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静岡(中部)で上映される映画レビューと静岡ローカルの映画館や試写会の情報など。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/08/07
  • 部数 57部
  • メルマガID 0000227749
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2009/01/29

静岡銀幕週報 85

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>■□□                   
>■■□  静岡銀幕週報    
>□■■      第85号   2009/01/29

                                      
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┏━┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃N┃■┃作品レビュー
┣━╋━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃■┃1位/2009年5作品中 誰も守ってくれない
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
静岡東宝1階で1月24日17:00の回と19:20の回。客入りは20人ほどと10人ほど。
入替なしなので続けて見た。

この入替なしが七間町の映画館街のいいところなんだけど、この東宝会館は
持ち物検査をやるのでイヤなんだよな。危険物チェックじゃないよ、
飲食物の持ち込み検査。
今日なんかはジムの着替えを持っていったんだけど、お前ら、そんなに俺の
パンツを見たいのか?!

そんなことをしても持ち込む奴は持ち込むもので、売店で売ってないような
センベイとかスナック菓子をバリバリボリボリ食う音が響いてたわけだが。
ところが始まってすぐ、この音がピタリとやむわけよ。
このオープニングが美しくてね。とても音なんか立てられない雰囲気。

主題歌がリベラの「あなたがいるから」。このリベラってのは少年合唱団らしい。
PCから読んでる方はこれを再生しながら読んで、読み終わったら最後に
ある予告編を見て欲しい。
http://ru.youtube.com/watch?v=uwDRZMoJtkk

まず、この曲が丸々一曲流れる。
その間、妹が送る楽しい学校生活と、殺人犯である兄を逮捕しに自宅に押しかける警察が、
交互にサイレントで映し出され、そして最後にタイトルが浮かび上がる。
これだけで泣けるよ。
つーか俺も今まで人よりも多く映画を見てきてると思うけど、
泣くまでの最短記録を樹立した。3分もかかってないんじゃないかな。

俺は静岡地裁で裁判傍聴をよくするんだけど、傍聴席で被告人の家族をよく見る。
誰からも注目されていない事件でも、家族は、ああだ。
まして世間の耳目を集める事件だとどうだろう。

突然放り込まれた現実に、まず対応できないだろう。そもそも理解出来ないだろう。
その中でも手続きは進む。
加害者宅に市役所や教育委員会の人が来て、離婚と婚姻の手続きで姓を変更、
就学義務免除、そして引越しのような家宅捜索。
自宅の周りはマスコミと野次馬が取り囲み、電話やインターホンが鳴り続ける。
このあたりのエキストラの使い方とか、現場の熱が伝わってくるようで、
実にいいんだよなあ。

事情聴取は保護も兼ねて家族をバラバラにして。妹役の志田未来を守る刑事が佐藤浩市。
親戚宅もマスコミが先回りしていて、佐藤浩市の部屋に連れ込む。
この時点で志田未来はまだ現実が全然わかってなくて、自宅に置き忘れた携帯を
見られたら死んじゃう、とかのんきなことを言ってる。
なぜ自分だけがこんな目にあうの!と叫んだり。

そして佐藤浩市の主治医の精神科医の家を経て、佐藤浩市の知り合いの西伊豆のペンションへ。
このペンションのオーナーが、実は殺人被害者遺族。子供を佐藤浩市の目の前で殺されてる。
ここまできても志田未来は全然心を開かない。

この2人を追うのがクソ2ちょんねらーどもと新聞記者。
この新聞記者は子供がいじめで不登校、学校がいじめたガキをかばってることに
ムカついていて、税金で加害者遺族を保護することに反発している。加害者家族は
死んで償えとまで言う。

柳葉敏郎演じるペンションのオーナーは、毎年手を合わせに来る佐藤浩市を好意的に
受け入れてるんだけど、でも実際は割り切れていない。そしてこの事件の概要を
知ってブチ切れ。
佐藤浩市は妻娘と別居中。仲直りの旅行の予定が迫ってるのに戻れない。
でも家族の縁は辛うじてつながってる。それを知った家族の絆が壊れた志田未来は、
追いかけてきた彼氏と脱走。
しかしこの彼氏が実は2ちょんねらーの親玉だと判明。
そして物語はクライマックスへ・・・。

つー感じで、ほぼあらすじを書いてみた。
それには理由がある。
2回見て、初めて分かったことが結構あるのよ。
見ながらあらすじを把握する行為は、この映画の理解を妨げる、そう確信した。

とにかくまずな、役者が全員神なんだよ。特に柳葉敏郎。
この人、いつからこんなにいい役者になったの?
佐藤浩市が「この子も事件の被害者なんです」って言うんだけど、このときに
実はブチ切れてるんだ。でも笑顔。この、ぶち切れてるのに笑顔を作ってる、
ってのが、作り笑顔じゃないのに分かるんだよ。これ、すげーよ。
志田未来も、彼氏が信用できない、ってのを薄々感じ始めるんだけど、このあたりの
表情の変化ってなかなかの見もの。ホテルの部屋で別れる直前に、カメラの角度的に
片目だけ映してる、その強さと言ったら!

脚本もよく出来ていて、モントリオール世界映画祭の最優秀脚本賞を受賞したのも
うなずける。
たとえば、佐藤浩市が妻子と別居して離婚しそう、って話。この映画の本筋と
全然関係ないし、妻子は写真に見えるだけで姿は見せない。
一見どうでも良さそうだけど、実はこの流れがこの映画の柱になってる。
タイムリミットを提示することで時間を意識させる効果もあるけど、なにより
一番効いてくるのは、結局佐藤浩市は仕事が終わったら帰っちゃうんだよ、って部分。
志田未来が佐藤浩市に自分との共通点を見出して、べたっと頼りかけたところに
冷や水を浴びせて、結局のところ「誰も守ってくれない」というテーマを貫いてるんだ。

この映画は佐藤浩市が志田未来を守るって内容の映画じゃない。
家族を支えに、強く生き抜け、って内容なんだ。

演出に関しては、ちょっとどうかな、と思う場面が多かった。
どうせ車を走らせるなら、ついでにカーチェイスさせよう、とか、どうせ
ネット社会を描くなら、ついでに叩いちゃおう、とか、そういう余計な色気のせいで
大分損してるよ、この映画。
この色気がまた、いちいち神経を逆なでするしな。

どうして最初の真摯な描写を、最後まで通せないかねえ?
本当にそのことが残念でならない。

予告編はこちらから。
http://ru.youtube.com/watch?v=QYmtyORm238


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┃M┃■┃もう一つ作品レビュー
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┃■┃2位/2009年6作品中 チェ39歳 別れの手紙
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静岡ミラノ1で1月27日19:00からの試写会。本編終わったらすげーことになった。
240席ほぼ満席の客の8割が一斉に席を立ったもんね。
試写会でタダだからって気軽に応募しやがって、タダタダって喜んで見に来たら、
小汚いおっさんが、なんだか分からない戦いに連戦連敗してグダグダになっていく、
それを2時間20分見せつけられるんだから。さぞかし苦痛だっただろう。

「チェ 28歳の革命」(http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090110/p2)に引き続いて、
なんの説明もないからね。
ゲバラとボリビア共産党が決裂するまであっという間。ゲバラがなにを目指して
戦ってるのか分からない、って公開後にまた非難ごうごうなんだろうな・・・。
下手すりゃ、ゲバラってどこに出てきたの?とか言われかねない。

予告編はこちら。
http://ru.youtube.com/watch?v=NBBW2WPoZAo

延々と描かれているのは、グダグダのゲバラ。
「28歳の革命」のことをブログに書いたときに、コメント欄で
「存在を賭けた 愛 = 革命 と表現されている」
(http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090110/p2#c)
という指摘を受けた。
その愛がボリビアではまったく伝わらなかった。キューバ革命の時だって
上陸した直後にボロ負けしてたけど、根本的な違いがそこ。
民衆に求められていないゲリラは無力。
ゲバラには信念があったけど、ゲバラ以外は無目的集団と化してたんじゃないかと
いう雰囲気丸出し。

このグダグダっぷりは、ユダに売られた後のイエスのグダグダぶりに
似てるんじゃないかな。
「ゲバラー、後ろ後ろ」って突っ込みたくなるような場面があったりして、
最後は処刑されちゃう。
その姿は、グダグダでゴルゴダに磔になったイエスの姿を彷彿とするものがあった。

とはいえ、聖書のような演出があるわけでもなく、ゲバラ最期の言葉として知られる
「お前の目の前にいるのは英雄でもなんでもない、ただの男だ、撃て!!」
という芝居ががった演出もなく、淡々とリアルに徹しきる。実に素晴らしい。

あげく、エンドロール無音だからね。
残った客は無音のエンドロールをまんじりともせずに見てた。
50-60人残った客も、多くは「エンドロール終わるまで席を立っちゃいけません」と
シネギャラリーにしつけられた客か、暗くて危ないから明るくなるまで待ってた
客なんだろうけど、俺は無音のエンドロールをにらみながら、輝けるゲバラと、
グダグダのゲバラを対比させていたんだ。
輝いている人なんてのは実はいなくて、その人を求めてくれる周りの人たちが
輝かせているのかな、とか思いながら。

リアルに徹した中で、唯一意図的に匂わせていたのは「旅の終り」という雰囲気。
旅の始まりでもある「モーターサイクル・ダイアリーズ」から3本通しで
(出来ればオールナイトで)上映してくれる劇場、どっかでてこないかな?

1月31日公開
静岡ミラノ1
MOVIX清水

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┃R┃■┃来週なに見ようかな
┣━╋━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃■┃「マンマ・ミーア!」「20世紀少年 <第2章>」

「ラースと、その彼女」「リダクテッド 真実の価値」

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一日早く金曜日に「マンマ・ミーア!」
ABBAだよ、ミュージカルだよ、俺世代、ジャストミート。
未見なんだけど劇団四季でもロングランになってる。正直そんなストーリーでは
なさそうなんだけど。世代として付き合おう。
土曜日は「チェ39歳 別れの手紙」の他に、つーか世間的には「20世紀少年」なんだろう。
前作がちょっとアレ(http://d.hatena.ne.jp/RRD/20080826/p1)なんで期待はしない。
これも世代としての付き合いだ。
シネギャラリーは入替週。
「ラースと、その彼女」は「僕の彼女はサイボーグ」って映画があったけど、これは
僕の彼女はダッチワイフ、という話。でも周りが温かく受け入れてくれる。
設定のせいもあって割と話題になってる作品。
「リダクテッド 真実の価値」はイラク戦争での米兵少女レイプ事件。
戦争残虐ドキュメンタリー。

今週は公開作品数が少ないけど、全部見たいと思ったのは初めてだ。

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┃Z ┃■┃雑記
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┃■┃藤枝シネ・プレーゴ正式発表
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静岡新聞より。

「四階は七つのスクリーンで九百席を擁するシネマコンプレックス
「藤枝シネ・プレーゴ」(一階席と二階席あり)が入る」

なーんかヘンな文章だな、おい。
なんにしても富士シネ・プレーゴよりは少し大きいようで、なにより。
あとは独自路線の番組編成に期待。

▽発行 RRD ◆3MranranlY
▽ブログ http://d.hatena.ne.jp/RRD/
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