2009/12/16
サステナブルCSRレター 2009/12/16(No.071)
■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□ サステナブルCSRレター 2009/12/16 (No.071) <ほぼ新月とほぼ満月に発行> ■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■□ 《巻頭言》「企業と生物多様性(11) 生物多様性オフセット」 こんにちは、レスポンスアビリティ(RAI)の足立直樹です。新月の今日、 旬のCSR情報をお届けします。 前回のメルマガはジャカルタで開催された「生物多様性条約 第3回ビ ジネス会議」への出席中に発行しましたが、今回はそのときにも話題に なった「生物多様性オフセット」という手法についてご紹介したいと思 います。というのも、この手法は日本以外のほとんどの先進国で既に採 用されているのにも関わらず、日本では導入どころか、誤解されている 部分が多いからです。 おそらく気候変動防止のためのカーボンオフセットのアナロジーで考 えてしまうのでしょうが、「生物多様性オフセット」というと日本では すぐに「貴重な生物多様性を保全せずに金で解決しようとするのか!?」、 「生物多様性はそれぞれの地域に固有のもので交換不可能だ、オフセッ トなんてナンセンス」というような反応が返ってきます。ご意見はごも っともなのですが、こうした反応は明らかに生物多様性オフセットの考 え方に対する誤解に基づくものです。というのも、生物多様性オフセッ ト(代償)は、開発等による生物多様性への影響を緩和するために、ま ず1)開発を回避し、2)影響を最小化し、3)その影響を修復し、そ れでも残ってしまう影響について適用する手法だからです。そしてその 結果、開発する前とほぼ同じような質と量(面積)の生物多様性が保全 されることになるのです。 つまり、生物多様性オフセットは開発ありきの安易な手法ではなく、 あくまで最後の最後の手段であり、しかもその結果、ほぼ同質・同面積 の保全を保障するものなのです。したがって、「生物多様性オフセット は開発の免罪符なのでは?」という疑問も間違いであることがわかるで しょう。 日本以外の多くの先進国では、名称は国ごとに異なりますが、生物多 様性オフセットを行うことが法律で義務づけられているために、開発が 行われても、生物多様性は保全されるのです。逆に、この制度のない日 本では、開発が行われると、たとえ影響は「最小限」に抑えられたとし ても、結局は生物多様性や生息地の一部が失われてしまいます。 さらに一部の国や地域では、開発を行う事業者以外が予め保全した場 所を購入し、自分たちでオフセットを行なったこととする生物多様性バ ンキングという手法も導入されています。これが「生物多様性をお金で 買うのか」という反発につながっているのだと思いますが、これはむし ろ保全活動を推進する経済的メカニズムとして注目されています。 また、生物多様性は交換不可能という批判はその通りで、厳密にはま ったく同質の生物多様性を保全することはできません。しかし、保全の 効果を定量化する手法を開発したり、また必要な面積の数倍の面積をオ フセットのために保全するなどして、なるべく同質の生物多様性が保全 されるような努力もなされています。前述のようにオフセットが行われ ない場合には結局生息地の面積は減少し生物多様性は減少してしまいま すが、オフセットを行うことで面積は同等以上に維持され、生物多様性 もほぼ保全することが可能になるのです。 さらには、生物多様性オフセットが同様のレベルで行われていること を担保するための原則や認証基準を研究する国際的なグループもあり、 国際的には生物多様性オフセットという仕組みは今後ますます広がって いくように思えます。 また今回の会議で驚いたのは、生物多様性オフセットでは通常ノーネ ットロス(No Net Loss)、つまり開発の前後で生物多様性への影響が差 引ゼロになることを目指すのですが、それをさらに一歩進めて、ネット ポジティブインパクト(Net Positive Impact)、つまり開発した後の方 が生物多様性がより保全されている状態(!)を目指すべきだという大 胆な提言がなされ、そのことが今回の会議の成果として策定された「ジ ャカルタ憲章」にも盛り込まれたのです。 このように、生物多様性オフセットは少なくとも先進国ではもはや常 識と言ってもよいほどまでに普及しており、今後それ以外の地域にも広 がっていきそうです。日本ではまだほとんど知られていない手法ですが、 もう少し注目し、できれば導入の是非についてすぐにでも議論を始めた 方が良さそうです。 ※世界各地の生物多様性オフセットの仕組みを紹介し、日本への導入の 可能性について議論する国際シンポジウムが新年1月18日に開催されます。 詳しくは今号の《注目のセミナー》をご覧ください。 サステナビリティ・プランナー 足立直樹 《お詫びと訂正》 前回の巻頭言に関して、ABSについて、法的拘束力を持つ国際体制の必要 性についてのみ議論されているような印象を与えるとのご指摘をいただ きました。具体的な中味についての議論も進んでいますので、表現の至 らなかった点をお詫びして訂正いたします。なお、議論の経緯など詳細 についてご興味のある方は、バイオインダストリー協会の以下のサイト をご参照ください。 http://www.mabs.jp/archives/cbd/history_chart.html ※《CSR TOPICS》でもブログの関連記事を紹介しています。 ================================ □□□ 今号の目次 □□□ 《巻頭言》「企業と生物多様性(11) 生物多様性オフセット」 《CSR TOPICS》 《注目のセミナー》 ▼生態適応シンポジウム2010 「生物多様性オフセットと生態適応」 ▼連続セミナー「人々の生物多様性」 第5回:映像で見るメコン~生物多様性と人びとのくらし、開発 《季節の暦・月の暦》 《読者のこえ》 《編集後記》 =============================== ○《CSR TOPICS》―――――――――――――――――――――――● 足立直樹のブログ「サステナ・ラボ」からオススメ記事をご紹介します ▼エコプロで見つけた、こんなもの 先週後半はエコプロにいらっしゃったという方も多いかもしれませんね。 僕は金、土と出かけたのですが、特に金曜日は雨にも関わらず、ものす ごい人混みでビックリしました。着実に「エコ」への関心が高まってい るのを感じます。 ※続きはこちらから... ↓ http://suslab.seesaa.net/article/135649370.html ▼キャップなしに削減させる方法」 どのような結論になるかまだまだ予断を許しませんが、コペンハーゲン ではCOP15の熱い議論が続いてます。この会議の結果が地球の未来を決め ると言っても過言ではありませんから、さらに注意深く見守りたいと思 います。 ※続きはこちらから... ↓ http://suslab.seesaa.net/article/135555255.html ▼頼りの情報源 皆さんは日頃どんなメディアから情報を仕入れていらっしゃいますか? もちろん新聞、テレビ、雑誌という方が今だ多いと思います。インター ネットからという方も増えていらっしゃるとは思いますが、それでも、 新聞やテレビなど、既存の大メディアのネット版でニュースなどを読ん でいる方がまだ大部分なのではないかと思います。僕にとっては最近、 ツイッターが非常に重要な情報源になってきました。 ※続きはこちらから... ↓ http://suslab.seesaa.net/article/135276390.html ○《注目のセミナー》―――――――――――――――――――――● サステナビリティやCSRに関する注目のセミナーなどをご紹介します。 ▼連続セミナー「人々の生物多様性」 第5回:映像で見るメコン~生物多様性と人びとのくらし、開発 この連続セミナーでは、とりわけ発展途上国の農漁村、山村部における 人々と生物多様性、そして開発の現状をとりあげます。第5回は、映像を 通して東南アジアの大河メコン流域の暮らしと自然のつながり、そして 「開発」を考えてみます。 ◆日時:2010年1月12日(火)18:00~20:30 ◆場所:地球環境パートナーシップ・オフィス(EPO) 最寄り駅:地下鉄表参道駅出口B2(銀座線、半蔵門線、千代田線)から 徒歩5分。渋谷駅から徒歩10分。 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F ◆参加費:各回1,000円(主催団体・協力団体の会員は無料) ◆主催:FoE Japan、地球・人間環境フォーラム、メコン・ウォッチ →申込みはこちら http://www.gef.or.jp/form/index.htm ▼生態適応シンポジウム2010 「生物多様性オフセットと生態適応」 近年、生物多様性喪失に対する経済的手法の1つとして、開発に伴う生 息地破壊を代償するための仕組みである「生物多様性オフセット」が議 論され、海外ではすでに40カ国で制度化されています。一方、日本の環 境アセスメント制度やその他の野生生物種保全制度では失われたハビタ ット(生息地)に対する代償が義務づけられていないため、自然の消失 が続いているといわれています。今回は日本においてはなかなか討議さ れる場の少ない生物多様性オフセットについて理解を深め、有効な保全 対策を考える契機として国際シンポジウムを開催いたします。 パネルディスカッションに、RAI代表の足立もファシリテータとして、登 壇いたします。 ◆日時:2010年1月18日(月)9:30~17:30 ◆場所:国際連合大学ウタント国際会議場 東京都渋谷区神宮前5‐53‐70 ◆参加費:無料(要事前登録) ◆主催:東北大学生態適応グローバルCOE「環境機関コンソーシアム」 →登録申込みはこちら http://gema.biology.tohoku.ac.jp ○《季節の暦・月の暦》――――――――――――――――――――● ●新月(朔) ●12月16日(水) 21時頃 ●冬至(とうじ)●12月22日(火) 二十四節気のひとつ。北半球では太陽の南中高度が最も低く、一年の間 で昼が最も短く夜が最も長くなります。『暦便覧』では「日南の限りを 行て、日の短きの至りなれば也」と説明しています。この日を境に日は 長くなりますが、寒さはこの頃からいっそう厳しくなります。ゆず湯に 入って体を温め、長期保存ができ、栄養のあるカボチャを食べる習慣が あります。 ○《読者のこえ》―――――――――――――――――――――――● 読者の皆様からのお便りをご紹介いたします。今回ご紹介するのは、 No.70に対するSさんからのご感想です。Sさん、ご感想ありがとうござい ます。 連日、デンマークのCOP15の様子が報道されています。来年名古屋開催の COP10に向け欧州勢がかなり高い目標を掲げているとのジャカルタ報告を 大変興味深く拝読いたしました。今後、日本の企業がどのように生物多 様性の保全に取り組んでいくのか、非常に関心があります。これからも 熱い各国の状況をリアルタイムでご提供いただけると期待しております。 また、サスラボの「あと少しの命です」に、つい賞味期限切れ間近のも のを避けていたことを反省した次第です。今年も残り少なくなってまい りましたが、来年が正念場だと痛感する今日この頃です。 ※句点、改行位置を一部変更してあります。 ※バックナンバーは、以下のURLからご覧いただけます。 http://archive.mag2.com/0000226055/index.html ○《編集後記》――――――――――――――――――――――――● エコプロダクツ展に行ってきました。たくさんの展示、人、展示、人、 人、に目が回りました! いちばん印象的だったのは、区立中学校の一 年生がステージで発表した「仮想環境ベンチャー壁新聞」です。「星の 見えるまちにするにはどうしたらよいか」など、中学生の皆さんが環境 大臣になりきって政策を考える成果発表で、楽しそうに発表する様子に、 こちらもにっこりしてしまいました。(野) ※このコーナーはレスポンスアビリティのスタッフが交代で書いていま す。 ○――――――――――――――――――――――――――――――● 今回のメルマガはいかがでしたでしょうか。よろしければご感想をお聞 かせください。いいただいたご感想は個人名は伏せて「読者のこえ」 コーナーでご紹介させていただくことがございます。 ※お正月をはさみますので、次回のメルマガ72号は、1月15日(金)発行 予定です。 発行: 株式会社レスポンスアビリティ(http://www.responseability.jp) 〒141-0021 東京都品川区上大崎1-1-4 ミルーム白金台402 メルマガ担当:mm@responseability.jp ※バックナンバーの参照、他のアドレスからの登録は、以下のページ からどうぞ。お知り合いにご紹介いただくときにも、ご利用下さい。 http://www.mag2.com/m/0000226055.html ※転送歓迎です。複製・転載時には事前にご連絡ください。 Copyright(c)2007-2009 Response Ability, Inc. 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