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主に発声訓練独習者へ向けて、具体的な練習方法や論理、訓練の考え方や進め方、一般的な常識やセオリーの真偽等を紹介します。号毎にいくつかののキーワードを挙げて、それを解説するかたちで話をすすめていく予定です。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/12/01
  • 部数 211部
  • メルマガID 0000225345
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2009/10/27

[VT]usomakoto28エッジボイス2

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[VT]うそまこと第28回目
        「低音向けの発声とエッジサウンドの回避」
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こんにちはヰ崎です。

前号はエッジボイスでの練習について簡単に触れました。

今回は低音でエッジボイスになってしまうのを防ぐためのノウハウについてお話しします。

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        胸声低音域でのエッジサウンド
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胸声の最低音域というのは自然にエッジサウンドが入ってきてしまうものです。
少し厳密な話を後に書きますが、原因は声帯のリラクセーションが不十分であるためと思っていいです。
エッジサウンドやその混じった声:エッジボイスというのは発声練習としては有用ですが、
普通に歌いときは邪魔になることのほうが多いです。

低音でエッジサウンドが入ると、まず 声門での抵抗感が無くなり音量が出なくなります。
さらに明瞭な音高も失われます。エッジボイスは本人がピッチを変えたつもりでも実際には同じ音がずっと鳴っているだけ
という状況が多いですね。基本的にエッジサウンド自体のピッチは上下しません。
音色も変わりません。エッジサウンドの音色というのは音波が断続的に発生するときのプツプツいう音色であり
いわゆるノイズとされる音です。
エッジボイスはドイツ語由来ではstroh-bass(英語のstraw-bassに相当)とも呼ぶようです。
stroh-bassは「軽いベース音」といったニュアンスのようですが、
「役に立たない低音」という意味にもとれる呼び名です。
やはり、古典的な歌唱スタイルでは使い道がないといってよいでしょう。
近年にわかにもてはやされるようになったのはマイク・アンプの利用に起因するところ大です。
極端なオンマイクのスタイルでは、エッジサウンドに限らず
気息音やリップノイズを積極的に収録してサウンドとして活用してしまうケースが散見されます。
その一方で、オンマイクであれば、本来は音量の足りなくなる声域下限近くの声で歌うことも可能になります。
「音量をアンプでカバーするなら胸声が弱い人でも低音を歌える余地が出てくる
けどもエッジサウンドが邪魔になることがある。」
というわけで低音を鍛える方はエッジサウンドを殺す練習をしましょう。
(練習のポイントは本号の最後のほうにあります)

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余談になりますが、
エッジボイスになると急に音高感が失われてしまうので
基本的にエッジサウンド主体の声では音域をカウントしません。
エッジボイスで自分の最低音を評価しようとして音階を下降していくと
螺旋音階のように同じところをぐるぐる廻って、
いつの間にかダブルカウントになっていることがあります。
エッジサウンドの音は基本的に変化しないのですが
共鳴の働かせ方でピッチが変わっているようにみせかけることはできます。

音楽学校を出ている程度の人でも生徒の低音域をエッジサウンドで見誤ってしまうことがあるようです。
(1オクターブくらい余計に数えた上で「君は5オクターブ出ている」とかいってしまうような状況のことです)
女性の声楽家は胸声の低音域については何の経験も持ち合わせていないときがあります。
専門家だからといっていつでも信用できるとは限りません。

また、音階降下したときにエッジサウンドにはならずに 掠れていって声が出なくなる人は純粋な胸声になっていないと考えられます。
根本的に胸声が弱いか、あるいは頭声などを引きずった、中高音域向けのポジションのまま下がろうとしています。
それらは、現状で低音に延びる余地が多いということでもあるのですが、
低音を鍛えて純粋な胸声を扱うようになると今より換声点が難しくなって高音域が一時的に悪くなる可能性もあります。
覚えておいてください。


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        低音での声帯の動作
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最低音域の改善には、低音を出すときの理想的な声帯の状態を理解しておくことが
必要とまでは言いませんが、プラスになります。
必ずしも科学的事実だけにこだわることはありませんが
高校程度の物理学は良いヒントになります。その上で諸器官の構造機能をおさえておけば
どういう意識でどこに力を入れるべきかが見えてくるはずです。

◆最低音域での適切な発声
^声帯は前後に短くなり たるませた分厚い状態になります。
^そこに左右に押しつぶすような力を振動部の外から加えて閉鎖を強くする
^といった状態が理想的な低音の発声です。

振動数を低くするためには振動体は柔らかく分厚いほうがよいので声帯を前後に短くして弛ませます。
(実際に被裂軟骨対:声帯の後端が前方へ移動するといわれていてshortningと呼ばれます)
つまるところ高音域で声帯を引き伸ばすのと逆のことをするわけです。
さらに声帯全体が丸ごと一緒になって振動してほしいこともあって 声帯内部にはできる限り力を入れないでおきたいのですが、
「声門の閉鎖力」は強いほうが声門閉鎖時間が長くなり低音になります。
よって、声帯の内部は弛緩し外側から声帯振動部全体を握りこむような力が入ると
最も低音が出せるという理屈です。

これだけ聞くと簡単そうに感じるかもしれません。たるませて閉じるだけですからね。
ではどうしてそれを実現できないのでしょうか、、、、?
この原因は、リップロールのように声帯をまねて口唇をふるわせてみるとみえてきます。
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リップロールというのは、ちょうど口唇で胸声の振動を模擬するものです。
唇を軽くかつぴったり閉じたところに息を入れてぷるる~と振動させるのですが、
ただ力を抜いて閉じているだけだと 息を流すと同時に唇が開き空気が抜けていくだけで振動してくれないのです~
結局のところ
・呼気圧に逆らうための抗力をわずかに加える
・息が抜けた後に再度唇の位置を変える
このどちらかを行う必要があるのです。
ここに至らないといつまで経ってもリップロールにならない。

同じことが胸声にも当てはまります。
声帯をたるませて閉じたあと
・少しだけ力を入れて呼気に対抗するか、
・息が流れてから閉鎖の具合を変えるか
どちらかが必要です。
これらを声帯内筋には全く力をいれずに行うのが理想なのですが… やはり少なからず力んでしまうわけです。
内筋に力が入ればどうしても声帯は薄く、硬くなり、振動数は上昇してしまいます。
(硬いというのはたるんだ状態と比べて相対的に剛性が増すということ、金属のようにガチガチになるわけではない)
そしてここで少しでも力が入ってしまうことがエッジサウンドになる原因でもあります。
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声帯内部に力が入ると声唇の閉鎖をなす面(これを声門というわけですが)の圧力に 強いところと弱いところがでてきます。
つまり閉じる力が不均一になります。
もともと唇にしろ声帯にしろ、一様な形状ではないので「門」には息の漏れやすいところと漏れにくい部分がありますね。
中央部や前・後端などは特に漏れやすいと予想されます。
本来の発声ならば漏れやすいところから息が漏れてもそれが声門全体の開閉に繋がるので連続的な振動となります。
一方でエッジサウンドになるときというのは漏れやすい箇所から僅かに息が出た後 声帯は殆ど動かずにすぐまた閉じてしまって
局所的かつ断続な動きしか生み出せないという状態です。
(口唇でも同じことが起きます。
唇を硬く閉じて息を入れるとリップロールのような連続的かつ全体的な振動は起こらず
唇門の一部が局所的に開閉してぶつぶつとした音が出ます。)
声帯の場合は無駄なの緊張を除り切れていないから起こることですが対処療法として、
呼気量を増やしてしまえば 息が漏れた後すぐには閉じられなくなりますから連続的な振動(普通の発声)を誘導できるということもお解かり頂けるかと思います。
逆に、声門の閉鎖力や息の漏れやすさの不均衡が問題にならなくなるくらい強い閉鎖を与えてしまうことでもエッジサウンドをつぶすことができます。
・息を流す
・閉鎖を強調する
このどちらかという点は高音発声と同じですね。
「低音を鍛えると高音も伸びる」といわれる所以です。

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        エッジボイスの回避
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	ポイント1:喉の位置とアンザッツ
低音発声で最も重要なことは喉頭を下げることです。
喉頭を下げると自然と不要な緊張が消えて声帯は勝手にたるんでくれると思ってください。
そしてとにかく徹底的に声をトルソに向ける(アンザッツ2番、6番など)。
しかし喉を下げるのに不慣れで明らかに内筋に力が入るというのでは全く無意味です。
内筋と喉頭懸垂を切り離して操作するのは初心者には難しいことですが高音域に較べればずっと習得しやすいものです。
どうしても力んで声が詰まってしまうなら
喉を意識的に下げるのは一旦断念してアンザッツだけ行いましょう。

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	ポイント2:閉鎖を強く
閉鎖を強調してみましょう。
低音に向かってエッジサウンドが混じってきたら
それを押し殺すように音量を増やします。
呼気の量は変わらずに音量が増えれば閉鎖が強調されているということです。
上述しましたが息の漏れやすさの不均衡が問題にならなくなるくらい強い閉鎖を与えてやれればエッジサウンドをつぶすことができます。
息を引いてみてもいいのですがあまり有効とはいえないでしょう、喉頭が下がっていないときに息を引いてもとエッジサウンドの調子が変わるだけで
実声にはならないかもしれません。

こういった対処方法で広がる音域は、はじめは1~2音程度です。
音域を広げるためではなく低音を安定させるために
ひとつのスタイルとして身に着けると考えたほうが有用でしょう。

イメージソースとしてはア・カペラのコーラスグループのベース担当という方々の声が相当します。

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	ポイント3:息を流す
もう一つは息を流すやり方です。
最低音域では息を流そうとすると駄々漏れになります。
一息しかもちませんからそのまま歌に用いるのは難しいと思います。
低音は声帯開閉の動きが大きくゆっくりなのでしかたがないことです。
無理にフレージングすることは考えず一音節ごとに息を限界まで吸って声を出しましょう。
このやり方も下がるのは1~2音がやっとです。その一音(半音以下という場合もあるでしょう)に集中して
少しでも低音に届く発声を探ってください。

低音で息を流すときに特に重要なことは
○胸郭を持ち上げ息をしっかり吸い込んでから発声すること。
胸が落ちていると息が流れませんしそれだけでエッジ化しやすくなります。
腹式呼吸だけ意識しても効果的ではありません。
胸郭の上下を意識したほうが上手くいきます。
肋骨は開かずに胸骨周辺を膨らますような吸気が好ましいです。

また、声帯以外の仮声帯などの振動が混じってくるときがあります。
それが駄目ということはないですが区別だけはつけてください。

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	ポイント4:閉鎖を促すアンザッツ
喉を十分下げられる方に限りますが、
平行して1番、3番のアンザッツも行うことができます。
1番(門歯)3番(鼻根や上顎)ともに声門閉鎖を強めるためのアンザッツです。
実声での1番は詰まった声になりやすいので危険もありますが、
胸声最低部で閉鎖が緩んでいく状況では好い効果があります。
1番、3番ともに、一度トルソに向けてから2番と同時に当てるつもりで行うとよいでしょう。
喉頭を下げながら行うことも忘れないように。


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質問や要望が御座いましたら是非お寄せください。
ldz5zz@gmail.com
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