2009/10/16
もろずみ総研メールマガジン 第216号
M┃O┃R┃O┃ ━┛━┛━┛━┛ L┃A┃B┃ ━┛━┛━┛ もろずみ総研メールマガジン 第216号 ======================== 2009/10/16 本メルマガ所長・両角岳彦氏の著書 絶賛発売中! 宝島社新書『ハイブリッドカーは本当にエコなのか?』 プリウスやインサイトなどのハイブリッドカーをはじめ、いわゆる「エコカ ー」が大人気ですが、はたしてCO2削減=省燃費だけが「エコカー」の条件 なのでしょうか? リサイクルから気になる実用燃費まで、本書を読めば「エコロジカルなクル マ」の現状と真実が理解できます! 宝島社新書 『ハイブリッドカーは本当にエコなのか?』両角岳彦著 発売:9月10日 総頁:192頁 定価:667(+税)円 ---------------------------------------------------------------------- JB press(Japan Business press) コラム『技術立国・日本論』始まりました。 http://jbpress.ismedia.jp/category/automobile ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【新車・試乗分析】 最近確かめつつあること ▽マツダ・アクセラ編その2 ◆普通のクルマにアイドリング・ストップを実装する時代が始まった◆ すみません。m(_._)m しっかりサボってしまいました。9月半ばから毎週どこかに出張、その間 に単行本の制作・執筆(まだ終わらず)…などなどドタバタしていた、とい う事情はあるにせよ、だったら新幹線や飛行機の中で書けばいいのに、と自 分でも思います。が、なぜか脳の中を「原稿書きモード」に切り換えるのに 時間がかかるのが、昔からの悪(?)壁。 とりあえず、前回(といっても1カ月も前…(^^;;;)チラッと触れた、ア クセラのアイドリング・ストップの機構面の内容についての解説から。 このシステムの鍵はまず「直噴」にあります。 そしてもうひとつ、4サイクル・エンジンで4気筒ならば、エンジンの運転 を止めた時、シリンダーのどれかが圧縮行程に入るところ(下死点直後)で 停まる確率は高い、ということ。直列4気筒の場合、両側2気筒と中間2気筒 がクランク角でいえば180度離れた位置にあり、ということは2気筒が上死点 側にあれば、残る2気筒を下死点側に来る。この下死点側で停まったピスト ンのうちの一方はこれから圧縮行程へ、もう一方は排気行程へ、という位置 にあるわけです。 ここで外部から(セルモーターで)クランクシャフトを回し(「クランキ ング」と言いますが)、ピストンが上昇して圧縮行程に入るシリンダーに、 燃料を噴き込みます。この時はもちろん、吸気バルブは(排気バルブも)閉 じていますから、吸気ポートに燃料噴射弁(インジェクター)を持つ、いわ ゆるポート噴射方式ではシリンダーの中に燃料を送り込むことはできない。 ここに直噴の意味がある。あとは普通にスパークを飛ばして点火すれば、こ の1気筒の燃焼からエンジンは回り始めます。 普通のエンジン始動だと、やや濃いめの空燃比になるように燃料を送り込 みつつ、何回転かクランキングを続けて「火が入る」のを待ちます。ここで マツダのi-stopは、クランクシャフト半回転という格段に短いクランキング で始動ができる、というわけです。ほんの一呼吸、コンマ数秒のことですが、 実際にクルマを動かしている中で、とくに「さぁ動き出す」という瞬間に、 この時間差はけして小さくありません。 そこには、さらに細かな制御を織り込んであります。例えば、エンジンを かける時だけでなく止める時にも、各気筒のピストン位置、すなわちクラン クシャフトの回転角を常に監視していて、どれかひとつのピストンが下死点 を通りすぎて圧縮行程にかかった所でちょうど停まるようにしています。そ の瞬間に、オルタネーター(発電機)の負荷を強める、つまり発電量を瞬間 的に増やして反力を加える。仕掛けを複雑にするのではなく、「いまあるも の」を使って実現する。こういうところから、作り手のモノの考え方が伝わ ってくる感じです。 アイドリング・ストップが作動するための条件としては、 ・エンジン(冷却水温)とトランスミッションが十分に暖機されている。 ・車速が0km/hで、Dレンジ(エンジン休止後はNまたはPに動かしても休止維 持) ・ブレーキ液圧が設定値以上(ブレーキランプ点灯、より緻密に) ・室内温度がエアコンの設定値付近。 ・バッテリーの電圧が十分に高い。 ・ドア、ボンネットが閉じていて、ドライバーがシートベルト装着。 となっていて、まさにそのまま、停まるとスッとエンジンの鼓動が消えます。 ただし、 ・エンジン休止から復帰し、その後まったく動いていない。 ・ステアリングをある角度以上切り込んでいる。 という条件が加わると、すぐに動く可能性がある、右左折を待っている状況 かもしれない、ということでエンジンは止めません。右左折待ちからの動き 出し程度なら、始動は間に合うのですが、ユーザー・クリニックをしてみた ところ「エンジンがかかっていないと、不安だ…」という声があったのだそ うです。アイドリング・ストップが常識になれば、この条件は外して休止す るケースを増やすことを考えたい、とのことでしたし、私自身が走ってみた 中で「あ、ここはエンジンを切ってもいいのに」と手元を見ると、舵を切っ ていた、という時が何度かありました。 それからもうひとつ、車体側の加速度センサーから、上がり勾配がきつい 所に停まったと判定した時も、さらに動く時を考えてエンジンは止めません。 デフロスターかデフォッガー使用時、エアコンの設定温度が極端に高いか 低いか、という条件でも、アイドリング・ストップには入りません。 エンジン休止状態から再始動する条件は、 ・ブレーキを離す。 これが基本。ただし「オートマチック・トランスミッション(AT)仕様の 場合は」。マニュアル・トランスミッション(MT)では、クラッチペダル踏 み込みが再始動のトリガーになるはずです。その場合、停車中はクラッチを 離す運転が基本。 じつはタイヤが転がりだす瞬間までブレーキ液圧は保持していて、勾配で クルマが動いてしまったりするのを押さえています。この機能、貨物車では 上り坂発進の補助装置(ヒルスタート・アシスト)として以前から装着され ていましたが。MTと基本的に同じ構造で、クリープ(軽い駆動力)はクラッ チをちょっとつないで滑らせて作る、デュアル・クラッチ・トランスミッシ ョン(DCT)装着車でも、先駆者たるVWが使い始め、最近はそのリリースが ほとんどわからないほど滑らかに働くようになっています。アクセラi-stop の使い方もほぼOK。最近の乗用車はABS装備が常識ですから、このブレーキ 液圧制御機能を使えばいいわけです。 あとは、 ・ステアリングを動かす。 これは、停車状態から「据え切り」するといった状況では、ステアリング に大きなアシスト力を加えなければならないから必須です。アクセラは電動 モーターでポンプを回し油圧でアシストする「電動油圧パワーステアリング」 ですが、モーターで直接アシストするEPSの場合も、ハイブリッド車のよう な大容量・高電圧のバッテリーを積んでいない普通のクルマでは、やはりエ ンジンをかけて発電機を駆動する必要があります。 さらに、 ・もし休止中にATセレクターをNかPレンジに動かした場合、それをDレンジ に入れる。 でも、再始動します。走行途中での信号待ちのように次にすぐ動き出すよう な停車の場合は、Dレンジのまま、というのがATドライビングのセオリーだ から、これでいいのです。 いちいちセレクターを非伝達ポジションにするのは、アクセルを踏む→動 かない→セレクターをDレンジへ→急発進、という誤操作の可能性を生む。 このやり方で慣れているから大丈夫」と片づけがちですが、マン=マシン・ システムとして、操作ミスとそれによるアクシデントの可能性が低い手順を 標準化する、という思想に基づくと「走行中はDレンジから動かさない。完 全に止まったらPレンジ」となります。クリープなどでエンジン負荷が増し、 燃料消費(や振動)が増えることについては、ブレーキ液圧を検出してニュ ートラル(非駆動)状態にする制御を加えればよく、日本ではまだほとんど ありませんが、ATに停止時ニュートラル機能を加えたモデルはすでに存在し ます。 マツダi-stopのエンジン休止・再始動に関わる条件付けとして、これ以外 に、休止状態でドライバーがシートベルトを外してドアを開ける、とか、ボ ンネットを開けてしまう、などの条件が加わると、エンジンを完全に停止= 運転終了モードとなり、再始動には通常のイグニッションスイッチを回すと ころからの段取りが必要になります。 文字で説明すると長くなりますが、現実には、このシステム、「ここは止 まるだろうな」という時にはスッとエンジンの鼓動が消えるし、動こうとし た時の始動のタイミングもいい。ブレーキからアクセルへ、ペダルの踏み替 える瞬間の中でもう始動~駆動準備が終わっています。前にも書きましたが、 左足ブレーキを常用していると、エンジンを始動しつつその中から動き出す。 それをほんの一呼吸待つ、というリズムにはなりますが、それは例外。 休止、再始動の条件付けがシンプルで、止まらない理由もすぐに理解でき ます。もう少し、休止状態に入る/維持する条件を広げてもいいと思うシー ンが何度かありましたが、それはこれからユーザーがアイドリング・ストッ プに慣れてゆく中で手を入れて行けるでしょうし、マツダの開発担当者もそ のつもりのようでした。 アイドリング・ストップだけで、こんなに話ができるとは思いませんでし たが(笑)。ハイブリッド車ばかりが「燃費の良いクルマ」のような“俗説” がはびこっていますが、じつは発進停止が多い状況、市街地などでは、アイ ドリング・ストップの効果が大きい。それを実用化していたのが、これまで はハイブリッド動力のクルマだけだった、というだけで…。 普通のクルマにアイドリング・ストップを実装する時代がもう始まってい る。欧州勢を含めて、その動きは急。「お受験燃費」の数値ではなく、実際 にクルマを使い、走らせる“リアル・ワールド”の燃料消費を劇的に減らし てゆくのには、どんな技術を組み合わせて行けばいいのだろう。 というあたりのお話を、次回は少し「掘って」みようと思います。 (両角岳彦) ---------------------------------------------------------------------- ★☆ 次号予告 ☆★ 「リアル・ワールドの燃費を良くする方法」 「ハイブリッド動力だけが最善の策ではない。もちろん、不得手な領域もあ るし」 という話しで次号をお届けする予定です つづきは次号(配信予定 未定) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【パートナー研究員 募集一時停止】 みなさまから多くのご意見・ご質問を「パートナー研究員」としてお寄せい ただいてきましたが、メルマガの発行体制変更に伴い、一時研究員の募集を 停止させていただきます。新体制が整いしだい再開したいと思っております ので、しばらくお待ちください。 また、「もろずみ総研メルマガ」では、原則としてご意見・ご質問は、この 「パートナー研究員」の方に限らせていただいています。ご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ====================================================================== 【もろずみ総研メールマガジン】 ※本メールは等幅フォントで最適にご覧頂けます。 ※本メールマガジンをお届けしたメールアドレスは、配信専用のアドレスで す。本メールに直接ご返信頂いてもご回答できません。 ---------------------------------------------------------------------- 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ <配信中止はこちら> http://www.mag2.com/m/0000225057.html ---------------------------------------------------------------------- ★☆ 広告掲載・原稿依頼に関するお問い合わせは ☆★ moro-lab@akira.aki.gs 掲載されている記事の無断転載・転用を禁止します。 本メールに掲載している文章・画像の無断転載を禁じます。 記事のすべての著作権は「もろずみ総合研究所」に帰属します。 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部 Copyright(c) Moro Lab. All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


