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2009/05/22

シネマトコラムvol.91「レイチェルの結婚」レビュー

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シネマトコラム vol.91 (2009.5.22)

 *新作レビュー「レイチェルの結婚」
 *次号予告

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*新作レビュー
「レイチェルの結婚」 ジョナサン・デミ監督 (米)
アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィットほか出演

実際の主役は結婚するレイチェルではなく、トラブルメーカーの妹キムである。
アメリカ、コネチカット州のバックマン家。長女レイチェル(ローズマリー・デ
ウィット)の結婚式のため、麻薬依存症で更生施設に入所している次女のキム(ア
ン・ハサウェイ)が仮退院して戻ってくる。周囲は腫れ物に触るように彼女に接
し、何か仕出かさないかと気を遣う。やがて案の定、性格が正反対のレイチェル
らといさかいを起こし、晴れの日を前に一家は戦々恐々。過去の確執や両親の離
婚、キムの心の病の元凶となった出来事が蒸し返され、祝福ムードいっぱいの裏
で一家は修羅場を向かえる……。

人間ドラマの好きな方にはうってつけの興味を惹かれる設定である。キャストも
揃っているし、映像描写の正確さは技術を感じさせる。が、しかし、残念ながら
脚本が甘い。魅力的なテーマをまな板の上に載せはしたのだが、結局平凡な調理
で済ませてしまった感じだ。映画初挑戦のジェミー・ルメット(= シドニー・ル
メット監督の娘)による脚本の完成度は今ひとつと云わざるを得ない。ひと言で
いうと、登場人物が互いに何をもって理解、納得したのかがあいまいなまま収束
しているのだ。
女性の脚本あるいは監督作品にありがちな欠点でもあるが、”こういう設定で、
こういう波乱があって、でも最後はうまく納まる”という筋書きの実現だけに気
を取られ、“なぜそこでその人がそうしたか”、の説明付けが不十分である。
特に人間ドラマでこれはまずい。せめて軸となるキムとレイチェル、そしてキム
と母親アビーのターニングポイントだけはしっかり描いてほしかった。
構成上も大きなミスがある。最初に描かれる内輪だけのプレ・パーティーの配分
が長すぎるのだ。前半の流れがまどろっこしく、肝心のウエディングパーティー
の印象が薄れてしまっている。カメラワークは丹念に人々を追い、未熟な脚本を
カバーすべく、喜々としたパーティーの描写を繰り返して幸せ感を煽るが、3で
充分伝わるところも10のカットで見せるため無駄が多く感じる。

離婚後、娘たちの面倒をみてきた父ポール(ビル・アーウィン)の、何事もまあま
あ、と取り繕う姿勢、優等生のようでかなりきつい姉レイチェル、そして姿をみ
せたかと思うと逃げるように去ってしまう実母アビー(デブラ・ウィンガー)……
この家族にあって1人だけ建前のない性格のキムが心を病む背景は極めて明解で
よく描かれている。エキセントリックではあるものの、最もまっすぐなのは実は
キムなのだ。

アン・ハサウェイはインパクト充分で素晴らしい熱演だ。「プラダを着た悪魔」
の時より演技力が増し、特に表情の引き出しが格段に進化している。まだ若いが
もしかしたらこの人、そのうちにハリウッドを代表する女優になるかもしれない。
本作は、彼女が主演したからサマになったと言っても過言ではないだろう。

とはいえ、小作品で公開からかなり経っている平日にもかかわらず観客の入りは
まずまずだった。それだけ人間ドラマ好きにはそそられる題材だったのだと思う。

「レイチェルの結婚」公式サイト(予告編も観れます)
http://www.sonypictures.jp/movies/rachelgettingmarried/site/index.html

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*次号予告
次号新作レビューは、「消されたヘッドライン」を取り上げる予定です。

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シネマトコラム

 発行者 上間秀彦
  連絡先 g-note.uema@nifty.com
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