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2009/06/14

★実践プロマネ[性能とキャパシティの管理(2)]★

2009/06/15 No.112
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最適なキャパシティが理想的です。

しかし、システムは進化もしますし、劣化もします。

現状要求されるインフラストラクチャ、資源、および能力を定義し、準備し
ていては十分な動作環境とは言えません。

将来に許容量できる環境を最適に準備しなければなりません。

一般的にシステムは現状のまま5〜6年稼動させることはありません。改造、
機能追加はつきものです。

経済環境、他社動向、顧客嗜好が変わり、経営環境も刻々と変化します。

この変化をある程度予測し、ITシステムのインフラストラクチャ、資源、
および能力を用意しなければなりません。

これは簡単ではありません。なぜならば、外部環境の変化は予測が困難だか
らです。

そこで、現状要求される性能要件から20〜30%程度の許容度を考慮し、
IT環境を準備することです。

そして、拡張性を容易にし、2〜3ヶ月単位にモニタリングして、計画的に
ITシステムにフィードバックすることが重要です。



それでは、性能とキャパシティの管理のマネジメントガイドラインと
成熟度モデルについて確認していきます。


【マネジメントガイドライン】


性能とキャパシティの管理の達成目標とその評価指標を以下に示します。
(↑↓測定)は達成目標とその評価指標の関係を表します。
(↓設定)はIT、プロセス、アクティビティの関係を表します。

★IT
達成目標 
 ・ビジネス戦略と合致するビジネス要件への対応
 ・要求に応じてITサービスを使用可能であることの保証
 ・ITインフラストラクチャ、資源、および能力の最適化
(↑↓測定)
評価指標
 ・不十分なキャパシティ計画策定に起因する1ユーザあたりの損失時間数
  (1カ月あたり)
 ・定められたサービス可用性計画が適用されていない重要なビジネスプロ
  セスの数

(↓設定)

★プロセス
達成目標
 ・ピーク時の負荷とトランザクションの応答時間のモニタリングと測定
 ・SLAにおける応答時間要件への適合
 ・処理に失敗したトランザクションの最小化
 ・ダウンタイムの極小化
 ・IT資源の利用の最適化
(↑↓測定)
評価指標
 ・ピーク時の負荷と全体的な稼働率
 ・稼働率の上限を超過したピークの割合
 ・SLAに定められた要件を満たさなかった応答時間の割合
 ・処理に失敗したトランザクションの障害発生率

(↓設定)

★アクティビティ
達成目標
 ・システムキャパシティと可用性の計画策定と提供
 ・システムキャパシティのモニタリングと報告
 ・システムキャパシティのモデル化と予測
(↑↓測定)
評価指標
 ・性能とキャパシティの予測の実施頻度
 ・キャパシティレビューの対象である資産の割合
 ・集中管理ツールを使用してモニタリングされる資産の割合


【成熟度モデル】


「ビジネス上の必要性に応じて、ITのインフラストラクチャ、資源、およ
び能力を最適化する。」というITに対するビジネス要件です。

このビジネス要件を満たす上で、「性能とキャパシティの管理」プロセスに
おける管理の成熟度は、以下のとおりです。


成熟度0 −不在−

マネジメント層が、主要なビジネスプロセスで高いレベルの成果をITに求
める場合があること、もしくはITサービスに対する全体的なビジネス上の
ニーズがキャパシティを超える可能性があることを認識していない。

キャパシティ計画策定プロセスが整備されていない。


成熟度1 −初期/その場対応−

性能とキャパシティに制約がある場合は、ユーザがワークアラウンド(回避
策)を検討する。

キャパシティと性能の計画を策定する必要性について、ビジネスプロセスオ
ーナがほとんど認識していない。

性能とキャパシティの管理への対応は、概して事後的に行われている。

キャパシティと性能の計画策定プロセスは非公式なものである。

IT資源の現行および将来のキャパシティと性能についての理解は限定的で
ある。


成熟度2 −再現性はあるが直感的−

ビジネス部門とIT部門の管理者は、性能とキャパシティを管理しない場合
の影響について認識している。

性能に関するニーズは概ね満たされているが、これは個別のシステム評価と、
サポートチームとプロジェクトチームの知識に依存している。

性能とキャパシティに関する問題の診断にさまざまなツールが用いられてい
るものの、診断結果の首尾一貫性については、主要な担当者の力量に依存し
ている。

ITの性能とキャパシティに関する包括的な評価が行われておらず、また、
ピーク時と最悪時の負荷状況について考慮されていない。

可用性の問題が不意かつランダムに発生する可能性があり、問題の診断と是
正に相当の時間がかかる。

成果測定はすべて、顧客の必要性ではなく、主にIT部門の必要性に基づい
て行われている。


成熟度3 −定められたプロセスがある−

性能とキャパシティの要件は、システムのライフサイクル全体に対して定義
されている。

サービスレベル要件と指標が定義されており、この指標を用いて運用上の性
能を測定できる。

定義されたプロセスに従って将来の性能とキャパシティの要件がモデル化さ
れている。

性能に関する統計値を示す報告書が作成されている。

性能とキャパシティに関連する問題が発生する可能性は依然として存在し、
問題を是正するには時間がかかる。

サービスレベルが公表されているが、ユーザと顧客がサービス提供能力につ
いて疑念を抱く余地がある。


成熟度4 −管理され、測定可能である−

システムの使用状況、性能とキャパシティを測定するプロセスとツールが存
在しており、測定結果は定義済みの達成目標と比較される。

最新の情報が入手可能である。

この情報には、標準化された性能に関する統計値と、性能とキャパシティの
不足に起因するインシデントのアラート情報が含まれている。

性能とキャパシティの不足に関する問題は、規定された標準手続に従って処
理される。

特定の資源(ディスクスペース、ネットワーク、サーバ、およびゲートウェ
イなど)のモニタリングに自動化ツールが用いられている。

性能とキャパシティに関する統計値がビジネスプロセスの観点から報告され、
その報告によりユーザと顧客がITサービスレベルを理解できるようになっ
ている。

ユーザは現在のサービス提供能力に概ね満足しており、新たな、そしてさら
に改善された可用性レベルを要求する可能性がある。

ITの性能とキャパシティを測定するための指標について合意が得られてい
るが、これらの指標は、単に散発的かつ首尾一貫せずに適用されている可能
性がある。


成熟度5 −最適化−

性能とキャパシティの計画は、ビジネス上の要件の予測と十分に同期されて
いる。

ITインフラストラクチャとビジネス上の要件の定期的なレビューが義務付
けられており、これにより最小限の費用での最適なキャパシティの確実な実
現が可能になっている。

重要なIT資源をモニタリングするためのツールが標準化されており、各プ
ラットフォームで使用され、全社的なインシデント管理システムに関連付け
られている。

モニタリングツールは成果と能力に関連する問題を発見し、自動的に是正で
きる。

傾向分析が実施され、業務量の増大に起因する差し迫った性能上の問題が発
見される。

この結果、対応計画の策定と、予期しない問題の回避が可能になる。

ITの性能とキャパシティの測定指標が、すべての重要なビジネスプロセス
について達成目標と評価指標に最適に組み込まれており、首尾一貫して測定
されている。

マネジメント層はこれらの分析を踏まえ、性能とキャパシティに関する計画
の調整を行っている。



次号では、
「継続的なサービスの保証」の詳細に触れます。


【以下は前号までを参照のこと】
 [COBITの歴史]
 [COBITの4つのドメインと34のコントロール目標]
 [ITCのプロセスガイドライン]

参考資料 COBIT 4.1 日本語版 (Japanese) 
     情報システムコントロール協会 (ISACA) 

参考資料 ITCプロセスガイドライン Ver.1.1
     ITコーディネータ協会


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