2009/11/15
もろずみ総研メールマガジン 第220号
M┃O┃R┃O┃ ━┛━┛━┛━┛ L┃A┃B┃ ━┛━┛━┛ もろずみ総研メールマガジン 第220号 ======================== 2009/11/15 本メルマガ所長・両角岳彦氏の著書 絶賛発売中! 宝島社新書『ハイブリッドカーは本当にエコなのか?』 プリウスやインサイトなどのハイブリッドカーをはじめ、いわゆる「エコカ ー」が大人気ですが、はたしてCO2削減=省燃費だけが「エコカー」の条件 なのでしょうか? リサイクルから気になる実用燃費まで、本書を読めば「エコロジカルなクル マ」の現状と真実が理解できます! 宝島社新書 『ハイブリッドカーは本当にエコなのか?』両角岳彦著 発売:9月10日 総頁:192頁 定価:667(+税)円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【緊急考察】 トヨタF1撤退を考える ▽4回シリーズ 最終回 ◆そもそもトヨタはF1に打って出るべきだったのか?◆ もともと、トヨタはF1に自らチームを組織して打って出るべきではなか った。私はずっとそう考えていました。 それはトヨタという企業に「自分たちが生み出しているモノ、そのエッセ ンスで戦う」という素地がない、と感じているからです。 2002年シーズンの参戦に向けて、ケルンのTMGでマシンのお披露目をする。 そこに取材に出かけた時のこと。移動のクルマに乗り合わせたトヨタの欧州 販売担当の重役の方にこう聞かれたのを思い出します。 「F1というのは大変なもののようだけど、ウチも世界で一、二の自動車メー カーなんだから、少しやってゆけば勝てるんじゃないですか?」 私のお答えは、失礼かとも思いましたが… 「トヨタの企業文化からして、F1に“勝つ”のは困難だと思います。ひとつ 勝つのも難しい。チャンピオンを獲ることはない、と考えておかれたほうが いいでしょうね」 驚かれたようでしたが、結局これが予言になってしまったわけです。 根本的な話をするならば、「自動車にとって、そしてそれを生み出すメー カーにとって、モータースポーツとは何か?」 この原点にまで戻って考える必要があります。 豊田章男社長は、東京モーターショーのプレス・ブリーフィングでも、ま た今回のF1撤退発表会見でも「クルマは人が操るもの。だからワクワクする 走りがないと」といった意味のことを話しています。 でもこの「ワクワクする感覚」とはどこから生まれるものなのでしょう か? それはクルマが、人間が自ら操って走らせる道具であるからこその、根源 的な資質なのです。どんなクルマも全て、普遍的に持っている(べき)もの なのです。そうではなくて、何か特別に演出しなければならないものだと思 っている人が、日本ではほとんどなのではないか。それも自動車を生み出し、 送り出す側であっても。ここがそもそもボタンの掛け違い。 いわゆる「エコカー」であっても、それを自分の筋肉神経系の延長として リアルに反応し、動くものでさえあれば、人間は肉体の能力を拡張して動く、 その実感を味わい、何だか楽しく、面白く、ワクワクするものなのです。 スポーツカーは、その「ドライビングはいつでもスポーツ」のエッセンス の部分だけを抽出したクルマ。 逆に「タイヤが4つあって、ステアリングと、アクセルとブレーキのペダ ルがあれば、クルマは全てスポーツカー」でもあるのです。その認識を共有 する人間たちの中では、「最良のスポーツカーのひとつは、軽トラックであ る」というのも、当たり前のこと。なぜならば、ヒトとタイヤの間がいちば んシンプルな自動車だから。単純で分かりやすい。それが楽しさの原点です。 ホンダが何年かに一度開催する技術展示会で、福井社長(当時)がF1とMo to GPのマシンを乗り換えつつ自ら操って、我々の前を駆け抜けたことがあ りました。どちらも、操った経験のある人々に言わせれば「ものすごく運転 しやすい!」。それは自分が操れる、とはっきり実感できる範囲で動かして、 ということですか。でも当然でしょう。そうでなければ、タイヤの粘着力の 限界にずっと踏み込んだまま、あれほどの戦いを、別の言い方をすれば「精 度のきわめて高いドライビング」を続けることはできない。 残念ながら私はF3程度までしか体験していないのですが、そうした競技の ためのクルマは、量産車改造であっても、まるで肉体の外側に密着した外骨 格のように、何も考えずに自然に操れる。そういう体験は何度かあります。 もちろん、正確な基本操作が身に付いていて、車両運動のコントロールを意 識している、という条件はつきますが。 そしてもうひとつ、かつて日産の技術開発を指揮し、引退される前は日産 のモータースポーツ子会社、NISMOの社長をされていた佐々木健一さんと、 レースコースを駆け抜けるクルマを眺めながらお話ししたこと。それは「最 後に残るクルマは、これだけですね」。つまり、自動車が自動運転になるか、 エネルギー枯渇などで「個人の移動のためのインフラストラクチャー」にな る日がいつかは来る。でもその時も、自ら操って楽しむ特殊な存在として、 今のようなクルマは残る。高価で、趣味のためだけのもの、として。その時、 動力源は内燃機関でなくても、電気モーターでも何でもいいのです。 そこまでを理解すれば、自動車と、それを生み出す人々、使う人々にとっ て、モータースポーツはどんな時代でも欠くべからざるもの、つまり自動車 という存在のエッセンスなのだ、ということも自然にわかるはずです。 それがなかなか染み込んでゆかないのが日本、でもあるのですが。 石油危機や経済低迷のたびに、日本では「モータースポーツの冬」が繰り 返されています。もちろん世界でも、潤沢だった資金が削られるのは当たり 前。でもそうであっても、クルマで競うことは楽しく、面白い。だからどん な形でも続けてゆく。でもそれは「モータースポーツ文化の差」ではないの です。自動車という存在をどこまで深く感じているか。その差なのです。 企業の意思決定に関わる中でも、もちろん自動車技術の専門家でない人々 は多い。でもそうした人々も、こうしたことを考え、掘り下げ、理解するこ とは欠かせないはず。少なくとも「自動車とその社会の専門家」としては。 (両角岳彦) ---------------------------------------------------------------------- ★☆ 次号予告 ☆★ まだ未定です。 つづきは次号(配信予定 未定) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【パートナー研究員 募集一時停止】 みなさまから多くのご意見・ご質問を「パートナー研究員」としてお寄せい ただいてきましたが、メルマガの発行体制変更に伴い、一時研究員の募集を 停止させていただきます。新体制が整いしだい再開したいと思っております ので、しばらくお待ちください。 また、「もろずみ総研メルマガ」では、原則としてご意見・ご質問は、この 「パートナー研究員」の方に限らせていただいています。ご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ====================================================================== 【もろずみ総研メールマガジン】 ※本メールは等幅フォントで最適にご覧頂けます。 ※本メールマガジンをお届けしたメールアドレスは、配信専用のアドレスで す。本メールに直接ご返信頂いてもご回答できません。 ---------------------------------------------------------------------- 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ <配信中止はこちら> http://www.mag2.com/m/0000225057.html ---------------------------------------------------------------------- ★☆ 広告掲載・原稿依頼に関するお問い合わせは ☆★ moro-lab@akira.aki.gs 掲載されている記事の無断転載・転用を禁止します。 本メールに掲載している文章・画像の無断転載を禁じます。 記事のすべての著作権は「もろずみ総合研究所」に帰属します。 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部 Copyright(c) Moro Lab. All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


