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  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/11/15
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2009/08/13

もろずみ総研メールマガジン 第212号

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 もろずみ総研メールマガジン 第212号 ======================== 2009/8/13
 
 【検証・自動車産業】
  アメリカ自動車産業の再生は? ▽全回数未定 4/未定
 
 ◆GMは基礎研究と開発に優れていた…◆

  アメリカの、とくにGMのもうひとつの強さは、基礎研究と開発にありまし
 た。そう言うと、日本のメディアがずっと語り続けている「時代のニーズに
 応える製品開発に後れを取った」という、ステレオタイプのアメリカ自動車
 メーカー、そして製造業全般への“枕詞”に馴れ親しんだ皆さんは、意外に
 思われるかもしれません。
 
  後れを取ったのは、むしろ工場のシステムやサプライヤーとの関係などま
 で含めた製品化と製造のプロセスの旧態化や硬直化、そこに現れたユーザー
 にはわかりやすい製造品質の低下、といった部分でしょう。アメリカ車の技
 術内容に緻密さや進歩が欠けている、と言えた時代はもう30年も前のことで
 す。
 
  ミシガン州ミルフォードの広大な敷地に展開するGMのテストセンターを含
 めて、開発施設を訪れたこともありますし、アメリカでの新型車試乗会には
 毎回多くの技術者が帯同してくれて、彼らの開発への取り組み方からクルマ
 観まで色々聞くことができました。
 
  その中で改めて認識させられたのは、今日に至る自動車技術の進化に対し
 て、アメリカが、とくにGMが作り出した研究成果とその貢献度はけして小さ
 なものではない、ということ。
 
  比較的新しい例でいえば、自動車事故の中で人体各部が損傷するメカニズ
 ム。脳にどのくらいの衝撃がどれだけの時間加わるとどのような損傷が起こ
 るか。これがHIC(Head Injury Criteria:頭部傷害値・脳損傷の臨界を示す)
 という衝突試験の必須要件を形作ってきたわけです。骨や筋肉の損傷につい
 ても同様の研究データが積み重ねられ、発表されています。そして今、衝突
 試験を核とした受動的安全性の開発には欠かせないクラッシュダミーも、技
 術的にはGMが主導して生まれたものです。
 
  そういえば、今、自動車をデザインする上で必ず使われるシーティング・
 ダミー、人間の身体の各部の寸法を調査・整理したデータに基づく人体モデ
 ルと、それを使って空間設計を進める手法も、GMが先鞭をつけたもの。
 
  かつてキャデラック開発センターの技術者は皆、骨格の寸法をかなり細か
 く実測し、それをカードに印刷したものを常に携帯。クルマの中で人間工学
 (エルゴノミクス)に関わる不具合などを体験した時には、そのデータとと
 もに報告する(その専門家でなくても)、というやり方をしていました。私
 にとってシートが腰椎を押さえる位置がずれている、という話の時に、「欧
 米人(コーカソイド)とアジア人(モンゴロイド)では骨盤の高さが異なる」
 と、そのカードを見せながら説明してくれた技術者(専門はシャシー設計で
 したが)がいたものです。
 
  自動車工学というと、つい具体的な機構や機能がどうなっているか、とい
 うところにばかり目が向きがちですが、欧米の人々はその原理原則に戻った
 ところから研究開発を進める。それが得意なのはドイツ、そしてアメリカ。
 とくにかつてのGMは、その人と資金と組織の大きさを駆使して、幅広い分野
 で基礎研究から具体的な技術開発へ、という流れを生み出していました。
 
  日本からは、個別の技術要件に関する研究成果、論文や特許は多く出てき
 ているけれど、その元になる基礎的な研究成果、論文になると非常に少ない。
 GMの研究開発部門を訪れた時に、そう言われたことがあります。
 
  もちろん、'90年代に入ってから会社全体がバブル型経営に走り、クルマ
 づくりも「ブランド・マネージャー」が指揮する形になって、技術面は商品
 性のためのスペック偏重、短期的な顧客満足度(の調査結果)か最重視され
 る…という流れに呑み込まれてゆきました。それはアメリカ市場に利益の多
 くをゆだねる日欧のメーカーでも同様でしたが。やはりアメリカ自身が最も
 極端であり、経営や開発の前線に立つメンバーの“若返り”も急で、それが
 さらにクルマという製品そのものをしっかり構築する、という原点を軽視す
 る風潮を加速してゆきました。日本もそれと軌を一にして。
 
  しかしそれはおおよそ10年のことで、その間にGMの開発力、そしてアメリ
 カらしいクルマを生み出す“DNA”が、組織の変質、人の入れ替わりととも
 に失われたのかどうか。ここからはそれが最も興味を引くところです。私に
 とっては。
 
  わずかではあっても「良きアメリカ車」の資質を身体で知り、それを作り
 込める技術者は残っている。それがたとえば現行のシボレー・タホからは感
 じられたわけですが。それがあるかないかだけでも、大きな違いが現れる。
 そして、日本のメーカーにはそういう“DNA”が「ない」か、「消えた」の
 が、大きな不安要素ではあるのです。
 (つづく)
 
 
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 ★☆ 次号予告 ☆★
 
 【検証・自動車産業】
  アメリカ自動車産業の再生は? ▽全回数未定 5/未定
 
 ◆「アメリカ」企業であることがGM再生のカギ?◆
 
 『基本的にGMは、世界規模のメーカー、ではありません。「アメリカ(ドメ
 スティック)の」自動車メーカーだと理解したほうがいいでしょう。』
 
 つづきは次号(配信予定 8月18日 火曜日)
 
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 編集長:もろずみ総合研究所所長 両角岳彦
 編集・発行:もろずみ総合研究所 編集部
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