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私こと普通の日本人が、スイスの企業に雇われ外人部隊となってアルジェリアの工場建設現場に行き、現地の生徒を一から教育するノンフィクション物語です。上司も同僚も外国人、生徒はもちろんアルジェリア人、日本人は私たった一人でした。

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2008/03/20

ここは地の果てアルジェリア【第52号】

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                             ┌──────────┓
                             │ 第52号 2008.03.20  │
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│    ここは地の果てアルジェリア  技術移転奮闘記    │   永尾良一   │
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│ ☆私こと普通の日本人が、スイスの企業に雇われ外人部隊となって
│  アルジェリアの工場建設現場に行き、現地の生徒を一から教育する
│  ノンフィクション物語です。

│ ☆上司も同僚も外国人、生徒はもちろんアルジェリア人、
│  日本人は私たった一人でした。
│ 
│ ☆石油化学プラントの建設には監督やアドバイザーが主体の契約
│  (FOB+スーパーバイザー契約)と、ターンキー契約といわれる
│  プロジェクト全てに渡るものもある。
│  
┗─────────────────────────────────…
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│ 石油化学工場の試運転2 │
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 基礎工事から始まって大型機器の据付、何十トンからの機器が見たこともな
いような大型のクレーンで引っ張り上げられ、据え付けられる様は圧巻である。

一方、埋設配管、空中配管、電気機器やケーブル、計装配管敷設等の配管工事
電気・通信工事、保温工事、塗装工事はそれに比べ地味で、延々と続くが、
これが終わりに近づいてきた頃、試運転部隊が赴任する。

私も以前この部隊にいたが、いってみれば建設部隊は車のメカニックチームで
試運転チームはドライバーのようなものである。実は現地に乗り込む数ヶ月前
から、日本では試運転に向け準備が始まっている。

工場の仕様、性能から始まって、原料、製品、副製品の製造量と品質、その他
使用する副原料、電気、水、熱源、冷熱源、空気、窒素等の用役(ユーティリ
ティーと呼ばれる)工場稼働に欠かせないエネルギー類、それらを生産する
ユーティリティプラント、パワープラントの試運転までが含まれる。それらを
調べ、頭にたたき込む。

何カ月ものトレーニングと打ち合わせ、講習があり、プロセスと呼ばれるプラ
ントの行程、どの機器でどんな反応や分解、分離精製蒸発、凝縮が起こってい
るかを知るのはまだほんの入り口でしかない。

こうした分野は、化学工学、あるいはプロセスエンジニアリングと呼ばれ、化
学の知識が不可欠なため化学専攻者が多い。しかしことはそこにとどまらず、
あらゆる機械の運転やその特性を理解し、機械工学、電気、計装、制御のこと
も相当な知識と現場でそれらを応用できるようになる必要がある。

また試運転は特に手順が大事であり、計画段階から綿密なスケジュールを立て
ておかないと必要なときに必要な人材、道具、材料が揃わないと大きなロスが
でて、時にはそれが工期に間に合わないといった、深刻な事態を引き起こす。

工期が遅れるとどうなるか。ごめんなさいで済むことはまずありえない。違約
金の支払い、工期延長による滞在の延長とコストの増加、代金支払いがそれに
伴い延期されやがて大赤字となって跳ね返ってくる。

話を元に戻そう。工場試運転では、水と電気が大事である。家の引っ越しの時
もそうだが、工場に供給する電気の大型発電所を起動するとなると、スイッチ
入れて終わりではない。

発電機のタービンを回すためには蒸気が必要で、蒸気を造るために純水が要
る。純水を造るために、熱源となる蒸気や電気が必要で、そうなると堂々巡り
だが、そのために仮設の純水プラントを設置して少しずつ純水を造っていく。
その純水がボイラー供給水となって高温高圧の蒸気に変わり、発電機のタービ
ンを回す。

補機と呼ばれる発電機周りのポンプやタンク、フィルタ、その他諸々の機器を
運転するための電気は、ディーゼル発電機を使う。

そうやってボイラー工場を起動し、発電所を軌道に乗せると、ようやく仮設で
はない、本来の純水プラントが稼働する。

その頃には空気を分離して、液体酸素や窒素工場も動き出して役者は揃ってく
る。据え付けられた機械を1台1台テスト運転しながら、運転条件をセットし
ていく。

インターロックといって、安全のためモーターやポンプ、タービンが過負荷で
焼き付いたり壊れたりする前に、機器を停止する装置がある。機器やシステム
によっては、その条件が複雑で、すべて揃わないと機械が動かなかったり、逆
に動いている機器が止まったりと、そのダイヤグラムといわれる仕組みの解読
も厄介である。

たとえばタービンが動くためには、蒸気がないと動かない。その弁を開くため
には潤滑油システムが動いてないと作動しないし、計装システム、その他補機
類が動いていないといけないといった手順があって、それをシーケンスと呼ん
でいる。

大型の機器になると、そうした条件が重なり、理解していないとなぜ動かない
のか、なぜ止まったかがちんぷんかんぷんである。配管は図面で何度も見て、
何十ページにもわたる数100本〜数1000本の配管の種類と大きさ、役割
を憶えたつもりであるが、現場でそれを1本1本確認し、つながりの機器の位
置、配管上の弁の位置と種類、計装機器の種類や位置、役割を頭に入れる。

単に圧力計一つをとってもそこにはいろんな意味がある。蒸留塔においては製
品の品質に直接関わるし、分解炉のガスバーナーのガス圧では分解温度に即響
いてくる。

ポンプの吐出圧が狂うと流量が変わり、運転条件が違ってくる。蒸気は圧力と
温度が密接な関係にあり、微妙な圧力制御は欠かせない。

なぜそうした綿密なチェックが必要なのか。答は簡単、それを把握しないと運
転や起動、停止ができないからである。

工場の中で起こる反応とその条件は厳密に守る必要がある。そうでなければ品
質の合致する製品はいつまでたっても製造できず、原料は毎日数億円の単位で
大気に焼失していってしまう。

フレアースタックと呼ばれる高い鉄塔で赤々と燃える炎は一見勿体ないように
思えるが、そこで焼失するガスを回収するのは不可能に近い。


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─《★編集後記★》──────────────────────────
試運転は「動」運転は「静」と言っても良いでしょう。

試運転期間中は毎日アラームが鳴り響き今度は水が止まった、今度は停電だと
3日に一度は右往左往するのですが、日本の石油化学プラントではあり得るは
ずもなく、年に一度の工場たちあげは多少のざわつきの中で行われ静寂の中に
吸い込まれていきます。
それが僅か数時間の中で終わるのです。

そうした工場に勤めていた友人はそれが堪えられなく辞めていったようです。
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最後までお読みくださりありがとうございます。
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編集・発行 永尾良一
ここは地の果てアルジェリアweb → http://www.yoonnet.com/algeria/

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