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公開中の新作を中心にわかりやすく、かつ踏み込んだレビューとコラムをお送りします。どちらかというと娯楽性より作品性重視の視点です。バックナンバーもご覧いただき、よろしければぜひ。

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  • 最新号 2009/11/06
  • 部数 558部
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2009/01/04

シネマトコラムvol.79「2008年の映画ベストテン」

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シネマトコラム vol.79 (2009.1.4)

 *当誌が選ぶ2008年の映画ベストテン
 *映画以外のコト
 *次号予告

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皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申しあげます。
さて今回は当誌が独断で選んだ2008年映画ベストテンを発表します。

昨年観た新作は47本。かなり映画館に通ったつもりでも、全公開作品から
すると20%にも満たず「ダークナイト」も「ノーカントリー」も「ぐるりの
こと」も「崖の上のポニョ」も観ていない……作品数の多さと公開のペース
になかなか追いつけません。
それでも昨年は守備範囲が少し広がり、これまであまり観なかった女性が主
役の作品をけっこう観ました。時代の表れなのかもしれませんが、どうも最
近は映画の中でも女性の方が勢いを感じます。少し女性寄りのラインナップ
になった理由はそのあたりです。もう一つの傾向は邦画をけっこう観た一年
でした。ひと頃の泣ける系から題材や価値観が広がりをみせ、人間が作品の
中心にドンと居るような作品が多く楽しかったです。
それではベストテンとコメントです。

*2008年の映画ベストテン
<外国映画>
1「つぐない」
2「ブーリン家の姉妹」
3「ボーダータウン 報道されない殺人者」
4「JUNO ジュノ」
5「私がクマにキレた理由(わけ)」
6「告発のとき」
7「さよなら。いつかわかること」
8「フィクサー」
9「俺たちフィギアスケーターズ」
10「ラースと、その彼女」

1位、2位は共に姉妹の物語で確執と絆の描き方が絶妙で胸に響いた。「ボー
ダータウン」はメキシコで現実に起きている、政府によってひた隠しにされて
いる膨大な被害者数の殺人事件に切り込んだ社会派サスペンスの秀作、主演と
してこれまでと違う面をみせたジェニファー・ロペスも印象的。「JUNO」は
望まない10代の妊娠というテーマから想像するイメージをくつがえす主人公が
新鮮で、「私がクマに〜」も若い女性の自分探しというありがちなテーマなが
ら脚色とリズムが優れていた。
「告発の〜」と「さよなら〜」は共にイラク戦争の陰の部分が、兵士の遺族の
視点で描かれていて感じるものがあり、「俺たち〜」はコメディーとして突き
抜けていた。
監督では、壮絶な歴史上の物語をテンポ良くまとめた「ブーリン家の姉妹」の
ジャスティン・チャドウィック、妨害を受けながらも世界に事実を発信した「
ボーダータウン」のグレゴリー・ナヴァだろうか。
俳優では、「告発のとき」で無骨な父親を演じたトミー・リー・ジョーンズ、
「フィクサー」のジョージ・クルーニー、「ブーリン家の姉妹」のナタリー・
ポートマン&スカーレット・ヨハンソン、また子役として「つぐない」のシア
ーシャ・ローエン、「幸せの1ページ」のアビゲイル・ブレスリンが印象に残
った。

<日本映画>
1「歩いても 歩いても」
2「おくりびと」
3「人のセックスを笑うな」
4「百万円と苦虫女」
5「闇の子供たち」
6「グーグーだって猫である」
7「トウキョウソナタ」
8「陰日向に咲く」
9「同窓会」
10「たみおの幸せ」

邦画は特に人間模様を描いた作品の秀作が多く近年稀に見る当たり年だった。
「歩いても〜」は一番自然で、役者陣の演技も完璧、そしてとにかくこの映画
は笑えた。なのに胸がきゅんとする余韻も絶妙で出演女性陣の樹木希林、夏川
結衣、YOUのトリオが揃って好演。
「おくりびと」も勝るとも劣らない内容とユーモアながら、主演2人の演技の
浅さがわずかにマイナス。むしろ助演の山崎努、余貴美子が素晴らしかった。
口に出しにくいタイトルの「人セク」は、実は真面目な好作品で若者独特の空
気感がとても良く表現されていて、永作博美、松山ケンイチ、蒼井優という旬
の3人が共演している点も見所。蒼井優は主演した「百万円〜」も含め並のベ
テランよりずっと実力を発揮し続けており、個人的には、若いためにいつも新
人賞や助演賞で片付けられてしまう彼女に主演女優賞をあげたいくらい。

「闇の子供たち」は、昨年最も衝撃を受けた映画。タイの闇社会の幼児買春と
臓器売買にメスを入れた邦画らしからぬ視点で、わずか7館の封切から、口コ
ミでどんどん拡大されついに全国120館もの公開になったことからも本作のイ
ンパクトを見て取れる。現在も各地で公開されているので要チェック。
「グーグー〜」と「トウキョウソナタ」は永作博美と並び称されるアラフォー
の代表、小泉今日子の主演で、年齢を重ねたことからくる表情のメリハリを感
じた。「たみおの〜」はエンディングが突飛すぎるが配役と演技は良かった。

スタイルとしては複数の登場人物を組み合わせて同じウエイトで描く群像劇
が目立ち、「歩いても〜」「トウキョウソナタ」「アフタースクール」「同窓
会」「陰日向に咲く」などがこのパターンに当たる。
監督ではドキュメンタリー出身らしい完成度の高い家族ドラマ「歩いても〜」
の是枝裕和、ハードなテーマにトライした「闇の子供たち」の阪本順治の2人
の仕事ぶりが、また他に俳優では「相棒劇場版」「陰日向〜」で助演として存
在感のある演技をみせた西田敏行、「たみお〜」の助演大竹しのぶ、「グーグ
ー」の助演上野樹里も光っていた。

<この他2008年観た映画>タイトル後の印は大まかな評価です。参考までに。
**「再開の街で」◎、**「やわらかい手」◎、「ダージリン急行」△、「マイ
・ブルーベリー・ナイツ」△、「君のためなら千回でも」○、「バンテージ・
ポイント」○、「子猫の涙」×、「大いなる陰謀」○、「幻影師アイゼンハイ
ム」△、「最高の人生の見つけ方」○、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
」△、「アフタースクール」○、「相棒劇場版」○、「休暇」△、「西の魔女
が死んだ」△、「靖国」△、「幸せになるための27のドレス」△、「ひゃくは
ち」○、「ホット・ファズ」△、「幸せの1ページ」○、「パコと魔法の絵本
」△、「彼が二度愛したS」○、「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」○、
「P.S.アイラヴユー」○、「ハッピー・フライト」○、「ウォーリー」○、
「青い鳥」○。
他にショートフィルム12本。
**は07年の封切りなのでランキングには入れませんでした。

さて今年の目標は、「去年より1本でも多く観ること」にします。

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*映画以外のコト
一見いつもと変わらぬ正月でしたが、外に出ると異変に気付きました。
お飾りを飾っている家が少ないのです。そしてお飾りを付けた車となると、
さらにグンと減って数えるほど。あらためて不況の影響を感じた三が日でし
た。でもおみくじ引いたら、待ち人以外はすべて良しという大吉だったし、
神社の鐘も撞いてやったし、なんとなく気分一新したかな。
皆さんはどんな正月を過ごされましたか? 今年もよろしくお願いします。

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*次号予告
次号新作レビューは、「ワールド・オブ・ライズ」を取り上げる予定です。

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シネマトコラム

 発行者 上間秀彦
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