2008/10/17
ここは地の果てアルジェリア【第78号】
┌──────────┓ │ 第78号 2008.10.17│ ┏──────────────────────────┴──┬───────┤ │ ここは地の果てアルジェリア 技術移転奮闘記 │ 永尾 良一 │ ┗─────────────────────────────┴───────┛ │ │ ☆私こと普通の日本人が、スイスの企業に雇われ外人部隊となって │ アルジェリアの工場建設現場に行き、現地の生徒を一から教育する │ ノンフィクション物語です。 │ │ ☆上司も同僚も外国人、生徒はもちろんアルジェリア人、 │ 日本人は私たった一人でした。 │ │ ☆スペインの飛び地、メリリヤに旅行に行く。 │ ここでは回教の国では手に入れるのが難しい、豚製品も堪能できる。 │ ┗─────────────────────────────────… *:...:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:* ┏───────┓ │ 最後の授業 │ ┗───────┛…………………………………………………………………… 最盛期には30数クラスあったが、ほとんどの生徒は卒業し、 残るは運転員の2クラスだけとなった。 1時期40人もいた教師は10人に満たないほどに減り、 実際に授業を行う講師は2、3人、他は残務整理である。 運転員のクラスを担当できるのは、私を含め3人である。 その頃にはもうムッシュー・ガリッグもいない。 最後のクラスは私にとっていちばん疲れる、そして最も癖のある生徒の集まるクラスであった。 私を馬鹿野郎呼ばわりして、辞めていった生徒のクラスでもある。 自習時間になると決まってコーランを大声で読む生徒もここにいた。 こうした宗教的行動には絶対口を挟まないことにしているが、生徒同士の口論が絶えなかった。 ある自習時間その生徒がコーランを吟じていると、例の馬鹿野郎発言で退学となる生徒が、 彼に食ってかかった。 「てめえ、毎日毎日、おんなじ事ばかり叫びやがってうるせえぞ!いい加減にしやがれ」 といった調子である。 もう1人も負けてはいない。その日は口論で1時間が終わり。 やはり疲れて帰った。 同じクラスの別の生徒がメロディー付きの時計を持ち、いつもピロピロポロリンと私を悩ました。 しまいにはその音を聞く度に、彼の首を絞めに行ったが、それが嬉しいらしく頻繁に鳴らすので、 首を締めることもやめた。 そんなクラスであったが1人抜け、2人抜けして雰囲気はかなり落ちついていた。 そんな4月のある日、最後の総まとめとテストを行った。 授業は淡々と進み、テストもいつものように終わった。 皆に別れの挨拶をして、「セ、ビヤン!」と私は言い、教室を後にしようとした。 直訳では『それは良い』だが、 ここでの言葉は「よっしゃ、てめえらよくやったな」と言う感じである。 カンニングを見つけたときに発していた決まり文句で、この言葉と共に2点減点をしていた。 すると教室の中から、大きな拍手が沸き起こった。 これで終わった、満足感と共に寂しくもあった。 開放感もあったが、やりがいのある仕事だったように思う。 アルジェリアにやってきた約50名の講師の中で最後まで残り、 最後のクラスに授業をしたのは疲れもしたが、嬉しくもあった。 同僚達との競争で、あたかも最後の勝利を得たような気がした。 私が最後のクラスをまかされたとき、正直言っておおいに不満であった。 「何で俺がいちばん疲れる役回りだ」 と不満を漏らしたことがある。 そのとき、客の要望だから仕方ないという返事だった。 事実、7、8人いた運転員クラス担当講師は、大半が帰国していた。 *:...:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:*:..:*:..:*:...:*:..:* ─《★編集後記★》────────────────────────── 学校であれば卒業があるように、研修所には修了がやがて訪れる。 修了とともに生徒たちは去っていくが、講師たちもまた去っていく。 これは避けられない運命なのだがわずか1年足らずでそれが来たのは少しショックでもあった。 そしてほどなく私もここを去る運命であった。 …………………………………………………………………………………………… 最後までお読みくださりありがとうございます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集・発行 永尾良一 ここは地の果てアルジェリアweb → http://www.yoonnet.com/algeria/ 発行部数:133 └┬まぐまぐ:99 └メルマ :34 ☆本メールに直接返信するかたちでのお問い合わせはご遠慮ください。 ★メールマガジンへのご意見、ご感想はこちらへ → rnagao@mac.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright (c) 2008 Ryoichi Nagao All rights reserved.


