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主に発声訓練独習者へ向けて、具体的な練習方法や論理、訓練の考え方や進め方、一般的な常識やセオリーの真偽等を紹介します。号毎にいくつかののキーワードを挙げて、それを解説するかたちで話をすすめていく予定です。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/12/01
  • 部数 210部
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2008/02/17

[VT]うそまこと其之十九~副鼻腔共鳴~

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[VT]うそまこと其之十九〜副鼻腔共鳴〜


こんにちはヰ崎です。
今号のテーマは「(副)鼻腔共鳴 」です。

前号までしばらく実践的な内容が続きましたが
やっぱり文章だけでプラクティスをやるてのは
ちょおと無理があるかもですよねー。
(ご不満がありましたら是非、メールでご指摘下さい。
体裁を気にする必要は全くありませんから。
「○○○がわからねー」とか「もう一度説明しろ」とかそんなで十分ですよ。)

これからしばらくは、逆にアカデミックにいきたい所存です。
はっきり違いがでるか怪しいものですが。(汗。
メール向けに文字種を減らすと妙に読みづらくなるそうなので
なんとか改善していきます。

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○○ 鼻腔共鳴 ○○

鼻腔…つまりは鼻の内部の空間のことですが、現在
「鼻腔そのものは単独の共鳴器ではない!」といわれています。
もちろん声道という大きな共鳴器の「一部」ではありますが、
鼻腔の長さに応じた波長の音が目立って増幅されることは殆どないようです。
だからといって鼻腔共鳴が嘘だというのではありません。
副鼻腔という、頭蓋骨内部にある洞状のスペースが鼻腔へ通じていて
これが気柱共鳴を起こします。

「鼻根周辺へのアンザッツ」や「鼻へ息を流す」ことを指して「鼻腔共鳴」と
言っている場合もありますが、
厳密な意味での「鼻腔共鳴」は副鼻腔の共鳴のことを指します。
本書では“鼻腔共鳴=副鼻腔の気柱共鳴”とします。

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○副鼻腔共鳴

副鼻腔(ふくびくう、ふくびこう)
   :頭蓋の一部で、鼻根から頬、額にかけて分布する、
    左右四対(三対とすることも)の空洞状の組織
それぞれ鼻腔と繋がっていて空気が出入りできるので共鳴器になります。
副鼻腔の基底共振周波数は4000〜5000Hz程度といわれています。
主な母音のフォルマントが500Hz〜3000Hzですから、母音への影響は大きくありません。
鼻腔共鳴が強いから言葉が不明瞭になる、あるいは逆に弱いから母音がはっきりしない、
といったことは原理的には無いと思っていいでしょう。

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○共鳴を強くする=声帯の鳴り方を変える

副鼻腔のように、形状が一定で動かない共鳴器においては
本人がどんな動作をしようと共鳴器としての特性が変動することはありません。
常に特定の帯域(音の高さ)で決まった倍率の増幅を行うと考えてください。
また、空気の流れの強さと共鳴の強さには直接関連はありません。
鼻に息を多く流し込んでも全く共鳴しないときがあります。
共鳴が強くなるときというのは、共鳴器になにか起きているのではなく、
共鳴器の帯域に合った成分がより多く、喉頭で発生しているのです。
前述の4000Hz前後(あるいはその倍音)の音素がどこかで生じていない限りは、
姿勢や顔の表情をどう変えても鼻腔共鳴は得られません。

一方で、
共鳴器と音源の間や共鳴器と外気の間が遮蔽されてしまえば
やはり共鳴の効果が得られ難くなります。
副鼻腔の共鳴を十分に得るには口腔と鼻腔が通じていたほうが有利であり、
鼻詰まりのような状態で効果が旨く現れないことがあります。
息が鼻に抜けない(“n”を上手く出せない)発声では副鼻腔共鳴はあまり働いていません。

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○アンザッツとの関連

フースラーのアンザッツで、3番は鼻根‐口蓋‐頬の辺りに、5番は額に当てます。
頬や額といった顔面の表層に当てることは
“マスケラ”という言葉で示されることもあります。
頬と額はまさしく副鼻腔のある位置です。

フースラーは1、2、4、6番(それぞれ門歯、胸骨、頭頂、うなじ)のアンザッツ
については喉頭懸垂と関連付けて説明していますが、
3、5については対応が明確な懸垂機構がありません。
(代わりに声帯内筋の働き具合の変化を対比して挙げています。)

また、1、2、4、6では声種にあまり関係なく
どういった声でもそれなりに当てられる(勿論どれが当てやすいというのはあるが)
それに対して3及び5は声種が合っていないと全く声が向かってくれない、
そういう傾向があります。
1、2、4、6が「出している声を一点に向ける」作業であるのに対して、
マスケラ(3の一部と5)は「自然とそこに向かう声を探る」作業なのですね。
大雑把に分ければ。

ちなみに5番、つまり額へのアンザッツは弱頭声で生じるとされています。
声帯伸展があり閉鎖の緩い発声で、前述の副鼻腔の共鳴帯域の成分が生じやすい声です。
また、3番は内筋が活発になり閉鎖が均一になるといわれ「声帯が良く鳴る」発声です。
これもやはり高次倍音が豊富に生まれます。
総合してみると、どうやら
3、5番のアンザッツは気柱共鳴を直接体感していると考えてよさそうです。
(1、2、4、6番については、気柱共鳴ではなく、フィジカルな連結が強くなるために
振動の伝播が顕著になると考えたほうが無難です。)

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○鼻腔共鳴の有無は声の良悪の指標の一つになりますが…

勘違いして欲しくないのは、
「鼻腔共鳴するから良い声になる」のではないという一点。

副鼻腔共鳴で得られる4000Hzの成分は
出たら出たで心地のいいものではありますが
声の印象を大きく変えるものではありません。
(早い話が音が高すぎて音色に寄与しない。)
少し抜けが良いとか悪いとかいわれる程度の違いで
CDで聴くかラジオで聴くかというのと同程度の差です。
いくら強く鼻腔共鳴しマスケラに振動を感じても
他の成分がしっかりしていなければまったくナンセンスです。


次号で「マスケラ」発声の性質や役目についてもう少し掘り下げたいと思います。

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質問や要望が御座いましたら是非お寄せください。
ldz5zz@gmail.com


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