2009/12/01
[VT]usomakoto29「5Hour」
---------------------------------------------------------
[VT]うそまこと第29回目
「練習時間何時間」
---------------------------------------------------------
こんにちはヰ崎です。
大分寒くなってまいりました。
気温が低いと喉のトラブルも増えてくることと思います。
練習の準備(というかウォーミングアップ)にも時間がかかりますね。
暖房する際は湿度にも気を使いましょ。
個人的に唇が渇くのが結構厄介ですが喉もがさつく気がします。
感触として夏場の冷房の比ではありません。
(考えてみると冷房の時期に肌ががさつくことなんてありませんものね)
はっきりいって冬場というのは歌うのには不向きです。
ですので普段の練習でもあまり冒険しないで、コンディショニング重視でいくのが無難ですよ。
---------------------------------------------------------
ある日の練習量
---------------------------------------------------------
考えてみたことはありますか。
歌の練習は毎日どのくらいの量をこなせば良いのか
著名な歌手たちはどのくらいやってるものなのか
気になりませんか?
超有名なところをあげますと、
故パバロッティさん(伊、ハイCの王様)は毎日5時間の練習を日課にしていたそうです。
さらに故マイケルジャクソンさん(米、ポップスの王様)も、
パバロッティさんを参考にして一日5時間訓練するようになったと公言していたです。
普段ぜんぜん歌わないけど人気のある歌手というのももちろん存在するでしょうけども
どんな歌手でも単独のコンサートをするなら2時間程度はステージにいます。
直前にリハーサルをこなす場合もあるしウォーミングアップも必要ですから
3~4時間は平気で歌い続けられないと話になりません この職業は。
また、スタジオでのリハーサルにしろ収録にしろ、バンドのメンバーと半日篭りっきりなんてのは
日常茶飯事です(演奏を重視するのであればね。)
アマチュアバンドのボーカルあたりだと必ずしも連続して長時間歌う必然性は感じないかもしれません。
一方で、合唱団の方ですと演奏会で日に5時間程度歌うといった経験を実際にされた方も多いでしょう。
何が言いたいかと申しますと、
「5時間練習しろ」といわれて「そんなに喉がもたない」とかいうのは無しですよ!
ということです。
「いつも、すぐ声が枯れる(のでそんなにできない)」と思っている人でも
音量と声種に気を使えばいくらでも歌い続けられます。
訓練を初めたばかりの頃というのは 量をこなすことを怖がることが多いのですが
歌いすぎで声が駄目になるということは現実には無いです。
声帯は一時的に消耗しますが
長時間発声しすぎたという理由で回復不能の障害を負ったという話はきいたことがありません。
若い方は「使い込んで鳴りをよくする」くらいのつもりでいいのです。
先ずは思い切って長い練習を試してみてください、
それでせめて「何時間続けられるか」は把握しておきましょう。
---------------------------------------------------------
理想的な練習時間≒5時間
---------------------------------------------------------
ルチアーノ・パバロッティさんがどんな考えから「5時間」という練習時間に至ったのかは存じませんので
彼のやりかたとは直接は関係ありませんが、
私も5時間=300分の練習を推奨しています。
毎日3時間よりも1日おき5時間の練習が好ましい。
否、2日おきに5時間であっても毎日3時間よりは効果的であると考えています。
ただし やはり前提はあるのです。
1.練習時間を使いきれること(後半は声が枯れてしまう、または 集中力散漫になるのでは、無意味)
2.ウォーミングアップに最低1時間程度かけること
3.声種、レンジを調整すること
せっかく5時間とっても、ずっと同じ調子になってしまうのでは、連続して続ける意味がありません。
また、きっちり準備する必要の無い軽め浅めの声種で十分という人や、一時的にそういう声だけ鍛えたいといった
場合については長時間にこだわる必要ありません。
---------------------------------------------------------
2時間や3時間では何がたりないかといいますと、
声を出し始めてから喉の状態が整うまでにそのくらいかかるのです。
2時間ないし3時間というのは準備にかかる時間です。
自分の出せる1番充実な声を扱うのであれば、2時間歌ってそこからが本番というわけです。
この時点で練習を終えてしまえば1番良い音を鍛えられないままです。
2時間3時間でも歌の練習はできますが発声の訓練としては有効でありません。
---------------------------------------------------------
一度 じっくり喉を整えてから歌うことを覚えると、
それができない状況、
いきなり大音量で歌いだしたり、
30分くらいの準備時間から全力で歌わなければならない状況というのは
とにかくやりにくくて発声そのものが不快に感じられるようになります。
閉鎖の感触が安定しないし換声点のブレイクが邪魔になる。
胸声は硬いし頭声は緩い。
練習がいやになること請け合いですが
逆に、いい声を出せないのはそういった準備不足の発声を抜け出せないでいるためでもあります。
「歌うための準備の仕方」を改善することは「歌声の改善」と直結します。
○適切なウォーミングアップは効果的な発声訓練を行うために必要ですし、歌の技量を直接左右します。
---------------------------------------------------------
ウォーミングアップの内容ですが具体的には
1.ストレッチ、筋トレなどのエクササイズ
2.アンザッツやメッサディヴォーチェを利用した発声練習、音階練習
などを行います。
ただし実践にはそういった個々のメソッドよりも
>囁くような声で発声を開始して
>声種、音域を調整しながら1~2時間かけて少しずつ音量レンジを広げていき
>最大音量の強い実声へ展開していく。
このプロセスが何より重要です。
(筆者のところは練習の初めから楽曲を歌います。
10曲から20曲程度かけて、最小レンジから最大レンジまで、sotto voce からacutoへ、
あるいはウィスパーからシヤウトへという感じになりますが、
すこしずつレンジを広げます。
ストレッチなどは楽曲の合間に行います。)
初心者の場合は邪魔な力みを取り除くためにも時間をかけなければいけません。
熟練者だと普段から緊張が取れた状態でいますし、取捨選択ができるので
短時間でもある程度は仕上がります。
それでも、重厚な声種(スタイル)の歌手ほど時間がかかるものです。
常に軽いアップで終える人は
「声種が軽いからアップが簡単に済む」ともいえるし、
「アップに時間をかけないからいつまでも軽い声しか出せない」ともいえます。
---------------------------------------------------------
5時間を越える長時間の練習
---------------------------------------------------------
7時間・9時間といった量となるとどうでしょうか。
これも実際に体験してみて確認して欲しいのですけども
概ね5時間を超えて歌唱を続けると
内筋が疲弊して働かなくなってきます。
このとき喉頭懸垂・声帯伸展にはまだ余力があるので高音はしっかり出るのですが、
声帯を薄く使っているような、縁ばかりが鳴っているかのような
そういった金属的な音しか出せなくなっていきます。
肉声っぽさというか人間味というか柔らかい味わいが全くなくなります。
この変化は胸声の低~中音域で顕著で、頭声区でも感じられます。
人によって、あるいは歌い方によって、4~5時間ですでにそういう状況になってしまうときもありますが
5時間までであれば次の日までに回復します。
7時間超といった量となると次の日は内筋が弱った、バランスの崩れた状態から練習を開始することになるでしょう。
(繰り返しになりますがそういう状況も何度か試してみるのですよ)
年齢差個体差などはあるはずですが
生徒には「5時間までなら毎日続けられる」という風に言っています。
いまのところ著しい例外は見つけられていません。
---------------------------------------------------------
声区融合には少し疲れてるくらいがちょうどいい!?
---------------------------------------------------------
内筋が弱ると換声点でのトラップも弱くなるので
あえてその状態で練習することが 換声点付近の開発にはかなり有効です。
一般に男性の殆どは声帯内部が働きすぎるために換声点が難しくなっています。
そこで、あえて内筋が疲労した状態で練習してみるのです。
(ただし頭声が弱い人はレンジが制限されピッチも不安定になることがある。)
きちんと弱い声からじっくりウォーミングアップを行って8時間程度歌い続けてみると
きっと新しい感触を得られると思います。
---------------------------------------------------------
---------------------------------------------------------
さて、ここまでは「練習時間を伸ばせ」という風に聞こえる?内容だったのにいまさらですが、
冒頭で触れたように冬季はあまり無理をするのに向いた時期ではないのです。
長時間歌い続けると発声器官の粘膜が消耗して炎症を起こします。
どうしても感冒を起こしやすくなるので
風邪をひいて困るような状況の方は練習量を増やすことはしないほうがいいのですよね。
今しばらくはウォーミングアップの段取りやペースを調整するにとどめて、
季節が良くなってから練習時間の調整に取り組むといいのではないでしょうか。
なんにせよ風邪を引かないように努力しましょう。それでは。
ヰ崎(インフルエンザもあるしこの冬はいったいどうなるのだろう?未知の領域かも)
---------------------------------------------------------
---------------------------------------------------------------------------------
質問や要望が御座いましたらお寄せください。
ldz5zz@gmail.com
---------------------------------------------------------------------------------
ボイストレーニングの嘘真うそまこと
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000225345.html
--------------------------------------------------------------------------------


