロマンティックかつミス テリアスな展開の中に、自分探しをするヒロインと、彼女にかかわる人々の人生 が現実的に描き込まれています。自分を見つめ直すことの大切さに気づかせてく れる作品です。 −−◇◆ 目 次 ◆◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1. 基本情報 2. 見どころ 3. 「自分を見つめ直すとき」の分析 4. 裏話 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1. 基本情報 ■主な出演: (▲=男優/☆=女優) ☆ジョヴァンナ・メッツォジョルノ ・・・ ☆ジョヴァンナ ▲マッシモ・ジロッティ ・・・ ▲ダヴィデ(シモーネ) ▲ラウル・ボヴァ ・・・ ▲ロレンツォ ▲フィリッポ・ニグロ ・・・ ▲フィリッポ ■監督: フェルザン・オズペテク ■2003年製作・イタリア=イギリス=トルコ=ポルトガル ■ストーリー: イタリア・ローマに住むジョヴァンナは、薄給の仕事に甘んじる夫とまだ手のか かる2人の子どもと暮らし、意にそぐわぬ経理の仕事をしていました。彼女には菓 子店を開く夢があったものの諸事情から諦め、週に何度か友人のパブに納める ケーキを焼くことで、自分を納得させていました。 満たされない毎日に、ジョヴァンナは苛立ちを募らせています。夫とはケンカが 絶えず、子どもにも優しくできません。唯一のなぐさめは、キッチンの窓から向 かいの部屋を見るともなしに見ること。そこに住むハンサムな男性に漠然とした 憧れを抱くことで、かろうじて心のバランスを保っていたのでした。 ある日、ジョヴァンナと夫のフィリッポは、街で迷子になっている老人男性と知 り合います。老人は記憶喪失に陥り、自分の名前すらわかりませんでした。気の 毒に思ったフィリッポが自宅に連れてきてしまいます。ジョヴァンナは老人を警 戒します。 実はこの老人には、悲しい過去がありました。翌晩、ジョヴァンナは老人を警察 に連れて行こうとしますが、途中ケーキを届けている間に、彼はいなくなってし まいます。それを知らせてくれたのは、向かいに住むあのハンサムな男性、ロレ ンツォでした。ジョヴァンナとロレンツォは老人を探し出しますが、老人は遠い 過去の記憶を少しずつ取り戻し、混乱した様子を見せていました。ジョヴァンナ はそんな老人に優しく接するようになり、心を通わせていきます。 またこの日を境に、ジョヴァンナとロレンツォも急接近します。ロレンツォは ずっと前から窓越しにジョヴァンナを知り、恋心を抱いていました。突然の告白 に戸惑いながらも、ジョヴァンナの心はときめきます。そして、老人の身元を 探っていく過程で、ロレンツォに恋愛感情に似た気持ちを抱き始めますが・・・ ★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’° 2. 見どころ 【向かいの窓】というタイトルを聞いて、ヒッチコック監督の【裏窓】を思い浮 かべたり、のぞきや官能サスペンスを想像したりするかもしれませんが、1人の女 性が人生の中で立ち止まり、自分を見つめ直す物語です。家族との関係、夢を追 いかけるか諦めるか、閉塞感のある毎日を過ごしながら歳をとっていくあせりな ど、ヒロインの悩みがリアルに描かれます。それは、遠いイタリアという国に住 む特殊な女性の話ではなく、ここ日本でも、またどんな女性にもそして男性にも 置き換えられる普遍的テーマです。 ジョヴァンナが自分を振り返るきっかけになったのが、想像もしなかった恋と1人 の老人の存在でした。ジョヴァンナの“現在(いま)”に大きく影響します。そ して、まさにこの2つの要素が加わったことで、映画に深みが生まれています。人 はみな、日々喜びや悲しみを紡ぎながら支え合って生きていることを改めて教え られるのです。 特に老人の過去は、歴史の真実をベースにし、考えさせられるところが多々ある と思います。 フェルザン・オズペテクは、イタリアで活躍するトルコ出身の監督です。自らゲ イであることをカミングアウトし、監督作品の中でも何度かモチーフにしていま す。本作も然りです。 ヒロインのジョヴァンナを演じたジョヴァンナ・メッツォジョルノは、ローマ出 身の女優で、本作撮影時は28歳でした。日本ではあまり知られていませんが、美 しさと可愛さが同居した魅力を持っています。本作で彼女がまとう、ハーフコー ト、レザーブーツ、タートルネック、ロングマフラーなどは、秋〜初冬ファッ ションのお手本にもなりそうです。 そして、なんといっても忘れてはならないのが、老人ダヴィデを演じたマッシモ ・ジロッティ。本作撮影終了後、心臓発作で帰らぬ人となりました。遺作とし て、本作冒頭で「マッシモ・ジロッティに捧ぐ」という献辞が流れます。イタリ アを代表する名優だったマッシモは、ルキノ・ヴィスコンティ、ベルナルド・ベ ルトリッチ、ピエル・パオロ=パゾリーニといった、イタリアを代表する名監督 たちと多くの作品を残しました。本作では、人生の重みを背負った老人の悲哀や 諦観を味わい深く演じています。特に、記憶が戻る途中で過去と現在を行き来す る際の、マッシモの迫真の演技にご注目ください。 深まりゆく秋に、ぜひお薦めしたい骨太の作品です。 ★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’° 3. 「自分を見つめ直すとき」の分析 ローマ市街のアパートに暮らすジョヴァンナは、推定年齢20代後半から30代前 半。9年間連れ添った夫のフィリッポは、リストラされ給料の安い夜勤の仕事に就 いています。すれ違いの生活からか、経済的不安からか、2人の仲は険悪で口げん かばかりするように。小学校低学年の長女はおませで口が達者。ジョヴァンナを 苛立たせます。フィリッポは子どもたちとよく遊ぶ、良き父親でした。 菓子店を開きたいのに、現実は鶏肉工場の経理。お金もなく子供にも手がかかる 上に、見習いから始めるには年齢を重ねすぎている。ジョヴァンナは夢を諦めて いました。趣味で作るケーキやパイを週2回、友人のパブに納めるだけで。 こんなはずじゃなかった。満たされない毎日にジョアンナは不満を募らせ、ただ 1つの楽しみだけを心のなぐさめとしていました。それは、キッチンにある大きな 窓から向かいのアパートの部屋を眺めること。30代ぐらいのハンサムな男性が住 んでいました。長身にメガネをかけた知的なタイプ。家事を終え、タバコを吸い ながら見つめる向かいの窓の奥。ジョヴァンナの漠然とした憧れがありました。 ある日、ジョヴァンナとフィリッポは街へ買い物に出かけます。橋の上を歩いて いたとき、フィリッポは1人の老人男性に話しかけられます。仕立ての良いスーツ を着てお金も持っていますが、記憶を失くし自分の名前すらわかりません。人の いいフィリッポは、老人を家に連れてきてしまいます。 子どものいる家に他人を泊めるなんて。ジョヴァンナは警戒心を剥き出しにしま す。老人はどうやら、“シモーネ”という名前のようでした。 次の晩、ジョヴァンナはシモーネを警察へ連れて行くことに。途中で、ケーキを 届けるためパブに立ち寄ります。シモーネを車で待たせて。店を出ようとしたと き、1人の男性が近づいてきます。彼はロレンツォと言い、向かいに住むあの男性 でした。シモーネが奇妙な言葉を囁いてきたと言います。ジョヴァンナは初対面 であるかのように、ロレンツォに接します。 3人はロレンツォの車で警察に向かうことなります。ところが、通りかかったユダ ヤ人街で、シモーネは『来るぞ』とつぶやきながら車を降りてしまいます。 彼の頭の中では遠い日の記憶が交錯していました。ジョヴァンナたちが追いつい たとき、混乱したシモーネの目に映っていたのは、端正な顔立ちの青年でした。 ジョヴァンナにも、戻りつつある記憶と格闘するシモーネの姿が読み取れていま した。自宅に帰り、シモーネの服を脱がせてあげます。 その後、正気に戻ったシモーネとジョヴァンナは話をします。ジョヴァンナがふ と結婚生活の不満を漏らすと、シモーネは『最初は情熱でしかなかった愛が成熟 するのは素晴らしいことだ』と、含蓄のある言葉をかけてくれます。ジョヴァン ナは彼に、シンパシーを感じ始めるのでした。 翌日、ジョヴァンナとロレンツォはシモーネのことを話すため、カフェで落ち合 います。そこでロレンツォは、意外なことを口にします。 ジョヴァンナが毎朝8時に家を出ること、家事の後キッチンでひとりタバコを吸う こと、夜中に歩きまわり窓から何かを見ていること・・・彼はずっとジョヴァン ナを見ていたのです。向かいの窓から。ジョヴァンナは戸惑います。 帰宅すると、シモーネはいなくなっていました。そのことで、フィリッポとジョ ヴァンナは激しく言い合い、お互い傷つけ合ってしまいます。 重い気持ちのままロレンツォと会ったジョヴァンナは、銀行の支店長に昇進し転 勤することを告げられます。『なぜかいつも間の悪い時に望みが叶う』ロレン ツォはジョヴァンナを見つめます。『ずっとこうしていたい。無理な願いだ と・・・』そう言いかけたロレンツォの頬をはさみ、ジョヴァンナは唇にキスを します。衝動的な行動でした。 その後ジョヴァンナは、シモーネの居所を突き止めます。彼はシモーネではな くダヴィデという名で、有名菓子店のパティシエ兼経営者でした。シモーネと名 乗ったのは、記憶喪失の中、唯一覚えていた昔の恋人の名前だったからです。あ の日、ダヴィデはシモーネとの秘密の場所へ行こうとして、突然記憶を失くしま した。高齢で重い病気をいくつも抱えているせいでした。 ダヴィデの若い頃、世間は同性愛に理解を示しませんでした。『事実を正視しな い人々の間で交わした眼差し。君に許しを乞う勇気がなかった僕は、もう窓から のぞくことさえできない』。そう書いたものの出さなかった手紙を、ダヴィデは 何十年も大事に持っていました。 1943年10月16日、ローマのユダヤ人狩りでシモーネは捕らえられ、強制収容所で 命を落としました。ダヴィデは、ユダヤ人狩り決行の情報を直前に入手し、仲間 の家を回り大勢の命を救いました。自らもユダヤ人だったのです。でも引き換え に、愛するシモーネを失いました。シモーネへの連絡が遅れたためでした。仲間 だと示すため、自分たちの愛を嘲笑した人たちを優先したダヴィデの決断。大切 なシモーネとの愛を失うことになるとも知らず。 それからは、すべて噛み締めてダヴィデは生きてきました。後悔の人生を。最期 のときが徐々に近づいていることを知り、ダヴィデはジョヴァンナにケーキ作り の技術を授けます。『才能を粗末にしてはいかん』と。さらに『君にはまだ選ぶ ことが出来る。無為に生きるのではなく、よりよい世界に生きることを求め続け るのだ』と重みのある言葉を残します。 ジョヴァンナは心を決め、ロレンツォの部屋を訪れます。家具のない部屋にキャ ンドルがたくさん灯っていました。すぐさま2人は抱き合い、カーペットに倒れ 込みます。 ロレンツォは、長い間ジョヴァンナに恋してきたことを告白します。『君の姿が 見たくて窓から離れられなかった』と。『あの窓から?』ジョヴァンナは起き上 がり、窓のところへ行きます。いつも見ていた窓の中にいて、自宅を見ている。 不思議な気持ちでした。 不意に部屋の明かりがつき、キッチンに入るフィリッポの姿が見えました。その 直後、彼の元へ子どもたちが駆け寄っていきました。自分や子どもたちのために 不本意な仕事に勤しむ夫。母の気を引きたくて背伸びする娘。甘えたい盛りの息 子。今のジョヴァンナには、それが冷静に理解できました。 みんなが出て行った後、窓辺に現れたのはなぜか、ジョヴァンナ自身でした。寝 巻き姿でタバコを吸いながら、こちらを見ています。にこりともしないで。それ は、本当の幸せを求めている自分。ジョヴァンナの胸は熱くなります。もうそれ 以上、ロレンツォを受け入れることはできませんでした・・・ ジョヴァンナは決断を下します。自分自身を見つめ直してわかったこと。無為に 生きるのではなく、よりよい世界に生きること。そのために何をするべきか。 閉塞感に囚われた人生を、ジョヴァンナはどのようにやり直すのでしょうか。 人生には、期せずして立たされる岐路と、捜し求めて辿り着く岐路とがありま す。前者に遭遇したダヴィデは、信じて選んだ道が結果的に自分の幸せを奪い去 ることになりました。後者に遭遇したジョヴァンナは、忘れていた自分の道を選 ぶことができたようです。 人生の岐路は1度きりではありません。生きている限り、いつかまた新たな岐路 に遭遇します。ひとたび選択を間違えても、次こそ後悔しない道を選べばいいの です。そうやって何度も決断を積み重ねることで、人間は成長していくのですか ら。大切な人との関係も、きっと成熟していくはずです。 *『 』は実際のセリフです。 ★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’° ※ 【向かいの窓】はイタリア語で製作されているため、「ヒロインのセリフか ら」はお休みします。 ★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’°★,。:’°☆,。:’° 4. 裏話 【向かいの窓】で大きなウエイトを占める史実が、1943年10月に行われた、ナチ スによるユダヤ人狩りです。本作では、若き日のダヴィデがユダヤ人狩りの情報 を直前に入手して、多くの命を救ったと描かれています。 1943年7月、イタリアファシスト党のムッソリーニが失脚すると、同盟国であった ナチス=ドイツがイタリアに進軍してきました。そして、ヨーロッパ各地で繰り 広げられたように、ゲットー(ユダヤ人居住地区)に暮らすユダヤ人たちを捕ら えて強制収容所へ送ったのです。 強制収容所のユダヤ人たちは、必ずしも全員がガス室送りになって殺されたとい うわけではありません。本作でも、後で捕えられたダヴィデは収容所から生還し ています。ただ、劣悪な環境の下で蔓延した疫病や心理的恐怖が原因で、多くの 人が亡くなったことも事実です。 こうした歴史的背景を現代ローマの繁栄とクロスさせて描いたところに、本作の 重厚な味わいがあります。 なお、ナチスのユダヤ人狩りというテーマに関しては、1998年度アカデミー外国 語映画賞を獲得した映画【ライフ・イズ・ビューティフル】にも描かれていま す。こちらもぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− いかがでしたか? この週末、ぜひ【向かいの窓】を観てくださいね。 次回はどんな映画の中に恋愛風景を見つけましょうか。 どうぞお楽しみに。 ◇◆ 今回紹介の映画 ◆◇ ※商品の金額は、メルマガ発行日現在のものです。後日変更になる場合がありま すのでご了承ください。 ☆★ DVD ★☆ 向かいの窓 価格:¥ 3,416(定価:¥ 3,990) http://www.amazon.co.jp/dp/B000SXO95Q/ref=nosim/?tag=dreamer312-22 発行者: dreamy(翻訳家) 発行者サイト: http://ivory.ap.teacup.com/dreamer312/ みなさまからのご意見・ご感想をお待ちしています。 採り上げてほしい作品もお知らせください。 メールは下記のアドレスまで: soup710@yahoo.co.jp 協力: 聖



