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2008/07/29

映画情報・批評 黒獅子の眼 vol.14

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  黒獅子の眼  ☆vol.14★
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不定期で発行しております。「黒獅子の眼」です。
『崖の上のポニョ』、話題になってますね。
わたしもレビューしたので、下記から読んでみてください。

□公開中映画 『崖の上のポニョ』
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表向きは、宮崎駿監督が以前制作した、『パンダコパンダ 雨ふりサーカス
の巻』のような、子供が単純に楽しめるエンターテイメントのようだが、実際
はそういったものに加え、『千と千尋の神隠し』に近い、寓話性と謎に満ち
溢れた作品になっている。
とくに脚本は、後半の展開が非常に特殊であり、観客にカタルシスを与える
ことに迷いがあるように受け取れる。
だが、それで良いと思う。

宮崎駿の映画監督デビュー作となった『ルパン三世 カリオストロの城』は、
ハワード・ホークス的でクラシカルな作りではあったが、それ故に強度のあ
る傑作である。
だが、多分本人としてはまだ、尊敬するレフ・アタマーノフやポール・グリモー
のような域には達してないと思ったのだろう、それ以降の作品には、いか
にもな「勧善懲悪」を回避し、作品に複雑な要素を添加してゆくことになる。
セルゲイ・エイゼンシュテインのような構図の理論と、天性の躁状態。
これに高畑勲や近藤喜文のような、周囲の貴重な存在のおかげがあって、
その作品群は、国内ではほとんど敵無しといえるようなクォリティを維持して
きたといえるが、「複雑なエンターテイメント」をつくるという、この実験はなか
なか難しく、『千と千尋の神隠し』という、世界のアニメーション界のエポック・
メイキングを撮るまでは、成功作は『となりのトトロ』しかなかったと、私は思う。

このように自分自身を変革してきた経験を持つ巨匠に、いまさら「ルパン三
世」のようなクラシカルなメソッドのものを求めることは間違いだ。
もはや宮崎駿の映画は、アンドレイ・タルコフスキーやテオ・アンゲロプロス
の円熟期の作品を観るような姿勢で臨むべきだと思うし、逆にそうしなけれ
ば多くの部分を楽しむことはできない。
『崖の上のポニョ』においても、「小船に乗るおかあさんと赤ちゃん」に出会っ
たり、「不気味な謎トンネルをくぐったりする」シーンといった、恣意的な寓話
性は非常に興味深く、その理解し難いいくつかのエピソードは、よくあるエン
ターテイメントを求める観客には不満を与えていると思われる。

続きを読む
⇒http://k.onodera.blog.ag/index.php/k.onodera/00000000000000009444


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映画トリビア(無駄知識)
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「映画批評 k.onoderaの日記」
http://k.onodera.blog.ag/
の、左上タイトル画像(映写機写真)をご存知でしょうか。
じつはこの映写機、今は無き仙台東宝劇場にて、実際に使われていたものなのです。

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□公開中映画 『ハプニング』
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異常な言動、体が硬直する。
後ろ向きに歩き出す。
自殺。
これが、『ハプニング』で描かれる、人間に起こる脅威だ。
原因が分からないが、この症状が、爆発的に人々に媒介してゆく。

面白いのは、この一連の描写には、特殊撮影が不要なことである。
ただ、演技者がその行為を機械的に演じさえすれば良い。
こういったシーンに見られる原初的な映画体験というのは、むしろ大掛かりな
作品でこそ面白さが引き立つ。
やってることは低級なパフォーミング・アートと変わらないところが、むしろ刺激
的だといえる。

ともすれば学生映画のチープさすら漂うそれ、片田舎の草原でのロケ、そして
地味すぎる展開は、『シックス・センス』に代表される、「華麗などんでん返し」
を期待するような観客には不満を与えるに違いない。
その意味では、前作に引き続き、M.ナイト・シャマランへの訴求力が落ちてい
くのはしょうがないのかもしれない。
まあ、それはそれで監督や一部の観客にとっては、逆にいい方に作用すれ
ばいいのだけれども。

「意外なラスト」への期待を監督自身が煽っているのは確かだし、そういった
楽しみ方があるのも事実だが、それのみを観たいのだとすれば、べつにシャ
マラン監督作である必然性はない。「どんでん返し」を標榜する凡百の作品で
もいいし、小説でもこと足りる。
とはいえ、私にとってみれば、シャマラン監督作品は、ほぼ例外なく「意外な
ラスト」であったのだが。

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⇒http://k.onodera.blog.ag/index.php/k.onodera/00000000000000009531

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□公開中映画 『カンフー・パンダ』
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脂肪過多なパンダがカンフーで闘う。
もうすぐ開催される北京オリンピックに合わせて、中国を舞台にした、ドリーム
ワークス制作のフルCGアニメーション。アメリカでも好調だったし、中国でも大
ヒットしているようだ。

監督の一人であるマーク・オズボーンは、かなり中国文化に造詣が深いそう
で、建築・家具等の美術、カンフーや食文化など考証などが非常に良くできて
いて、よくある底の浅い、ハリウッドのオリエンタリズム映画とは一線を画する。

CGアニメーション技術は日進月歩で、キャラクターのフサフサ感、実在感など
は、ピクサーの『モンスターズ・インク』の頃とは、もうすでに比べ物にならず、
これに加えて陰影の精妙さ、カメラワーク技術などのレベルアップも目覚まし
い。
精妙なフルCG作品というのは、ことに昨今は画面の情報量が多くなりすぎる
傾向にあるかもしれない。
情報を足していって足していって、スペクタクルシーンでもないのに圧倒され
てしまうほどになってしまうのはいただけない。
ここでは、たとえばアメリカのアニメ史が誇るワーナーの「ルーニー・テューン
ズ」などの持つ、優れたデザイン性などは排除されてしまう。
そのあたり、この映画の冒頭である幻想シーン、2Dと3Dが融合する、デザ
イン性にも優れたスタイルが非常に成功していて、このビジュアルで全編撮
って欲しいと思うほどクールだった。
これからのアニメーション表現は、こういうかたちがスタンダードになるんじゃ
ないだろうか。

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http://k.onodera.blog.ag/index.php/k.onodera/00000000000000009597


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