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主に発声訓練独習者へ向けて、具体的な練習方法や論理、訓練の考え方や進め方、一般的な常識やセオリーの真偽等を紹介します。号毎にいくつかののキーワードを挙げて、それを解説するかたちで話をすすめていく予定です。

  • 周期 不定期
  • 最新号 2008/09/18
  • 発行部数 158
  • マガジンID 0000225345
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2008/01/17

[VT]うそまこと其之十八〜高い声を出す三回目〜

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[VT]うそまこと其之十八〜高い声を出す三回目〜

タイトルをみて、あれ?と思ったあなたは正しい。
間違ったのは筆者です。



どうもヰ崎です。。

「タイトルナンバーを間違えたー」と、先号を配信された後できづいたのですが
改めてバックナンバーを数えなおしたところ
「17、、、ある?、、、あれ?」
14号も二つ出していたことが判明しました。

本刊はどうやら18号のようです。

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先号は「まず張りましょう」という話でした。
今回のは「“張り”はばっちし」という人々を対象に進めたいと思います。
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高めの音で十分"張れる”ようになってくると、、、
殆どの場合「小さい声では(高い音を)上手く出せない」という症状が現れます
(このクラスの人はカラオケでマイク−アンプのゲインを小さくしたがります)。
また、音域はたまにC5に届くときもありますが、失敗すると完全に裏声になり
調子はずれで芳しくありません。
G4やA4のあたりも、言葉が連続するとすぐ詰まって苦しくなります。

実は、これより高い声をよくしようとすると「張る」だけではだめなんです。
そして殆どの胸声シンガーはこの段階で挫折してやめてしまいます。

“「張る」出し方を覚えて劇的に変わったと思ったのに、、、ぬか喜びかよ”

といった感じなのだろうかな。
もともとかすりもしなった音域とはいえ、
BやCがいつまでも出たり出なかったりでは手放しでは喜べませんよねぇ。
この段階ではB'zやXを胸張って歌えるとはいえませんや。

じつは、声を張ることで高音への接近方法をひとつ習得した筈だったのですが、
「胸声区限定で張る」という発声にはまだ余計なおまけがついてきちゃっています。
(なんだか妙に回りくどい進行になっちゃたぞ、汗。)

それが何かといえば、
「(張って出すと)声が大きくなっちゃう」 これがまずいのデス。

声が大きくなるのは息の効率が良くなるからです。
でも本当に息の効率がいいだけなら、さらに息を減らして
小さい声にすることも可能なはずです。
それが上手くいかないのはなぜか。(さあ、みんなで考えよぉ!


。。。。。まあ、大方の症例に照らし合わせるならば、
“呼気を声帯で支えてしまっている”。
そして
“その支えとセットでしかアプローチできない”=“フォルテで張ることしかできない”
ということになります。
呼気圧に拮抗する形で声帯内筋に緊張を要請してしまっている。
その緊張が声帯伸展を妨ている と。

然るに、次なるステップは(というか指標は)
「高音へのアプローチ(=声帯伸展)と呼吸の支えを切り離すこと」
これを実現した発声様式が大別して三つ挙げられます。
1.頭声区で張る(ボイスミックス)
2.声を回す(アクート)
3.息を流す(voix mixte)
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先ず1.です。
「張り声」の訓練を積むと、頭声区からも「張り声」にアプローチ可能になります。
(つまり裏声でシャウトできるってこと)
頭声区はそもそも内筋が働かない発声ですから
のどが詰まったりA4やC5のあたりで苦労することはありません。
“胸声色の強い地声”と“裏声シャウト”では音色の差が大きくて繋がりませんが、
間に“張った地声”を挟めば一応連続して音色変化になります。
この声を「地声」として扱っていいかというと微妙な問題ですが
カラオケで歌う分には、あまり変だとわいわれないでしょう。
起声がどうしても弱いのですがそれこそフォルテで張ってしまえば分かりにくくなります。
また、歌いこむにつれ胸声成分の多く混じった頭声(「ファルセットインペット」などといいます)へと
発展していきます。

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次いで2.です。
「音量を増やさずに高音向けのポジションを作る」それがつまり「回す」ということです。
(それに対して、「張る」というのは声を大きくすることをきっかけにして高音向ポジションへ移ります。)
まずは、フォルテの“張り声”から“呼気の支持によって得ている安定感”を取り除くことです。
したがって一度、頼りどころのない、なんとなく不安定な発声になりますがそれを拒んではいけません

ちなみに「回す声」というのは
古典声楽で“アクート(acuto)”と呼ばれる発声に相当します。
((
“アクート”は「細い声」とかいった意味で、声種としては
「胸声区頭声あるいは胸声区延長線上の頭声で、なおかつ実声と呼べるクオリティの声」
ということになります。
この言葉はポップスのトレーナはあまり使いませんが、色々と都合のいい用語です。
多くのトレーナは代わりに“シャウト”という言葉で表そうとしていますが
「張る」ことの本質は結局、「回す」ことにあって
張り上げたり叫ぶことではないです。
「回す」と同じようなニュアンスで声を「置く」というのもありますね。
))

回す声(=アクート)は高音へのアプローチ手法としてはもっとも純粋なもので、
高音発声の真髄といってもいいでしょう。
ダイレクトに声帯の伸展を促し、それに伴うピッチ上昇と音色変化を体感します。
ほかの副次要素(声量が変わるとかノドっぽくなるとか)はありません。
音域も本来のアクートならば頭声区の最高音までアプローチしそこから
胸声区の低音へ戻ってこれます。(つまり声区転換の1様式です)

回すことで音色はほっそり、すっきり、明瞭になり甘い響きになります(つまり頭声的になる)。
そして喉頭は適度な懸垂を受け、感触としては高音域の鬱屈から開放されます。
具体例としては氷室京介さんなどが良いイメージソースじゃないかな。
(文章での説明はこのくらいが限界です。声を聴けば一発なんですが。)

回す発声はちょっとしたこつで体現できるようになります
器用な人で準備が十分であれば一朝一夕で習得する場合もあります。
アンザッツの5番と6番(うなじ、背中)が手助けになります。

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最後に 3.息を流す発声 について

息を流すというのは以前にも何度か出てきましが
そのときはピアノやピアニッシモで、換声点を自然に越える発声でした。
今回はあくまでフォルテ(ないしフォルテシモ)で換声点は越えません。
しばらくは全く別物と考えておきましょう。


○なぜ息を流すのか。

息を多くすると内筋の緊張を強いることになり好ましくないはずです。
実際、張った状態から少しずつ息を増やすと声は喉っぽく「張り上げた声」となり調子外れも増えます。
消耗しますしこれは好ましくありません。
その一方で、ノドを下げて声を胸につけた上で呼気を最大限に流し込むと「張り上げ」と全く違った効果が現れます。
((
息を流す、即ち呼気を強制的に多くすることは声門の自発的閉鎖を緩くします。
    (注:「流す」というのは、閉鎖が強いところへ無理やり息を押し込むことではないわけ。
閉鎖が緩くなると声帯の微妙な緊張具合の変化に対して声が鈍感になります。
つまり不意に声が裏返る、ブレイクすることを防ぐことになります。
高いBやCに挑むとき、これは強力な武器になります。
また、高音域に接近してブレイクしてしまうと声帯伸展が足りているのかどうか判断しにくくなりますが、
息を流す発声では声を(半ば無理やり)胸声区に押しとどめるゆえに声帯伸展の過不足が著実に現れ、
伸展そのものを捉えやすくなります。
))


○声を胸に着けながら行います

喉頭を呼気流に逆って上流(つまり胸の側)へ牽引する感覚です
口腔を広げ喉を下げた状態をベースにします。喉を下げることが声門閉鎖の偏りを減らします。

○胸郭の動きを積極的に利用します。

息を吸うときに目一杯吸い込んでください。それも腹だけではなく胸も最大限広げます。
最初は胸郭を広げたまま保って、口から発声します。(鼻に流すのは後回しね)
起声の瞬間に肩を落とす、といった有意義なアクションがいくつかあります。
試行錯誤のしどころです(喉頭の支持が上手くない場合は余計なことをしないほうがいいです)。
ことさら息を強くする意識はいらないかもしれません。
喉頭を胸に向けて牽引することで閉鎖が緩くなります(張っているときに比べて息が“抜け”ます。)
それに応じて息の量を増やしてやればよいのです。
(「声帯を強制的に鳴らす」=「ノドを吹く」感覚は必要です)
息が抜けていないと大変消耗しますのでその場合は中止することをお勧めします。



○あくまで「張り声」の延長です。

音域が下がってしまう場合は失敗です。
のどを詰めているか、「張り」が失われて単に胸に落ちた声になっています。
成功の場合も息を流すことで頭声らしさは半減し、ざらついた広がりのある声に変わります。
音色的には「張った声」ではなくなります。
ですが口蓋のアーチや頭部への響き具合など、唱者の体感には張っているときの状態が引き継がれます。


○非常にドラマティックで男性的で存在感溢れる声です。

熟練すれば、胸声ベースでは一番インパクトのある発声になります。
伸展が十分あり、呼気が多いこと これがいい声になる秘密というか十分条件です。
コブクロの黒田さんが近いスタイルですねぇ。

音域ですが、前述の通りブレイクを駆逐できるので高音域の成功率は大幅に向上します。
C5を連打したりもっと高い音域を確実に出すためには声区転換を組み合わせる必要があります。
アクートとの合わせ技でも頭声区へ入ることが出来ます。それこそ胸声の一つの最終形で、
voix-mixteなどとよばれるものです。

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今回挙げたテクニックはどれも高等テクニックです。

1.の裏声シャウトは入り口に辿り着くまでがかなり掛かります。
ベルカントで男性が頭声区の実声を習得するには数年単位の訓練が必要とかいわれてますが
それとほぼ同種のものです。
2.のアクートは敷居は低くて、クセのあるやり方ならできる人は大勢います。
ちょっと器用で物まね上手いひとなら皆実践しています。
ただ、純粋な、汎用性に富む本来のアクートを身に着けていればそれこそ誰の真似でもできますが
そんなひとめったにいませんよね。やはり奥深いすよ。
3.は胸声の一つの奥義といってもいいです。ただこれは裏声シャウトやインペット、アクート、パッサージオ等
多くの技術と相互作用します。難易度も高いし、とにかくじっくり取り組んでほしいと思います。


今回の連載では主に胸声区を対象に勧めました。
アクートは頭声区でもそのまま用いられる作法で、
頭声最高音を押し上げる最も有効な方法です。
そしてもう一つがvoix-mixteを頭声−極高声に適用するテクニックです。
(頭声区の特集もいずれやりたいと思います)

それでは18号はこの辺で、、、さよならさよなら。
(だいぶキャラが壊れてきたようだ。。
タイトルナンバーにしてもちょっと迂闊でしたほんとーにすみません。
けしてなげやりになっているとかいうことはありませんので、
どうかこれからもご愛顧いただければ幸いです。)---------------------------------------------------------------------------------

質問や要望が御座いましたら是非お寄せください。
ldz5zz@gmail.com


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  ボイストレーニングの嘘真うそまこと
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