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プロの映画ライター渡まち子が、本音で語る新作映画レビュー。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しんでください。基本的に、ネタバレなしでヒントあり。すべての映画好きを歓迎します\(^0^)/

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2009/11/06

★映画通信シネマッシモ Vol.127「スペル」

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 映画通信シネマッシモ http://cinemassimo.livedoor.biz/

 プロの映画ライター渡まち子が、本音で語る新作映画レビュー。
 映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しんでください。
 ネタバレなしのヒントあり。すべての映画好きを歓迎します\(^0^)/

         ☆~~~ 発行者のひとこと ~~~☆
 久しぶりのメルマガです!10月は休刊しましたが、今月からは予定通り
 配信します。復活第一弾は気合を入れるべく、迷わずホラーをチョイス。
 サム・ライミが久々に放ったホラー映画は、怖くて楽しい拾い物ですゾ!

                等幅フォントでお読みください。
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2009/11/06  Vol.127「スペル」

◆プチレビュー◆
不気味な老婆に呪いをかけられたヒロインの壮絶な運命に絶句。怖くて笑える
お得な1本だ。 【70点】

 銀行のローンデスクで働くクリスティンは、仕事ができることを上司にアピ
ールするため、顧客の老婆のローン延長願いをきっぱりと断った。ジプシー風
のその老婆は逆恨みし、クリスティンに不気味な言葉で呪いをかける…。

 呪い。この言葉からは、いまさら感とやっぱり感の二つが同時に漂ってくる。
ホラー映画の古典的アイテム“呪い”をモチーフに、問答無用の恐怖を活写す
るのが本作「スペル」だ。監督のサム・ライミは、今では大ヒット作「スパイ
ダーマン」で知られるが、彼の原点は「死霊のはらわた」。泣く子も黙るホラ
ーの巨匠が、長年あたためた企画をついに映画化しただけあって、格が違う。

 そもそも呪いをかけられるヒロインにはほとんど非はない。薄汚い老婆はロ
ーンの延長願いも3回目で、銀行側がそれを断るのは正当なものなのだ。返済
のあてもないのに、ひざまずいて懇願するのも芝居がかっている。案の定、願
いを断られると「自分に恥をかかせた」と態度を豹変。いわゆる逆ギレだ。し
かし老婆に理屈は通用しない。ここから物語はがぜん活気づく。

 まずは呪いをかけるところから。夜の駐車場で待ち伏せした老婆と、クリス
ティンが格闘するシーンだが、まるでアクション映画並みの激しさで驚かせる。
見かけによらず体力がある老婆が入れ歯を吹き飛ばして闘えば、若いクリステ
ィンはホチキスなどの地味な文房具で懸命に応戦。怖さを通り越して笑いが出
る。ありえない、というより、あってはならない強烈な老婆の気合は、呪いを
かけなくても十分に怖い。だが、謎の呪縛は確かにかけられた。

 その呪いは3日間続いた後に、ターゲットの魂もろとも地獄へ連れ去るとい
うすさまじいものだ。おどろおどろしい幻覚と不気味な幻聴が炸裂する。たま
らず謝りに行けば老婆は既に死んでいたという想定外の状況も、ショッキング
だ。すがる思いで教えを請うた占い師に、強力な呪いがかかっていると告げら
れ、必死でそれを解こうとするが、タイムリミットは刻々と迫る。本当の敵は
老婆ではなく、人食い鬼に変身する女神ラミアなのだが、老婆に扮するローナ
・レイヴァーのキレッぷりの前では、ギリシャの女神も影が薄い。

 元来、ホラー映画というのは、いい意味での悪趣味が必要不可欠というのが
私の持論だ。本作は、この条件を見事に満たしている。目が飛び出し、口に物
差しが突き刺さるなど、笑いを喚起するショック場面のつるべ打ちで、ファン
キーなムードを醸しだすかと思えば、古びた屋敷での悪魔祓いや深夜の墓地で
の格闘と、クラシックな仕掛けも忘れない。追いつめられながらもけなげに闘
うヒロインの心理も丁寧だ。単純な血しぶきに頼らない、創意工夫に満ちた恐
怖描写は、ホラーの名手の真骨頂である。何よりも、小さな不親切を発端に、
破壊の限りを尽くす呪いのパワーが圧巻だ。そして迎えるクライマックス、前
半にさりげなく登場する、ある小道具を使うそのオチは、ホラーの収まりどこ
ろを心得ていて、思わず「上手い!」と膝を打つ。ラミアの魔力と老婆の執念
を見せつけるラストは、華麗なるフィナーレ。さすがはサム・ライミと唸った。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)執拗度:★★★★★

□2009年 アメリカ映画 原題「DRAG ME TO HELL」
□監督:サム・ライミ
□出演:アリソン・ローマン、ジャスティン・ロング、アドリアナ・バラーザ、他

*~* 最後までお読み頂き、有難うございます m(_ _)m 良い一日を! *~*

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     編集・発行:映画ライター・渡まち子 machiko watari
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