2008/12/21
シネマトコラムvol.76「WALL・Eウォーリー」レビュー
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ シネマトコラム vol.76. (2008.12.21) *前号訂正 *新作レビュー「WALL・E ウォーリー」 *ちょっと蛇足 *次号予告 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ *前号訂正 まず前号の記載に2箇所誤りがありました。号数の表記がvol.74となってい ましたが、正しくは「vol.75」です。また文中最初の方にある”羽田空港” は、「成田空港」の間違いです。 大変初歩的なミスで申し訳ありません。お詫びして訂正致します。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ *新作レビュー「WALL・E ウォーリー」(字幕版) アンドリュー・スタントン監督・米 実はそれほど期待していなかったのだが、今までのシリーズとはひと味違う 未来を舞台にした設定と、その中に見え隠れするメッセージのバランスが絶 妙で、観終るとさすがピクサー、と思える好作品である。 時ははるか未来、ゴミが飽和状態になった地球を捨て人間は宇宙へ脱出する。 廃墟と化した広大な地球に残されたゴミ処理ロボット、ウォーリーは来る日 も来る日も人間が残した膨大な量のゴミを片付けている。友達はお供の小さ なゴキブリだけ。そんなある日、宇宙船が飛来し宇宙人のような物体、イヴ が降り立つ。卵形のキュートなイヴに恋してしまったウォーリーは、”彼女” と仲良くなるが、とっておきのプレゼントのつもりで植物をあげた途端、イ ヴは動かなくなってしまう。途方に暮れるウォーリー。やがてまた宇宙船が 飛来し、イヴを積み込む。船体にしがみつき後を追ったウォーリーが着いた 先は見たこともない異空間と、そこにいる異様な人間たちの生活だった。 そしてイヴが取り込んだ地球の植物が、未来空間の人間たちの運命を左右す る重大な意味を成すことが判明し、ウォーリーとイヴは危険なアドベンチャ ーに巻き込まれていく……。 予告編から受ける印象よりもずっとシビアな問いかけを含み、シンプルなよ うで奥行きがある大人のSFアニメーションである。 いきなりゴミの山が林立する廃墟のような地球の描写からスタートする。こ の雰囲気でもうこの映画の、ピーンと張り詰めたそんなに甘くない空気感が 場内を包む。 前半の作り方は本作の最大の特徴といえる。前半のほとんどは効果音と映像 の動きだけ。会話は一切なしでこれだけ引っ張る大胆な構成がすごい。 進化しすぎた人間は、少なくともこの映画の中では退化している。後半、宇 宙船の代々の船長の写真が順番に映るシーンがあるが、時が経つにつれ船長 の体形がどんどん太っていくのが印象的だ。自力でまともに歩けない未来人 の姿もショッキングである。 ピクサー作品はいつも広角のスケールを感じるが、本作は舞台が宇宙という こともあり、ひときわ冴えた独特の広がりがある。 この作品は「音」のウエイトが大きい。機械の作動音、発射音、振動の地響 き……きわめて精巧に表現された音たちが、キャストの一部になっているよ うに感じた。ピクサーらしい映像のリアリティーも相変わらず健在だ。 ロボットでありながら、働きもので誠実で情熱のあるウォーリーのキャラは、 目玉が突き出たような風貌とマッチしていて親近感があり、マドンナ役イヴ もうってつけの存在である。 さらに後半の宇宙船の司令室で起こる反乱劇は、さながら現代の人間模様そ のままであり、太っちょのダメ船長の修羅場でみせる決断とリーダーシップ も隠れた見所である。前と後だけ登場する小さなゴキブリもまた名脇役だ。 成功のセオリーや、無難なウケ狙いをスパッと切り捨てた冒険的なテーマと 作りに感心してしまった。103分で短めにまとめたことも成功している。 誰もが何か感じるところがあるであろう、観て損のない作品である。 「WALL・Eウォーリー」公式サイト(予告編もみられます) ↓ http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/index.html ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ *ちょっと蛇足 予告編ではウォーリーの健気さ、愛らしさが強調されていて、今度はロボッ トで来たか、という程度で考えていたので、こんなにスケールがあって深い とは実際に観るまでわかりませんでした。だからこれは良い意味で予告編に 裏切られたパターン。そういえば上映前に流れた「旭山動物園物語」も、秋 頃までのと違うバージョンの予告編で、なんとなくこれなら観てみようかと いう気になりました。 本当に予告編の作り方次第で印象はガラッと変わるものです。 でも本編を観れば予告編の印象はもう関係なくなる…「一目瞭然」とは映画 のためにあるような言葉ですね。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ *次号予告 次回新作レビューは「青い鳥」を取り上げる予定です。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ シネマトコラム 発行者 上間秀彦 連絡先 g-note.uema@nifty.com 『まぐまぐ』感想フォーム↓ http://form.mag2.com/trigawiowo 発行板 *『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら→ http://www.mag2.com/m/0000231303.html *『めろんぱん』http://www.melonpan.net/index.html 配信中止はこちら→ http://www.melonpan.net/mag.php?010476 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



