2009/06/26
静岡銀幕週報 101
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>■■□ 静岡銀幕週報
>□■■ 第101号 2009/06/25
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┃N┃■┃作品レビュー
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┃■┃1位/2009年35作品中 いけちゃんとぼく
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静岡ミラノ2で6月20日19:50の回。客入りは15人ほど。
先週「レスラー」を見たときに
「1年もほぼ中盤に差し掛かって、今年公開の映画の残りのラインナップを見る限り、
今年一番の映画でほぼ確定だと思う。」
とか書いたけど、わずか4日で撤回することになるとは思わなかった。今年一番、いや、
この5年ほどを通じてもっとも印象的な作品となった。
ここまでツボにハマったのはシャーリーズ・セロンの「モンスター」以来のこと。
テレビ静岡の「ザ・ベストハウス123」の“絶対泣ける本ランキング”で第1位を獲得した
そうだけど、原作はそこまでそうじゃないと思うんだよなー。
西原理恵子の絵本。この人は白サイバラと黒サイバラがあるけど、白サイバラの代表作。
西原理恵子は「ちくろ幼稚園」がヤングサンデーに連載されていた時から読んでるから、
もう20年以上になる。
前後してパチンコにハマりはじめて、パチンコ雑誌を読むようになったら、
そこに西原理恵子がいた。
とか、そんな話を書き出すとまとまらなくなりそうだからやめておく。
「いけちゃんとぼく」という映画、確かに原作は絵本の「いけちゃんとぼく」だ。
でも絵本1冊で1本の映画を作れるほどのボリュームはない。そしてこの絵本の
世界を描く上で、この絵本自体はある意味たいしたものじゃない、ということが
この映画のプロモーションからも見て取れる。
http://www.youtube.com/watch?v=xYO78FH5_Eg
この予告編からモロバレなんだけど、いけちゃんの正体は、ヨシオが年をとってから
死ぬまで数年だけ一緒にいた池子というおばあさん。死ぬ前に、好きだった人の
子供の頃を見たい、という願いがかなっていけちゃんという、いわばメーテルのような
子供の頃の幻影として降臨した。
これは絵本では泣き所として最後に明かされる話だけど、映画では予告編でも、
そして本編でも最初に明かされる。
その意味するところは、この映画は原作の絵本だけを映画化したのではない
ということだろう。
この映画には20年読んできた俺が知ってるサイバラの、一番伝えたがっているで
あろうことが描かれている。
そりゃそうだ、なにせ大岡俊彦監督は「俺は25年来の西原ファンなので」
http://cinema-magazine.com/program/?n=1822
だから「この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4652078404/rrdrrd-22/」
が西原理恵子の魂の叫びだということが分かってるんだよ。
この本はサイバラの自叙伝ともいえる本。
前半部分に描かれている、サイバラが幼少期に育った高知市浦戸の姿がものの
見事に投影されている。それもそうだ、ロケ地は浦戸だそうだし。
「この世でいちばん大事な「カネ」の話」やサイバラの作品群やインタビューには、
1964年生まれとは思えないようなビックリするような話が次々と出てくる。
サイバラ自身、(義)父との死離別を(少なくとも)三度経ているし、そのドラマもビックリする。
でもそれも高知に行ったら納得すると思う。
俺は西原が生まれた高知市浦戸に行ったことがある。浦戸に行こうと思った
わけじゃなくて、高知の観光地である桂浜に行ったんだけど、そのすぐ裏が浦戸だった。
海と山に囲まれた古い漁師町。地理的には閉鎖されてるんだけど、人は開放的、
という感じ。でも煮詰まってるんだろうということは容易に感じ取れる。30年も40年も
変わってなさそうな、俺にとってはまったく縁がないのに、どこか懐かしささえ
覚えるような、そんな集落だった。
パンフレットのインタビューで西原理恵子は「40年前とあきれるほどに変わってない」と
言っているけど、だからこそ現代を舞台にしたこの映画の光景は成り立っている。
単純で、迷信深くて、実質本意で。
だから犬神伝説みたいのがあったり、同和がらみのいろんなことがあったり、
町も時間が止まったようだし、バスも走ればいいみたいな感じで古いバスの宝庫だったり、
遍路で歩いているとお接待とかいってよくしてもらったり。
そういえば遍路と言えば、昔は姥捨て山に近い感じで、捨てられて行き場所がなくて
死ぬ場所を探して四国をグルグル回ってた人たちが人たちがいて、それが
忘れられた美しい国・日本の真実だったりするんだけど、その人たちが行き倒れた
ところに石仏を置いたりしてたの。
何百年も前に行き倒れた人の痕跡があちこちに残ってる、それが四国という土地。
出来たら、そういうのを念頭においてこの映画を見て欲しいんだ。
それと、何回も書いてきたと思うけど、静岡ミラノ2で封切りされる作品は名作が多い。
公開中
静岡ミラノ2
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┃M┃■┃もうひとつ作品レビュー
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┃■┃11位/2009年34作品中 いけちゃんとぼく
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静岡ピカデリーZEROで6月20日13:10の回。
客入りは200人弱と、びっくりするほどの大賑わい。
今日は日中ちょっと暑くて、冷房の効いた映画館で、雪山を登る映画って、
時期ハズレが逆に心地いい感じ。日本映画の雪のシーンって全然寒さが伝わらない、
雪降ってるのに誰も寒がってない、雪の中転げまわって暖かさすら感じるような
映画が多いのに、これは十分に寒さ・辛さが伝わってくるよ。
でも最後の方は内容としてちょっと寒かった感じもしたけど。
浅野忠信と香川照之が三角点をたてるために苦労して下調べして、準備して、
試行錯誤を繰り返してさ。その過程で描かれる山の情景がダイナミックで素晴らしい。
こんなの、テレビじゃ体感できないよ。行ったことないけど、その場にいるって感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=1KN4ELmEBNA
俺の大好きな香川照之が大活躍。
この人は狂った日本兵とかを演じさせると天下一品で、今回は陸軍の測量部隊の話と
いうことで狂った軍人の役を大いに期待したら、純朴な地元の案内人の役。そして
ちゃんとハマってる、つーか、完全に主役の浅野忠信食ってたでしょ。
この香川照之の息子が剱岳に人が踏み入れることに反対してるわけ。
そんな親子ドラマもあって、息子が父親を理解して和解するだけだけなら陳腐な話だよ。
だから雪渓を越えて、それまで5人ロープでつないだ先頭で案内してきた香川照之が
ロープをほどいて、ここから先はあなたが先に行ってください、って言った時は、
やったやった来た来た!と思ったね。剱岳に登らせる気がないんだ、と。
ところがそういう意味じゃなかったんだな。裏方だから初登頂の栄誉を譲ろうと
しただけだったんだよ。
なんだよ、くだらねえ。つーか、あの親子の因縁は何で突然解決したのか、よく分からん。
まあ、勝手な期待をした俺がくだらねえと思っただけで、ここは映画としては
非常に重要なテーマを描いていて、要するに誰が偉いとかとかじゃなくて、
みんな対等な仲間なんだと。
その精神はエンドロールに如実に表れていて、役者もスタッフも全員肩書きなし。
「仲間たち」の下に名前が並んでいく、ただ一人、原作の新田次郎を除いて。
しかもだよ。
苦労に苦労を重ねて、さあこれからどうやってクライマックスを迎えるのかな、
と思った瞬間にストップモーション。次の瞬間には山頂で呆然としてる。
見てるこっちが呆然とするっつーの。
確かに雪渓を登るっつーのは危険だよ。毎年のように何でもないときに、観光地と
言ってもいい白馬の大雪渓で事故が起きてるしな。その危なさも伏線として
描かれてはいるんだけどさ。でもあれだけあっさり登られたら、リアルなのかも
しれないけど、もっと描き方ってモノがあるでしょ。
ハッピーエンドで終わって、映画全体として満足はいったものの、なんかモヤっとした
フラストレーションみたいのが残った。
中盤あたりぐらいまでの説得力がハンパない反動なんだろうけど、リアルに
頼りすぎて映画としてまとめ切れなかった、という感じ。
公開中
静岡ピカデリーZERO
MOVIX清水
藤枝シネ・プレーゴ
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┃R┃■┃来週なに見ようかな
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┃■┃「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「愛のむきだし」「U23D」
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「エヴァ」はなー、俺とは因縁が深いからなー。
今回は静岡はオリオン座だって!アホちゃうか、静活!クソオタク調子に乗せてどうするんだ?
つーか、静活なの?前回は静岡東宝だったけど。
MOVIX清水では「それでも恋するバルセロナ」情熱的な恋愛映画?
「愛のむきだし」はシネギャラリー。一癖ありそうな邦画で、上映時間4時間!話のタネに。
園子温監督はちょっと注目の人だし。
そしていよいよベールを脱ぐピカデリーZEROの3D、「U23D」。
U2のライブを3Dで。DVDに押される映画館、こういう設備投資が実るのか、見もの。
割引料金なしの2000円っつーのはどうかと思うけど。
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┃Z ┃■┃雑記
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┃■┃なーにが映画の街だ、そろそろ返上しろ
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今週は「群青 愛が沈んだ海の色」が公開漏れ。
長澤まさみ主演作が漏れるんだからなー。いや、俺は長澤まさみはどうでもよくて
ミュージカルスター今井清隆を見たいんだけど。
▽編集 RRD ◆3MranranlY
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