2009/05/18
★実践プロマネ[サービスレベルの定義と管理(2)]★
2009/05/18 No.108 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ★ 実践プロマネのメールマガジン ★ (プロマネ経験からの実践的なアドバイス) 「実践プロマネのメールマガジン」で発行した情報は http://home.g00.itscom.net/project/index.html にタイトルをつけて掲載しています。こちらもご覧下さい。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ SLAでは、サービス提供者とサービス委託者との間で契約を行う際に、提 供するサービスの内容、範囲、品質に対する要求水準を明確にして、それが 達成できなかった場合のルールをあらかじめ合意しておきます。 この合意した内容を文書にあらわし、SLAとして契約書します。 サービスレベルを明文化しても、多くの問題が発生することがあります。 サービス提供者とサービス委託者の役割分担と責任の所在に曖昧な部分は避 けられません。 具体的な業務の中で、どの部分がサービスの対象になっているかが、サービ ス委託者とサービス提供者の間で食い違ってしまうことが起こります。 サービス委託者が期待するサービス品質と、サービス提供者が提供する予定 のサービス・レベルが異なっている場合もあります。 契約段階でサービスレベルを明記し、その内容を合意しても、実際にサービ スが提供されるまで、あるいは問題が発生するまで具体的な内容までわから ないということが起こり得ます。 サービス提供者にとっては契約書通りのサービスをしているにもかかわらず、 サービス委託者にとって不満が生じてしまうのです。 サービスレベルを定義する際は、具体的な事例を明記してサービス内容を明 らかにする必要があります。 それでは、サービスレベルの定義と管理のマネジメントガイドラインと 成熟度モデルについて確認していきます。 【マネジメントガイドライン】 サービスレベルの定義と管理の達成目標とその評価指標を以下に示します。 (↑↓測定)は達成目標とその評価指標の関係を表します。 (↓設定)はIT、プロセス、アクティビティの関係を表します。 ★IT 達成目標 ・提供サービスとサービスレベルに対するエンドユーザの満足の確保 ・ビジネス戦略と合致するビジネス要件への対応 ・IT運用にかかる費用、便益、戦略、ポリシー、およびサービスレベル の透明性の確保と理解の実現 (↑↓測定) 評価指標 ・サービス提供が合意レベルへ到達していることに満足しているビジネス 部門の利害関係者の割合 ・サービス提供が合意レベルへ到達していることに満足しているユーザの 割合 (↓設定) ★プロセス 達成目標 ・求められるサービスレベルについての共通認識の確立 ・SLAおよび成果達成基準の正式化とモニタリング ・提供サービスのレベルと、合意したサービスレベルとの合致 ・ビジネス達成目標との整合が取れた最新のサービスカタログの作成 (↑↓測定) 評価指標 ・カタログにない提供サービスの数 ・合意したサービスレベルに到達しているサービスの割合 ・測定されているサービスレベルの割合 (↓設定) ★アクティビティ 達成目標 ・サービスの定義 ・要件と提供能力を踏まえた上での社内外に対する正式な合意形成 ・サービスレベル達成状況の報告(レポーティングとミーティング) ・報告を受ける側に応じた報告の編成 ・戦略策定に対する新規または変更のサービス要件のフィードバック (↑↓測定) 評価指標 ・ビジネス部門との正式なSLAレビュー会議の年間の開催回数 ・報告されたサービスレベルの割合 ・自動化された方法で報告されたサービスレベルの割合 ・顧客との合意後にサービスレベルの調整に要した作業日数 【成熟度モデル】 「主要なITサービスとビジネス戦略との整合性が保証される。」という ITに対するビジネス要件です。 このビジネス要件を満たす上で、「サービスレベルの定義と管理」プロセス における管理の成熟度は、以下のとおりです。 成熟度0 −不在− マネジメント層がサービスレベルの定義プロセスの必要性を認識していない。 それらをモニタリングする説明責任と実行責任が割り当てられていない。 成熟度1 −初期/その場対応− サービスレベル管理の必要性は認識されているが、そのプロセスは非公式か つ事後的である。 サービスの定義および管理の実行責任と説明責任について規定されていない。 成果測定が行われているとしても、その測定はあいまいに定義された目標で 定性的な測定に限られている。 報告は非公式であり、報告頻度が低く継続性がない。 成熟度2 −再現性はあるが直感的− 合意されたサービスレベルが存在するが、これらのサービスレベルは非公式 であり、見直しは行われていない。 サービスレベルの報告が不完全であり、顧客にとって的外れまたは誤解を招 く可能性がある。 サービスレベルの報告は、個々の管理者のスキルとイニシアチブに依存する 形で行われている。 サービスレベル調整担当者が割り当てられ、実行責任が規定されているが、 十分な権限は与えられていない。 SLAに対するコンプライアンスプロセスが存在する場合でも、そのプロセ スの実施は任意であり、強制されていない。 成熟度3 −定められたプロセスがある− 実行責任は明確に定義されているが、自由裁量に任されている。 SLAの策定プロセスが整備されており、サービスレベルと顧客満足度を再 評価するためのチェックポイントが設けられている。 標準プロセスを用いて、サービスとサービスレベルの定義、文書化、合意が 実施されている。 しかしサービスレベルの未達は識別されるが、それを解決する正式な手続が ない。 期待されるサービスレベルの達成と投下資金との間に明確な関連付けがある。 合意されたサービスレベルはあるが、それがビジネスの必要性に対応してい ない可能性がある。 成熟度4 −管理され、測定可能である− システム要件の定義段階において、サービスレベルが徐々に明確に定義され、 アプリケーションと運用環境の設計の中に組み込まれている。 顧客満足度が定期的に測定され評価されている。 成果の測定指標に、IT達成目標ではなく顧客のニーズが反映されている。 サービスレベル評価の測定方法が標準化されつつあり、業界水準を反映して いる。 サービスレベル定義の基準はビジネスの重点項目に基づいており、可用性、 信頼性、成果、容量の余裕度、ユーザサポート、継続計画、およびセキュリ ティ上の検討事項が含まれる。 サービスレベルに達していない場合には、その根本原因の分析が定期的に実 施されている。 サービスレベルモニタリングの報告プロセスが徐々に自動化されつつある。 合意されたサービスレベルに達しない場合に発生し得る運用上と財務上のリ スクが定義されており、明確に把握されている。正式な測定体系が構築、維 持されている。 成熟度5 −最適化− ITの目標とビジネス目標の整合性確保のため、サービスレベルの再評価が 継続的に実施されている。 同時に、費用/便益分析などの技術が活用されている。 すべてのサービスレベルの管理プロセスにおいて、継続的な改善が課せられ ている。 顧客満足度が継続的にモニタリング、管理されている。期待されるサービス レベルは各ビジネス部の戦略目標を反映していると同時に、業界水準に照ら して評価されている。 IT管理部門には、サービスレベル目標の達成に必要な資源が割り当てられ ており、その説明責任が課されている。 また、サービスレベル目標達成の動機付けとなる報酬体系が設定されている。 マネジメント層は、継続的な改善プロセスの一環として成果指標のモニタリ ングを行っている。 次号では、 「サードパーティのサービスの管理」の詳細に触れます。 【以下は前号までを参照のこと】 [COBITの歴史] [COBITの4つのドメインと34のコントロール目標] [ITCのプロセスガイドライン] 参考資料 COBIT 4.1 日本語版 (Japanese) 情報システムコントロール協会 (ISACA) 参考資料 ITCプロセスガイドライン Ver.1.1 ITコーディネータ協会 ------------------------------------------------------------------ 「実践プロマネのメールマガジン」で発行した情報は http://home.g00.itscom.net/project/index.html にタイトルをつけて掲載しています。こちらもご覧下さい。 ぜひ、プロマネの皆様の<悩み>や<抱えている問題>を http://home.g00.itscom.net/project/index.html の 「ご意見ご質問のメールはこちらからお願いします。」 から投稿して下さい。匿名でも構いません。 ------------------------------------------------------------------ [ご意見、ご感想] 今週号の感想はこちらから(5月25日まで) http://home.g00.itscom.net/project/index.html バックナンバもこちらから http://home.g00.itscom.net/project/index.html ================================================================== [実践プロマネのメールマガジン]



