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主に発声訓練独習者へ向けて、具体的な練習方法や論理、訓練の考え方や進め方、一般的な常識やセオリーの真偽等を紹介します。号毎にいくつかののキーワードを挙げて、それを解説するかたちで話をすすめていく予定です。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/12/01
  • 部数 210部
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2008/03/18

[VT]うそまこと其之弐十壱~鼻音化~

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[VT]うそまこと其之弐十壱〜鼻音化の一回目〜


こんにちはヰ崎です。

鼻腔共鳴、マスケラときて
おつぎは鼻音、鼻音化についてです。

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○○○ 鼻音化 ○○○

"鼻音"というというのはn、m、などで表される音ですね。
カナでは「ナ行」、「マ行」、「ン」等です。
唇や舌で口腔を閉じて鼻から出る声です。
ご存知のとおりハミングというのは鼻音だけで歌うことです。
ハミングで歌う訓練は、やはりその分かりやすさから
誰でも手軽に採り入れられる練習法ではないでしょうか。

また、口腔を閉じずに他の母音を発しながら鼻へ流すことを"鼻音化"といいます。
鼻音化をきちんと教える指導者はあまり見かけられませんね。
逆に鼻音化を全くしないような指導法は少なくないですが。


*日本人は鼻音が少ないのか多いのか??

これについては正反対の意見が常に飛び交っています。
日本人は(欧米のネイティブに比べて……)
「鼻へ息が流れていない(あるいは、鼻腔共鳴が弱い)のでもっと息を流すべき」
「鼻へ流しすぎで母音が不明瞭、口腔共鳴を損ねている」
といった具合に見解が真っ二つに分かれるのです。
原因は単純で、どうやら全く別な対象をみて「日本人は…」といっているようで、、、
「鼻音が弱い」といわれるのはアマチュアや音大生、訓練してない一般人のあたりです。
「鼻音化しすぎ」なのはTVの音楽番組に出ているようなポップスシンガーの、
中でも特に著名な歌手たちを見ていっているようです。

○はっきりしているのは「二極化している」という一点ですが
日本人全体としては鼻音が不足気味の人が圧倒的に多いです。
日本語の発音が鼻音化を意識する必要が無い上に息を流し辛いものなので。
それと相まって日本では「輪郭がはっきりして芯が強くほっそりした声」を「美声」と感じる、
ある種の思い込みというか価値観のようなところがあって、
これが大勢を「鼻腔を遮断した発声」へ向かわせるのですね。
数年程度の歌唱訓練を経験した人には
鼻音を全く使わないように歌う人がよく見られます。
音大で声楽専攻したひとしかり、ロックバンドでボーカルやってたひとしかりです。
これは口蓋帆を挙げっぱなしにすると高音に向けての喉頭懸垂が容易になることの表れです。

○職業歌手などで十分な技術を持ち「声帯をしっかり鳴らせる」ひと達は
逆に「鼻にかけすぎ」のひとが多いのです。
前述のとおり日本語では鼻音を意識、区別することがあまりありません。
鼻音化は声帯の鳴りを強化するのに有効ですので
声を充実させようとして鼻音化を強め、
その弊害に気づかないで鼻音化したままになった例は多いのですね。
アマチュアでほとんど訓練していなくとも「鳴りがいい」人というのも稀にいるのですが
自然と鼻音化が習慣付いている人だったりします。

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○○鼻音化で声帯閉鎖が変化する○○


◇息を切らしているときに鼻だけで呼吸するのは大変苦しいですよね。
 鼻腔は口腔に比べて流路が狭い上に入り組んだ形状なので息量が制限され、
 息を流すために大きな力が要求されるからです。

口を開いて呼吸するときは息に対しての「抵抗」と感じるほどのものはありません。
このため口の呼吸では「意識的に圧力をかける」という体験をしづらいのです。
鼻の場合、口と同量の息を吐こうとすると相応の圧力を感じる筈です。
この強めの圧力が声門閉鎖を強くするきっかけになります。
また、口蓋帆を挙げると甲状軟骨‐軟口蓋のアーチに頼った発声になりやすく、
これは声帯を最大限に鳴らすには邪魔な作用です。
一度口蓋帆を完全に緩めて、鼻腔へ息を最大限流し込む発声を試るのは有意義なことです。

○上記の理由から、鼻音化することで声に広がりが出ます。
ただし自然と呼気圧が強くなるので喉が上がりやすい点は注意が必要です。
このために近寄らせない指導者も多いでしょう。
また、声帯の「鳴りが強くなる」のと「閉鎖が強くなる」のとを混同しがちですので
これも注意してほしいところです。
(「鳴りが強く」なるときは、
息に対する抵抗はあまり変わらずに声が広がり芯が隠れます。
対して、「閉鎖が強く」なると、
抵抗がはっきり増して声はやや細くなり芯が出ます。)


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◇口を開けて呼吸し圧力のあまり掛からない状態で息を増やそうとすると
 声門は開こうとします。
これは積極的に「息を吐く(あるいは吸う)」動作に他ならないからです。
呼気圧が弱くなる高め音域の発声でも同じことがおきます。
鼻に息を廻らし、圧力がある程度掛かった状態から息を増やそうとすると
今度は声門が閉じようとしてくれます
こちらは胸郭固定とかいって重いものを持ち上げるときの動きです。
上手に取り入れれば充実した発声が手に入ります。

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◇鼻へ廻らせる発声は、
呼気圧を常に意識し易いため声帯感覚を磨くのにも有効です。
声帯感覚というのは突っ込んでいうと「呼吸感覚」と「音声に対する分析」の組み合わせです。
呼気圧と息の流量から声門の閉鎖状態は察知できます。
それに加えて音色(芯の有無、芯の太細、広がり具合、明暗、起声、気息音 &c.)を動的に分析して
声帯の振動状態を把握していきます。
難しく聞こえるでしょうが
「息が漏れているか詰まっているか」「地声か裏声か」といったものの延長です。


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整理すると、鼻に息を流す「鼻音化」は
○呼気圧を高くする
○声門閉鎖を促す
○声帯感覚を得やすくなる(鍛えやすくなる)
という3つの効能を持つということです。


次号へ続きます。

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質問や要望が御座いましたら是非お寄せください。
ldz5zz@gmail.com


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